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薬師シャルロット

なつめ猫

魔術師への道(2)

「大丈夫。私、絶対に自分で自分の身が守れるくらい強い魔術師になってみせるから!」


「シャルロット、無理はしては駄目よ?」
「うん――」

 私は頷きながら、お母さんの膝の上から降りようとすると、強く私の体を抱きしめてくるお母さんによって離れることができない。

「降りられない……よ?」

 振り返りお母さんの顔を見上げると「そう? おかしいわね?」と、とてもわざとらしいセリフを呟きながら、魔王さんに本当にいい笑顔を返している。
 その表情から、私を離したくないというのが伝ってくるかのよう――。
 魔王さんが小さく溜息をついたのが見えた。

「ルアル王妃、娘は貴女のモノではないのだぞ? 本人の意見を尊重しなければ、子の成長の妨げになる」
「……わかっています、――ですけど……」
「はぁ……仕方ない。今日は、魔術の修練はやめておこう」

 魔王さんは、そのまま部屋から出ていった。
 扉が閉まったのを確認したあと、私は、少し怒った口調で「おかあさん」と、話かけながら振り狩る。
 そこには、不安そうな表情をしたお母さんの顔があり。

「綾香、無理に魔術を覚える必要はないのよ? あなたは王女なのだから、何もしなくても生きていけるのだから。これからは、お母さんが守ってあげるから」
「ううん、お母さん! 私は……。誰かに守ってもらっているだけなんて嫌。自分の足で、自分の道を歩きたいの。だから――」
「……そう――」

 お母さんは、小さく言葉を紡ぐと私を絨毯の上に下ろしたあと、靴を出してくれた。
 靴を履いたあと、お母さんが部屋の開けてくれた扉を潜ろうとしたところで「シャルロット様、お送り致します」と、扉の警護についていたアレスさんが話かけてきた。
 私は頷くと、アレスさんに案内されるように建物の中を歩く。
 人通りが結構あり、誰もが急がしそうにしていた。
 日が出ているうちに仕事をする習慣のある世界では、出来ることと出来るうちにしておくことは重要なことなのかもしれない。

「こちらになります」
「ここは……」
「執務室になります」

 私は問いかけに簡潔に答えてくると、彼は扉を開けてくれた。
 中に入ると、初老の男性と魔王さんが居て二人とも一生懸命書類を片付けている。

 私が部屋に入ってきたのに気がつくと、初老の男性と魔王さんは私に視線を向けてきた。

「おお、姫様――」

 初老の男性は、何故か知らないけど泣き出すと私に近づいてくる。
 どうして泣き出したか分からない――と、いうより近づいてくるのをやめて欲しい。

「やめるのだな。アズルド殿、小さなレディーが困っているではないか?」
「――うっ! 申し訳ありませぬ。シャルロット様、ワシは元・クレベルト王国宰相をしておりましたアズルド・ノーマンと申します」

 彼の自己紹介に、ようやく落ち着いて彼を見ることができた。
 よく見れば、彼はそんなに背は高くない。
 横に太い? 広がっている?
 それに、髭がすごい。
 なんというか……斧を持たせたら――。

「ドワーフ?」
「おお、さすがは、シャルロット様、博識でございますな。ワシはクレベルト王国でも数少ないドワーフとなります」
「数少ない?」

 私の問いかけに彼は頷くと、「ドワーフというのは南の火山地帯に住まう種族です」と、説明してきた。

「えーと……」

 私は、魔王さんのほうへ視線を向ける。
 すると彼は頷くと――。

「簡単に説明をするなら、このクレベルト王国は大陸の北に位置する場所なのだ。そして南方は、ここからは1年以上旅をしなければ辿りつかない」
「そんな遠いところから?」

 私は、魔王さんの説明に驚く。
 そんなに遠いところから、仕事のために来るなんて驚いた。

「ところで、何かあったのではないのか?」

 魔王さんの言葉に私は頷く。

「はい! 私に魔術を教えてください!」
「そうか……。ルアル王妃の許可は取れたのか?」
「はい!」
「わかった。アズルド、シャルロット王女に魔術のなんたるかを説明したいと思う。仕事は任せたぞ!」
「――まってくだされ! この量を一人で――!?」

 アズルドさんが何か言っているけど、私を抱き上げた魔王さんは、そのまま通路を走っていく。
 おかげで、すぐにアズルドさんの叫び声が聞こえなくなって……。
 それから数分後、私は見晴らしのいい中庭に連れて来られた。

「ここは兵士が修練で使うところだ、ここなら魔術の練習には最適であろう?」 

 



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