薬師シャルロット
攻撃魔術がつかえない!?(中編)
城内の後宮から出て赤い煉瓦が敷き詰められている道を歩いていく。
両端には、赤いバラが咲いていて、とっても綺麗。
「それにしても……」
私は頭上を見上げる。
朝方から降り始めた雪は、お城の上空を逸れるように降っていく。
以前、お母さまに雪が城壁内には降らないのですね? と聞いたときにはクレベルト王城には結界が張られていると教えてもらった。
結界は、来客をもてなすと共に外部から侵略を防ぐための防壁。
副産物として、外からの気候や環境変化にも影響されないとか……。
「幻想的です」
城内は春のような気候なのに、外は大陸の北に位置することから雪が降る季節はとても寒いらしい。
私の姿は、民衆には見せたらいけないらしく、ずっと城内に篭っていることから、実はお城から出たことがない。
その点に関しては魔王さんからも厳しく指摘されていて、決して城外には出ないようにと注意されている。
王女として、王族として、それはどうなの? とは疑問を抱かずにはいられないけど、お母さまも、民衆の前には顔を出してないから、問題ないのかな? と思ってしまう。
そんな事を考えているといつの間にか修練場についていた。
「待っておったぞ」
「お待たせ致しました」
「うむ、それでは今日からは、攻撃魔術の修練に入ろうと思う」
「はい!」
8年以上、防御・補助・回復系統の魔術修練しか行ってこなかったけど、ようやく攻撃魔術を教えてもらうとなると少しだけ緊張する。
「――と、その前にだな……」
魔王さんが、わざとらしく咳をすると「出来ればスカートでは、無かったほうが良かったのだが……」と、言ってきた。
私は、魔王さんの言った言葉の意味が分からなくて首を傾げる。
「あれだ、魔術というのは爆風とか発生する。つまり、スカートだと……」
「――あっ!? だ、大丈夫ですよ!」
だって下着って言ってもカボチャパンツだし。
肌にぴったりとはりつくタイプの物ではないからスパッツよりも問題ない。
「――う、うむ……、シャルロットよ、少しは恥じらいを持ったほうが良いと思うぞ?」
「――え!?」
「一応は、12歳で成人なのだからな。お主も、そろそろ生誕日であろう?」
「そうですけど……。それが何かあるのですか?」
「いつまでも子供のままでは、まずいであろう?」
「そうですね……」
「分かっているならよい」
「……」
これは、もしかして……。
魔王さん、私を意識しているのかな?
つまり――。
「もしかしなくても、魔王さんは、私のことを女性としてみていますか?」
「――? 性別的に女であろう?」
そういうつもりで聞いたわけでは、無いのですけど……。
「まぁ、よい。お主は、魔力量は我よりも低いとは言え魔王軍の中では上位に位置するレベルである。そのような者が始めて攻撃魔術を使った際、どのような事態になるか想像もつかんからな。今日から攻撃魔術に関しては城外で練習をする」
「――ほ、本当ですか!?」
私は、城外に出られるということに驚いた。
今までは、城外に出ることは許されていなかったけど、遊びではないにしても城外に出られるのは、とても嬉しい。
町とか村とか街道を素通りするだけでも、気分転換になるし、異世界の庶民生活に触れることは、将来、王家の人間として国を支えていくなら、とても重要なこと体験になる。
「うむ、手を差し出すがよい」
「はい!」
私は、差し出された魔王さんの手を強く握る。
「手を載せるだけでよいのだぞ?」
「大丈夫です! 迷子にならないためです! 出来たら身体強化の魔術を使ってもいいくらいです!」
「それは止めてほしいのだが……」
魔王さんは苦笑いすると、魔術を発動し――。
景色が一瞬で切り替わると、あたり一面何もない大草原の真ん中に魔王さんと二人で立っていた。
「…………えっ……と?」
「どうだ? ここならば、誰にも見られず迷惑をかけず魔術の修行が出来るであろう?」
たしかに、誰にも見られず迷惑をかけずに魔術の修行が出来るけど! 出来るけど! 私の考えていた外出とは違う!
両端には、赤いバラが咲いていて、とっても綺麗。
「それにしても……」
私は頭上を見上げる。
朝方から降り始めた雪は、お城の上空を逸れるように降っていく。
以前、お母さまに雪が城壁内には降らないのですね? と聞いたときにはクレベルト王城には結界が張られていると教えてもらった。
結界は、来客をもてなすと共に外部から侵略を防ぐための防壁。
副産物として、外からの気候や環境変化にも影響されないとか……。
「幻想的です」
城内は春のような気候なのに、外は大陸の北に位置することから雪が降る季節はとても寒いらしい。
私の姿は、民衆には見せたらいけないらしく、ずっと城内に篭っていることから、実はお城から出たことがない。
その点に関しては魔王さんからも厳しく指摘されていて、決して城外には出ないようにと注意されている。
王女として、王族として、それはどうなの? とは疑問を抱かずにはいられないけど、お母さまも、民衆の前には顔を出してないから、問題ないのかな? と思ってしまう。
そんな事を考えているといつの間にか修練場についていた。
「待っておったぞ」
「お待たせ致しました」
「うむ、それでは今日からは、攻撃魔術の修練に入ろうと思う」
「はい!」
8年以上、防御・補助・回復系統の魔術修練しか行ってこなかったけど、ようやく攻撃魔術を教えてもらうとなると少しだけ緊張する。
「――と、その前にだな……」
魔王さんが、わざとらしく咳をすると「出来ればスカートでは、無かったほうが良かったのだが……」と、言ってきた。
私は、魔王さんの言った言葉の意味が分からなくて首を傾げる。
「あれだ、魔術というのは爆風とか発生する。つまり、スカートだと……」
「――あっ!? だ、大丈夫ですよ!」
だって下着って言ってもカボチャパンツだし。
肌にぴったりとはりつくタイプの物ではないからスパッツよりも問題ない。
「――う、うむ……、シャルロットよ、少しは恥じらいを持ったほうが良いと思うぞ?」
「――え!?」
「一応は、12歳で成人なのだからな。お主も、そろそろ生誕日であろう?」
「そうですけど……。それが何かあるのですか?」
「いつまでも子供のままでは、まずいであろう?」
「そうですね……」
「分かっているならよい」
「……」
これは、もしかして……。
魔王さん、私を意識しているのかな?
つまり――。
「もしかしなくても、魔王さんは、私のことを女性としてみていますか?」
「――? 性別的に女であろう?」
そういうつもりで聞いたわけでは、無いのですけど……。
「まぁ、よい。お主は、魔力量は我よりも低いとは言え魔王軍の中では上位に位置するレベルである。そのような者が始めて攻撃魔術を使った際、どのような事態になるか想像もつかんからな。今日から攻撃魔術に関しては城外で練習をする」
「――ほ、本当ですか!?」
私は、城外に出られるということに驚いた。
今までは、城外に出ることは許されていなかったけど、遊びではないにしても城外に出られるのは、とても嬉しい。
町とか村とか街道を素通りするだけでも、気分転換になるし、異世界の庶民生活に触れることは、将来、王家の人間として国を支えていくなら、とても重要なこと体験になる。
「うむ、手を差し出すがよい」
「はい!」
私は、差し出された魔王さんの手を強く握る。
「手を載せるだけでよいのだぞ?」
「大丈夫です! 迷子にならないためです! 出来たら身体強化の魔術を使ってもいいくらいです!」
「それは止めてほしいのだが……」
魔王さんは苦笑いすると、魔術を発動し――。
景色が一瞬で切り替わると、あたり一面何もない大草原の真ん中に魔王さんと二人で立っていた。
「…………えっ……と?」
「どうだ? ここならば、誰にも見られず迷惑をかけず魔術の修行が出来るであろう?」
たしかに、誰にも見られず迷惑をかけずに魔術の修行が出来るけど! 出来るけど! 私の考えていた外出とは違う!
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