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薬師シャルロット

なつめ猫

偽りの心(3)

 軽食を口にした後、メロウさんが片付けをしているのを見ながら、私は絵と文字が、どのように関連しているのか紐付けしていく。
 私だって、元は小説書きを目指したことだってあるのだ。

 この本を作者はどういう意図で作ったのか何ていうのは、作者に聞かないと分からないことだけど、本と言うのは大多数に売る場合に限り商業的な確認を含ませていく。
 そして、作家の伝えたい意図とは別の作品になることは往々にあることなのだ。

 でも版画技術がないのなら、作家の意図を汲み取ることが出来るかもしれない。
 ただ、そう考えてしまうと――。
 どうしても、払拭できない課題というのが存在してくる。

 それは、救われることのない王女という絵。
 そして、そこには文字が一切書かれていない。
 これは、なにを意味しているのか……。

 ただの虚偽ならいい。
 でも、それだけでは無いような気がする。
 あと、問題は――。

「シャルロット様? その絵本が、お気に召したのですか?」

 私が思考している間に、片付けを終えたメロウさんが語りかけてきた。

「大丈夫。メロウ、教えてほしい。文字を――」 

 話し方は片言で、そして少しだけ横柄に――。
 私は意識して彼女に語りかけた。

「わかりました。それでは……」

 メロウさんが本棚から一冊の本を取り出す。
 そして私を膝の上に座らせると、絵本を私に見せながら「それでは、読ませて頂きます」と、私に読み聞かせるように絵本に書かれている文字を読み始めた。


 
 文字をメロウさんから習ってから、すでに一ヶ月が過ぎていた。
 日本語の文法に近い内容だったのが救いであり、文字はローマ字に近く、覚えやすかった。
 いまでは、一人で、ある程度は読むことが出来る。
 でも、一つ気がかりになったことがあり、いつの間にかシャルロット本人が好きだといっていた本が、部屋から無くなっていたのだ。
 おかげで、本の内容を知ることができない。

 メロウさんに聞いても移動はしていないと言っていたのだから。
 それよりも――。

 私は手に持っている本を見て、胸の鼓動が早くなるのを止めることが出来ない。
 タイトルには、初心者でも分かる魔術の使い方と命名されているのだから――。

「何が、出てくるのか楽しみですね」

 私は、魔術勉強をしている事を知られたら何か言われそうな気がこともあって、夜中――メロウさんがいなくなってから月明かりで勉強することを決めていた。

 本を捲る手が震ええる。
 それは、元の世界では、絶対に触れることの無かった知識であり技術の結晶。
 本を読むという至福。
 知らないモノを知れるという幸福。
 それらが、綯い交ぜとなって私の知識欲を駆り立てる。

 本のページを捲ると最初に出てきたのは、魔力を感知する方法であった。
 これは、体を直接触れ合わせる必要があるため、師匠と弟子、もしくは家族か親愛ある人間同士しか行わないと書かれている。

「つまり、異性とは気軽に、魔力感知する方法は行ったらいけないということですか……」

 一人呟きながらも、納得してしまう。
 知らない異性と手を握るなんて、それは駄目! ぜったい!
 一人、心の中で突っ込みを入れながら、ページを捲る。

「魔力適正……」

 私は、思わず沈んだ声で言葉を呟いてしまう。
 魔力適正を行ってから、私は大変な目にあっているのだから、それは当然と言えば当然とも言えるから。

「魔力には、火・水・地・風の四大元素が存在していて……火と風は攻撃魔術特化……地と水は防御魔術特化ですか……」

 私はページを捲る手を止めながら一人考えに浸る。

「メロウさんが、教えてくれた回復魔術と言うのは四大元素に含まれてはいない?」

 本には、回復魔術が書かれている項目は一切、存在してはいなかった。




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