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薬師シャルロット

なつめ猫

揺れ動く動乱(4)

「そんなに大変なこと?」

 私の言葉に、魔王さんは顎に手を当てながら、頷いている。

「そうだな……二人の回復魔法については外交で使う事は可能であるが……、下手をすれば拉致される可能性もありうる」
「拉致……」

 私は、魔王さんの言葉に聞きながら、つくづくこの世界の貴族や王族というのが嫌いになる。
 本当に自分の事しか考えていないことに溜息すら自然と出てきてしまう。

「魔王さん、実は……」
「――ん?」

 お母さんの言葉に反応した魔王さんは、視線をお母さんのほうへと移し。

「実は、私は回復魔術が使えなくなってしまったようで……」
「――そうなのか?」
「はい……。ですから、今は回復魔術が使えるのは娘のシャルロットだけなのです」
「それは……、危ういな……」

 魔王さんの言葉に、私は「えっ!?」と、言葉を返してしまっていた。

「現在、私が知る限りでは、回復の魔術が実用段階で使用できるのは、知識を収集して独占している聖教会の聖女であるが……、正直このへんについては、汝の回復魔術には遠く及ばないと言っておこう」
「そうですか……」
「うむ――」

 一瞬の静寂が部屋の中を満たす。
 お母さんは、私のことを後ろから強く抱きしめてきて、魔王さんは、そんな私とお母さんを見ながら思案顔をした後……。

「仕方ないな。シャルロット王女、汝には魔術の使い方を我、自らが伝授するとしよう。見た限りでは、魔術行使に必要な魔力も、その身に十分蓄えているようであるし、6歳とは思えないほど、聡明であるからな。幼少期から魔術の修行をすれば内包魔力も増えるであろうし、戦い方も覚えるであろう」
「――えっ!? そ、それって……」
「うむ、汝が独り立ち出来るまでには、クレベルト王国も立て直すことは出来るであろうし、それまでには汝も成長することであろう」

 魔王さんは、そこまで語ると部屋から出ていこうとする。

「とりあえずは、親子共に、しばらくはゆっくりと休むことだ。あとの事は、この魔王が何とかしておいてやろう」

 私たちの語ったあと、魔王さんは部屋から出ていった。
 私とお母さんは、彼の後ろ姿を見送ったあと顔を見あせて。

「お母さん、魔王さんって、すごくいい人だよね……?」
「そうね。白馬の王子様って感じに見えるわね。綾香も顔を真っ赤にしていたものね」

 その後、私とお母さんは、疲れて寝てしまった。



 ――翌日。

「綾香、もう朝よ――」

 お母さんの声が聞こえてくる。
 私は瞼を開けていく。
 窓には、カーテンが掛けられていて外からの陽射しが軽減されているからなのか部屋の中は薄暗い。

「――ん……。あと5分……」

 まだ、とても眠い。
 頑張って瞼を開けても上と下の瞼が仲良しで、すぐに閉じてしまう。
 はっきり言おう。
 眠いですと……。

「もう、仕方ないわね」

 一瞬、浮遊感を感じた。
 そして、クッションの効いた椅子に座らされる。

「……んっ……、何を……」

 私は、寝ぼけた眼で正面を見る。
 すると、私は姿身の前に座らされていた。
 そして……お母さんはと言うと鼻歌を歌いながら私の髪の毛をブラシで梳かしている。

「なんだか、小さい頃の綾香に戻ったみたいね!」
「うう……、私、これでも18歳だけど……」
「それって聞いたことがあるわよ! 体は子供! 頭脳は大人! ――って!? それってアニメの話だよね?」
「……お母さん、それ以上はいけないよ!」
「そうなの? 綾香は、ときどき変なことを言うわよね」
「お母さんにだけだから!」

 お母さんと話しをしていると、部屋の扉がノックされ「王妃様、朝食の準備ができました」と、いう声が部屋の扉向こうから聞こえてきた。



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  • コーブ

    デビルーク王カッケ~(≧▽≦)

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