薬師シャルロット
勇者がやってきました(1)
カサブランカ公国は、活火山が存在しており炭鉱で栄えている国。
掘り出された鉱物を目当てに、ドワーフなども南方の国から移住してきていて、製鉄場のような物も存在している。
亜人が人口の大半を占めていると言われているクレベルト王国と違い、カサブランカ公国は、人間の割合が9割。残りが亜人と言われていて――。
私は通りを歩く女性を、眉を潜めた。
男性に追従している召使のような女性がいるけど、彼女の首にはペットにつける首輪が嵌められていたから。
「アヤカ様……」
「分かっています」
クレベルト王国や魔族の国以外では、手に職を持つドワーフや強力な魔術を操るエルフ以外の種族は奴隷として扱う国々が多い。
私は、クレベルト王国の隣国であるカサブランカ公国に来て、そのことを始めて知った。
多種族を奴隷として使ってもいい。
それを決めたのは聖教会であり人間は至高なる存在として決めている。
そして聖教会は、いくつもの国家が国教として扱っていることから、権威と権力がかなり強く個人では抵抗が出来ないほど。
「……慣れないですね……」
私は、小さく言葉を紡ぐ。
クレベルト王国を出てから、カサブランカ公国に来てすでに4年が過ぎているのに、私の中の常識は変えようがない。
それでも、日々の糧を得るためには、薬草や毒草などの購入は必要。
私は、エンハーサさんをお供という形にして、カサブランカ公国の公都エレンにある市場を歩いている。
「これが、世の実情なのです。クレイク国王陛下も世を変えようとしましたが――」
「そう……」
私は、溜息しか出ない。
若かりしときは正しき行いを信じていたクレイク・ド・クレベルト。
ただ、彼は清濁を飲み干すことは出来なかった。
だからこそ、非合法な方法を使ってまでも、多くの種族が平等になる世界を作ろうとした。
その結果、自らの家族を省みない結果に終わったとしても……。
エンハーサさんは、カサブランカ公国に来てから多くのことを教えてくれた。
一番は、薬草学。
つまり薬師として自立出来るように。
「すいません! これと、これをお願いできますか?」
私は立ち止まると、薬草を売っている女性に語りかけて解熱覚ましの効果が薬草と、心筋強化作用のある薬草を購入する。
この二つを煎じると、風邪薬のような物が出来上がるのだ。
クレベルト王国は、大陸の北に位置している・
そして、その隣国であるカサブランカ公国も、北に在り一年を通して寒い。
寒いということは、体調を崩しやすいということ。
不謹慎な話だけど、風邪薬というのは結構、売れたりする。
属に言う薄利多売という奴だ。
「先生、そろそろ……」
「そうですね。一度、村に戻るとしましょう」
私は、手に持っている籠一杯の薬草を見ながら、かなりの薬が出来るかな? と損得勘定しながらエンハーサさんの後をついていく。
「このへんでどうでしょう?」
「はい、いいと思います」
私は、カサブランカ公国の中に存在する先生の故郷。
獣人のみが住まう村に住んでいる。
その村は、魔王さんの統治する魔王領とは、とても近い。
ただ、私が魔王領に踏み込むことは出来ない。
何故なら、龍やフェンリルなどと言った高位幻獣が闊歩しているから――。
「転移!」
私は、魔王さんが使った転移の魔術を5年間の間に解析し習得していた。
――そう。
私が覚えさせられた解析の魔術は、全てが解析できる万能な魔術だったのだ。
そのことに気がついたときには、クレベルト王国を出てから2年の月日が経過していて――。
「やはり転移の魔術が使えると便利ですな」
エンハーサさんの言葉に私は頷く。
転移の魔術は魔王さんが教えてくれなかったけど、魔術というのは想像が大事だと教えてもらったことで出来るようになっていた。
まさしく、それは――。
私は出てきたドアを閉める。
国民的アニメの例のアレである。
そう、どこでも転移!
獣人の村に到着した私とエンハーサさん。
私達が経営する獣人の村唯一の薬局というか薬屋アヤカのアトリエに向かう道中で、ケモミミ少女や、ウサミミ美少年を見て目の保養をして心を落ち着かせていると。
「――!? シ、アヤカ様、あれは……」
エンハーサさんの指差している方向へ視線を向ける。
するとアトリエの扉前には、一人の男性が血を流して倒れていた。
掘り出された鉱物を目当てに、ドワーフなども南方の国から移住してきていて、製鉄場のような物も存在している。
亜人が人口の大半を占めていると言われているクレベルト王国と違い、カサブランカ公国は、人間の割合が9割。残りが亜人と言われていて――。
私は通りを歩く女性を、眉を潜めた。
男性に追従している召使のような女性がいるけど、彼女の首にはペットにつける首輪が嵌められていたから。
「アヤカ様……」
「分かっています」
クレベルト王国や魔族の国以外では、手に職を持つドワーフや強力な魔術を操るエルフ以外の種族は奴隷として扱う国々が多い。
私は、クレベルト王国の隣国であるカサブランカ公国に来て、そのことを始めて知った。
多種族を奴隷として使ってもいい。
それを決めたのは聖教会であり人間は至高なる存在として決めている。
そして聖教会は、いくつもの国家が国教として扱っていることから、権威と権力がかなり強く個人では抵抗が出来ないほど。
「……慣れないですね……」
私は、小さく言葉を紡ぐ。
クレベルト王国を出てから、カサブランカ公国に来てすでに4年が過ぎているのに、私の中の常識は変えようがない。
それでも、日々の糧を得るためには、薬草や毒草などの購入は必要。
私は、エンハーサさんをお供という形にして、カサブランカ公国の公都エレンにある市場を歩いている。
「これが、世の実情なのです。クレイク国王陛下も世を変えようとしましたが――」
「そう……」
私は、溜息しか出ない。
若かりしときは正しき行いを信じていたクレイク・ド・クレベルト。
ただ、彼は清濁を飲み干すことは出来なかった。
だからこそ、非合法な方法を使ってまでも、多くの種族が平等になる世界を作ろうとした。
その結果、自らの家族を省みない結果に終わったとしても……。
エンハーサさんは、カサブランカ公国に来てから多くのことを教えてくれた。
一番は、薬草学。
つまり薬師として自立出来るように。
「すいません! これと、これをお願いできますか?」
私は立ち止まると、薬草を売っている女性に語りかけて解熱覚ましの効果が薬草と、心筋強化作用のある薬草を購入する。
この二つを煎じると、風邪薬のような物が出来上がるのだ。
クレベルト王国は、大陸の北に位置している・
そして、その隣国であるカサブランカ公国も、北に在り一年を通して寒い。
寒いということは、体調を崩しやすいということ。
不謹慎な話だけど、風邪薬というのは結構、売れたりする。
属に言う薄利多売という奴だ。
「先生、そろそろ……」
「そうですね。一度、村に戻るとしましょう」
私は、手に持っている籠一杯の薬草を見ながら、かなりの薬が出来るかな? と損得勘定しながらエンハーサさんの後をついていく。
「このへんでどうでしょう?」
「はい、いいと思います」
私は、カサブランカ公国の中に存在する先生の故郷。
獣人のみが住まう村に住んでいる。
その村は、魔王さんの統治する魔王領とは、とても近い。
ただ、私が魔王領に踏み込むことは出来ない。
何故なら、龍やフェンリルなどと言った高位幻獣が闊歩しているから――。
「転移!」
私は、魔王さんが使った転移の魔術を5年間の間に解析し習得していた。
――そう。
私が覚えさせられた解析の魔術は、全てが解析できる万能な魔術だったのだ。
そのことに気がついたときには、クレベルト王国を出てから2年の月日が経過していて――。
「やはり転移の魔術が使えると便利ですな」
エンハーサさんの言葉に私は頷く。
転移の魔術は魔王さんが教えてくれなかったけど、魔術というのは想像が大事だと教えてもらったことで出来るようになっていた。
まさしく、それは――。
私は出てきたドアを閉める。
国民的アニメの例のアレである。
そう、どこでも転移!
獣人の村に到着した私とエンハーサさん。
私達が経営する獣人の村唯一の薬局というか薬屋アヤカのアトリエに向かう道中で、ケモミミ少女や、ウサミミ美少年を見て目の保養をして心を落ち着かせていると。
「――!? シ、アヤカ様、あれは……」
エンハーサさんの指差している方向へ視線を向ける。
するとアトリエの扉前には、一人の男性が血を流して倒れていた。
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コメント
コーブ
もしかしてショタコン!?(^_^;)(笑)