時の旅人
霊:10年前の悲劇
今から“10年前の悲劇”、“魔物の大暴走”、“ギルモス”。この星、ティンダルに棲む人間が様々な呼び名で呼ぶ10年前の悲劇。それは、この星に棲む空を飛ぶ、海を泳ぐ、陸を闊歩する全ての魔物が一斉に獰猛と化し、動くもの全てを襲った出来事。
その悲劇によって、人間が所有していた家畜はほぼ全滅、村は世界規模で7割、国は4割、その世界地図から姿を消した。人間の死者も多く、被害はまさに甚大を極めた。
魔物は、魔物と言ってもその半数が温厚で、しかし一線を越えると同時に獰猛な面を見せる。人間は自身の頭を振り絞り、互いに数を減らし合い共生している。完全に獰猛化した魔物を狩るには訓練を積んでいない成熟した男が3人、訓練され、鍛え上げられた男でも2人ほど必要と言ったほどの強さ。まさしく生き残った村は奇跡だった。
「くっ...!あそこはそろそろ陥落する...全体、2歩下がれ!村人の1人でも、家屋の1つでも残せば、ニコ村は消えはしない!持続させるんだ!」
ニコ村の警備隊の隊長を15という若さで務め、ギルモスからニコ村を死守した小英雄、アラス。黒髪のお堅いイケメンという印象を受ける彼には姉のビオレットがおり、ここから10年後に成人する予定だ。
ニコ村では27歳からが立派な大人というきまりだが、結婚は何歳であっても可能だ。
「おうおう、指揮、頑張ってまんなぁアラスはん。ほいじゃま、このおっちゃんも頑張らせて頂きますわぁ.......」
おじさんとも言えるべき彼は刃渡り親指から小指の先ほどの刃物を構えて何処かへ消える。
三十路半ばの独特の口調で喋る彼はクローバス。とても大らかで“何かの事実を隠したがる”彼は隠密の戦闘専門だ。
彼にしかない戦闘の“歩法”があり、それは気配と存在感と影を消す歩法だ。マラソン程度の速度でしか走る事が出来ないが、長時間の使用が可能で、疲労もしにくい歩法だ。
「アラスならやれるやもしれん。妾も薙いで出口を作るかの。クローバスが陣の裏から突いてくるなら、その反対から突けば労力は半分に済む。」
見た目が少し幼い彼女は自身に身長よりも遥かに大きい槍を持って、大量の砂埃を上げながら魔物の陣へ走る。
尊大な口調で話すリッシュは、実は現在12歳で、最年少で警備隊の隊員として入隊した。その時、アラスに戦闘のいろはを教えられた。槍が1番の得意武器だと分かったものの、警備隊のやり方は彼女には合わなかった。そこでトレーニングを積み、走り方というものを習得した。この歩法は、急停発進が出来る。しかも、どんな体勢からでもすぐに使用出来るそれは一般道を走る自動車程速い。欠点もある、無理やり走り出すから大量の砂埃をあげることと、あまり長距離を走れないこと、だから短時間の使用でかなり疲弊するという点だ。
「報告します。リッシュさんとクローバスさんが攻めた場所に包囲網の穴が出来ました。村人を避難させましょうか.......?」
「あぁ。ここがもう終わりだと君がそう判断したタイミングで、村人を適当な3つのグループに分けて避難させてくれ。1グループ目に女と子供。タイミングは遅ければ遅いほど良いが、絶対に見誤らないでおくれ。」
彼女は彼の警備隊の後輩であるネオ。アラスの事を信頼し、尊敬している。そして、アラスの強さを知る数少ない人物の1人でもある。
「流石です、アラスさん。魔物の群勢にこれだけ耐えられるなんて。貴方が戦えば、もっと早く終わらせることができたでしょうに.......」
「いや、そうでもない。俺のこの刀は非常に切れやすいが、その分脆いんだ。
1度斬ったならば、かなり磨く時間を要する。2度目の斬れ味は最初の半分以下。血糊が邪魔をするからな。」
そう言いながらアラスは立ち上がって、腰に備刀していたものを静かに鞘から出す。すらっと出てくる抜き身、その形は片刃のなめらかな曲線を描く。
「なるほど、いつ見ても惚々する型です。これは強者と一騎討ちするための刀なんですね。」
強く頷くと、急に後ろを向いて魔物から防衛している警備隊に叱咤を掛ける。
「厳しいか!辛いか!なら交代だ!それで君達はその程度だったと、無事証明出来るだろう!」
言われた隊員は、15のくせに知った風な口を利くなと言うだろうが、彼らとアラスに共通する事は、故郷を愛する心、故郷を守りたくて必死に訓練してきた日々だ。当然、モチベーションは良い方向へと曲がる。
ニコ村の戦闘は2日続き、夜も朝も戦い続けた。もう駄目かと思った村人達の間に、神風が吹く。魔物の群勢は一挙に、元居た生息地へ引いていく。ある者は森へ、ある物は空へ。
ニコ村の死者、重傷者212人。
家屋は75棟あるうち、22棟損壊。うち12棟の全壊。
残った村人たちは死者の魂を見送り、怪我人の治療と村の復興で大忙しだったが。
アラス、リッシュ、クローバスは見送りで立ち止まっていた。
「なぁ、ネオ。ニコ村は生き残ったんだぞ.......早く目を覚ませよ。.......なぁ!?おい!?」
「よすのじゃ、アラス!お前は此奴のために戦ったわけではないのじゃろう!
未だ魔物がおるこの世、それらが全て暴走した時点で、犠牲を全く無にするのは土台無理なのじゃ!」
アラスを信頼し、誰よりも尊敬していたネオは死んだ。その現実は、他の誰よりもアラスを狂わせた。
肩を揺すろうが、時間が経ってしまったそれは首すらも動きはしない。氷のように冷たい現実が押し寄せるのみだった。
「確かにな、大勢の同胞を失ったんは悲しいわ。
やけどなぁ。ワイらが全滅してしもたら、そもそも悲しむことすら出来へん。こいつらの魂を見送るんも出来んかったんやで?
そう考えてみると、まだマシやったと思わんか?」
クローバスが諭すように言う。小英雄は、ただ、その場にうずくまることしか出来なかった。
アラスが落ち着きを取り戻し、そこから3人は村長の家へ被害の報告をする。はずれの墓から村の中央まで移動し、玄関前でノックをする。
「どうも。アラス、リッシュ、クローバスです。入ってもよろしいでしょうか?」
「良いよ。私からも色々言いたいことがあるんだ。」
玄関の扉を両手で丁寧に押して入る。最後に入ったクローバスは丁寧に閉める。村長はもうすでに初老で、交代の時期を迎えようとしている。だが、彼のようなオーラを放つ人間は今のところ誰も居ない。
「はい。家屋は22、死者190。どちらも被害は甚大です。」
村長のオーラは実は誰もが苦手で、前に立つとどうしても冷や汗が出るらしい。アラスも妙に畏まった言い方をしてしまい、今更戻せなくなる。
「なるほど、これは確かに時間が掛かりそうだ。でも、お金はなんとかなるかもしれない。
そうだねぇ、魔物の部位でも売れるはずだよ。それで手に入れたお金は、村の家屋の修理に回して、余ったら半分を備蓄に使って、半分を警備隊の装備に回そう。」
「そやけど、国の被害も少ないわけやないから、価格は下がりまくってるかもしれへんなぁ.......」
クローバスが口を挟む。その予想は当たっており、毛皮の価格は最悪。だが、肉は需要が多くなり、価格が高騰しているところだ。
「??」
「魔物の肉や臓器は保存が効かないから仕方なく売るとして。
毛皮と皮と頭蓋や骨などは価格が復活するまで待っても良いだろう。お金、足りなかった分は国に借りてまかなえば良い話だからな。」
「なるほど、まぁ確かにそうだろうけれど。頭蓋は売っても良いだろうが骨はニコの我々で使わないか?」
「???」
実は、骨はすり潰して肥料としてかなり使える物で、開墾や不作の際にしか使われないほど高価だ。
肉も確かに、肥料としては骨よりも優秀だが、国や村にとってはタンパク源となり得る故、使われない。その肉が潤沢な村なら使うと思うだろうが、それなら国へ売ったほうが得になる。
頭蓋は上流階級の部屋のインテリアとなることが多いが、頭蓋も骨なので、すり潰して肥料として使うことが出来る。
「なんや?開墾するんか?まぁそれならそれでええんやけどな。そんな余裕あるんかいな?」
「余裕なんてないさ。ただ、開墾しないでいるという余裕もないよ。家畜もぜーんぶ彼らに持っていかれてしまったからねぇ。」
「う、動かなければ何も始まらんということじゃな?」
頭に?のマークを並べていたリッシュが口を開く。
何とか話を理解しようと必死になって食いついているところだが、3人は無慈悲に話をどんどん進めていく。
すでに話しが終わった頃には、リッシュの目は虚ろであった。まだ幼い身というのに、自分に関係ないだろう話を理解しようとする意欲は、褒められたものだ。
結局、村長の指示でアラスはその場に残り、リッシュはクローバスに担がれて外へ出ていってしまった。ひとまず2人とアラスはここでお別れのようだ。
しばらく静寂の時を咀嚼していると、村長の一言から話が始まる。
「さて、君にも、他の人たちにも色々お話ししたいことはあるのだけど、ひとまずは。
私たちのニコ村を守ってくれてありがとう。アラス君。きっと君の評判は、1人歩きをして国にまで伝わることになると思う。その時はまた色々考えよう。
それで、警備隊のみんなに、療養と労いの意味を込めて15日の休暇を与える提案をしよう。どうかな?」
アラスは警備隊のトップのリーダーを務めているため、休暇を与える権限、というか、予定を組むのも仕事のうちだ。だから村長は、アラスに「提案」という形で出したのだ。
「良いと思います。ただ、絶対安静などの制限はやめてあげてください。行動的だから、動けるのに動けないことで、相当の苛立ちを感じる者もきっと出ます。
これらのことを約束していただけるなら、俺からは特に何も。」
また起こる10年後の悲劇に備えよう...........
その悲劇によって、人間が所有していた家畜はほぼ全滅、村は世界規模で7割、国は4割、その世界地図から姿を消した。人間の死者も多く、被害はまさに甚大を極めた。
魔物は、魔物と言ってもその半数が温厚で、しかし一線を越えると同時に獰猛な面を見せる。人間は自身の頭を振り絞り、互いに数を減らし合い共生している。完全に獰猛化した魔物を狩るには訓練を積んでいない成熟した男が3人、訓練され、鍛え上げられた男でも2人ほど必要と言ったほどの強さ。まさしく生き残った村は奇跡だった。
「くっ...!あそこはそろそろ陥落する...全体、2歩下がれ!村人の1人でも、家屋の1つでも残せば、ニコ村は消えはしない!持続させるんだ!」
ニコ村の警備隊の隊長を15という若さで務め、ギルモスからニコ村を死守した小英雄、アラス。黒髪のお堅いイケメンという印象を受ける彼には姉のビオレットがおり、ここから10年後に成人する予定だ。
ニコ村では27歳からが立派な大人というきまりだが、結婚は何歳であっても可能だ。
「おうおう、指揮、頑張ってまんなぁアラスはん。ほいじゃま、このおっちゃんも頑張らせて頂きますわぁ.......」
おじさんとも言えるべき彼は刃渡り親指から小指の先ほどの刃物を構えて何処かへ消える。
三十路半ばの独特の口調で喋る彼はクローバス。とても大らかで“何かの事実を隠したがる”彼は隠密の戦闘専門だ。
彼にしかない戦闘の“歩法”があり、それは気配と存在感と影を消す歩法だ。マラソン程度の速度でしか走る事が出来ないが、長時間の使用が可能で、疲労もしにくい歩法だ。
「アラスならやれるやもしれん。妾も薙いで出口を作るかの。クローバスが陣の裏から突いてくるなら、その反対から突けば労力は半分に済む。」
見た目が少し幼い彼女は自身に身長よりも遥かに大きい槍を持って、大量の砂埃を上げながら魔物の陣へ走る。
尊大な口調で話すリッシュは、実は現在12歳で、最年少で警備隊の隊員として入隊した。その時、アラスに戦闘のいろはを教えられた。槍が1番の得意武器だと分かったものの、警備隊のやり方は彼女には合わなかった。そこでトレーニングを積み、走り方というものを習得した。この歩法は、急停発進が出来る。しかも、どんな体勢からでもすぐに使用出来るそれは一般道を走る自動車程速い。欠点もある、無理やり走り出すから大量の砂埃をあげることと、あまり長距離を走れないこと、だから短時間の使用でかなり疲弊するという点だ。
「報告します。リッシュさんとクローバスさんが攻めた場所に包囲網の穴が出来ました。村人を避難させましょうか.......?」
「あぁ。ここがもう終わりだと君がそう判断したタイミングで、村人を適当な3つのグループに分けて避難させてくれ。1グループ目に女と子供。タイミングは遅ければ遅いほど良いが、絶対に見誤らないでおくれ。」
彼女は彼の警備隊の後輩であるネオ。アラスの事を信頼し、尊敬している。そして、アラスの強さを知る数少ない人物の1人でもある。
「流石です、アラスさん。魔物の群勢にこれだけ耐えられるなんて。貴方が戦えば、もっと早く終わらせることができたでしょうに.......」
「いや、そうでもない。俺のこの刀は非常に切れやすいが、その分脆いんだ。
1度斬ったならば、かなり磨く時間を要する。2度目の斬れ味は最初の半分以下。血糊が邪魔をするからな。」
そう言いながらアラスは立ち上がって、腰に備刀していたものを静かに鞘から出す。すらっと出てくる抜き身、その形は片刃のなめらかな曲線を描く。
「なるほど、いつ見ても惚々する型です。これは強者と一騎討ちするための刀なんですね。」
強く頷くと、急に後ろを向いて魔物から防衛している警備隊に叱咤を掛ける。
「厳しいか!辛いか!なら交代だ!それで君達はその程度だったと、無事証明出来るだろう!」
言われた隊員は、15のくせに知った風な口を利くなと言うだろうが、彼らとアラスに共通する事は、故郷を愛する心、故郷を守りたくて必死に訓練してきた日々だ。当然、モチベーションは良い方向へと曲がる。
ニコ村の戦闘は2日続き、夜も朝も戦い続けた。もう駄目かと思った村人達の間に、神風が吹く。魔物の群勢は一挙に、元居た生息地へ引いていく。ある者は森へ、ある物は空へ。
ニコ村の死者、重傷者212人。
家屋は75棟あるうち、22棟損壊。うち12棟の全壊。
残った村人たちは死者の魂を見送り、怪我人の治療と村の復興で大忙しだったが。
アラス、リッシュ、クローバスは見送りで立ち止まっていた。
「なぁ、ネオ。ニコ村は生き残ったんだぞ.......早く目を覚ませよ。.......なぁ!?おい!?」
「よすのじゃ、アラス!お前は此奴のために戦ったわけではないのじゃろう!
未だ魔物がおるこの世、それらが全て暴走した時点で、犠牲を全く無にするのは土台無理なのじゃ!」
アラスを信頼し、誰よりも尊敬していたネオは死んだ。その現実は、他の誰よりもアラスを狂わせた。
肩を揺すろうが、時間が経ってしまったそれは首すらも動きはしない。氷のように冷たい現実が押し寄せるのみだった。
「確かにな、大勢の同胞を失ったんは悲しいわ。
やけどなぁ。ワイらが全滅してしもたら、そもそも悲しむことすら出来へん。こいつらの魂を見送るんも出来んかったんやで?
そう考えてみると、まだマシやったと思わんか?」
クローバスが諭すように言う。小英雄は、ただ、その場にうずくまることしか出来なかった。
アラスが落ち着きを取り戻し、そこから3人は村長の家へ被害の報告をする。はずれの墓から村の中央まで移動し、玄関前でノックをする。
「どうも。アラス、リッシュ、クローバスです。入ってもよろしいでしょうか?」
「良いよ。私からも色々言いたいことがあるんだ。」
玄関の扉を両手で丁寧に押して入る。最後に入ったクローバスは丁寧に閉める。村長はもうすでに初老で、交代の時期を迎えようとしている。だが、彼のようなオーラを放つ人間は今のところ誰も居ない。
「はい。家屋は22、死者190。どちらも被害は甚大です。」
村長のオーラは実は誰もが苦手で、前に立つとどうしても冷や汗が出るらしい。アラスも妙に畏まった言い方をしてしまい、今更戻せなくなる。
「なるほど、これは確かに時間が掛かりそうだ。でも、お金はなんとかなるかもしれない。
そうだねぇ、魔物の部位でも売れるはずだよ。それで手に入れたお金は、村の家屋の修理に回して、余ったら半分を備蓄に使って、半分を警備隊の装備に回そう。」
「そやけど、国の被害も少ないわけやないから、価格は下がりまくってるかもしれへんなぁ.......」
クローバスが口を挟む。その予想は当たっており、毛皮の価格は最悪。だが、肉は需要が多くなり、価格が高騰しているところだ。
「??」
「魔物の肉や臓器は保存が効かないから仕方なく売るとして。
毛皮と皮と頭蓋や骨などは価格が復活するまで待っても良いだろう。お金、足りなかった分は国に借りてまかなえば良い話だからな。」
「なるほど、まぁ確かにそうだろうけれど。頭蓋は売っても良いだろうが骨はニコの我々で使わないか?」
「???」
実は、骨はすり潰して肥料としてかなり使える物で、開墾や不作の際にしか使われないほど高価だ。
肉も確かに、肥料としては骨よりも優秀だが、国や村にとってはタンパク源となり得る故、使われない。その肉が潤沢な村なら使うと思うだろうが、それなら国へ売ったほうが得になる。
頭蓋は上流階級の部屋のインテリアとなることが多いが、頭蓋も骨なので、すり潰して肥料として使うことが出来る。
「なんや?開墾するんか?まぁそれならそれでええんやけどな。そんな余裕あるんかいな?」
「余裕なんてないさ。ただ、開墾しないでいるという余裕もないよ。家畜もぜーんぶ彼らに持っていかれてしまったからねぇ。」
「う、動かなければ何も始まらんということじゃな?」
頭に?のマークを並べていたリッシュが口を開く。
何とか話を理解しようと必死になって食いついているところだが、3人は無慈悲に話をどんどん進めていく。
すでに話しが終わった頃には、リッシュの目は虚ろであった。まだ幼い身というのに、自分に関係ないだろう話を理解しようとする意欲は、褒められたものだ。
結局、村長の指示でアラスはその場に残り、リッシュはクローバスに担がれて外へ出ていってしまった。ひとまず2人とアラスはここでお別れのようだ。
しばらく静寂の時を咀嚼していると、村長の一言から話が始まる。
「さて、君にも、他の人たちにも色々お話ししたいことはあるのだけど、ひとまずは。
私たちのニコ村を守ってくれてありがとう。アラス君。きっと君の評判は、1人歩きをして国にまで伝わることになると思う。その時はまた色々考えよう。
それで、警備隊のみんなに、療養と労いの意味を込めて15日の休暇を与える提案をしよう。どうかな?」
アラスは警備隊のトップのリーダーを務めているため、休暇を与える権限、というか、予定を組むのも仕事のうちだ。だから村長は、アラスに「提案」という形で出したのだ。
「良いと思います。ただ、絶対安静などの制限はやめてあげてください。行動的だから、動けるのに動けないことで、相当の苛立ちを感じる者もきっと出ます。
これらのことを約束していただけるなら、俺からは特に何も。」
また起こる10年後の悲劇に備えよう...........
「冒険」の人気作品
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