悪役令嬢に成り代わったので奮闘しました。だからって貴公子と呼ばれるとは思わなかったんです
将来への覚悟を
ダンスを終え、ルカ達の元に戻る。すぐに居なくなっていたダリウス殿も戻っていた。すると彼はこちらに目を向けてきた。なんなんだ。
「良いですか、クリス。貴方は将来、父君の跡を継がれるでしょう。その時に、女性との噂が絶えぬ様なら外交長官の座は務まりませんよ。」
何故か説教じみたことをされている。大体、私のどこにそんな要素がある。それに私から誘っているわけではない。御令嬢の方々が誘ってくださるのだから私に非はないだろう。
「ご心配なさらず。私は心に決めた相手としか恋人らしいことはなさいませんので。」
営業スマイルと模範的な回答で返しておく。彼には納得していない様な顔をされた。
「それにしても殿下は何方かと踊られないのですか?
」
この歳でも国の王子となれば婚約者候補くらい居るだろう。まぁゲームでは私が婚約者候補筆頭であったわけだが。
「あ‥‥そういうのはまだ決めたくなくてね。先延ばしして貰っているんだ。」
殿下の言葉にダリウス殿は少々顔をしかめた。ゲームでの彼は腹黒だったから基本笑っていたはずなのに。まだ子供なんだな。
「殿下、貴方はこの国の未来を背負う者になるのです。ならば早々に妃にふさわしい女性を見つけ、婚約を発表するべきです。」
ダリウス殿の説教を受ける殿下から視線を外して、ルカの方を見る。ルカは呆れた様に二人を見ていた。
「ダリウスはこの国に最善を尽くそうとしているからな。将来殿下に仕える者としての責任を感じているのか、ああやって殿下を諭すことは良くある。」
「しかし、殿下も怠け者な訳でもないだろう?まぁ王子として、純粋過ぎる所はあると思うが。」
どちらが悪いとは言えない。殿下に物申すことが出来るものはそう多くはない。自分まで殿下の言いなりになれば独裁政権になってしまう。そうなってしまったらこの国の未来はたかが知れている。だからこそ自分の立場に一層の責任を感じているダリウス殿。
王子という特殊な立場で、幼き頃から厳しい教育を受けて来た。それなのにも関わらず、民に平等に接し、決して奢らない。けれどその優しさ故、騙し騙されの貴族社会で押し潰されそうになってしまい、他人を傷つけるのを戸惑ってしまうアレク殿下。
両者ともこの国の安寧を願い、行動している。しかしそう簡単にもいかない。前世の世界では、国の政治に触れることなんて無くて、どこか他人事だった。そんな若者が殆どだった。
しかし、ここではそういう訳にはいかなくなってきている。私は次期キャンベル家当主として外交長官を務める。他の家もその座を狙ってはいるが、決して略奪なんてさせない。私が父上の後を継いで見せると決めたから。
私もいずれ、殿下とダリウス殿のもとで仕事をすることになる。この二人に迷惑をかけ、国の平和を脅かすようではゲーム内でのクリスティーネと変わらない。
「私も‥‥覚悟を決めなくては、だね。」
「どこまでも着いて行くぞ。次期当主様?」
私の言葉にルカが悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。
「頼もしい補佐ができたね。」
「当然。」
ルカと話していると少し安心した。何も一人で頑張らなくてはいけない訳じゃないんだ。頼りすぎは良くないにしても、私には恵まれた従兄が居るから。
「まぁまぁ、ダリウス殿。今宵はパーティーなのですから、楽しみましょう?殿下も御令嬢と踊られるくらいならよろしいのでは。公爵家や侯爵家の御令嬢ならそう騒がれはしませんから。」
ね?と首を傾げれば、ダリウス殿は仕方ないと言った様にため息をついて殿下の背中を押した。
「そうですね。ほら殿下、いってらっしゃいませ。」
背中を押された殿下は戸惑いながら足を進める。私とすれ違う中彼は小さく私に礼を言ってきた。
「ありがとう、助かったよ。」
「礼には及びません。どうぞ楽しんできてください。」
そう答えれば、彼は安心した様に笑って人混みの中に消えていった。
「良いですか、クリス。貴方は将来、父君の跡を継がれるでしょう。その時に、女性との噂が絶えぬ様なら外交長官の座は務まりませんよ。」
何故か説教じみたことをされている。大体、私のどこにそんな要素がある。それに私から誘っているわけではない。御令嬢の方々が誘ってくださるのだから私に非はないだろう。
「ご心配なさらず。私は心に決めた相手としか恋人らしいことはなさいませんので。」
営業スマイルと模範的な回答で返しておく。彼には納得していない様な顔をされた。
「それにしても殿下は何方かと踊られないのですか?
」
この歳でも国の王子となれば婚約者候補くらい居るだろう。まぁゲームでは私が婚約者候補筆頭であったわけだが。
「あ‥‥そういうのはまだ決めたくなくてね。先延ばしして貰っているんだ。」
殿下の言葉にダリウス殿は少々顔をしかめた。ゲームでの彼は腹黒だったから基本笑っていたはずなのに。まだ子供なんだな。
「殿下、貴方はこの国の未来を背負う者になるのです。ならば早々に妃にふさわしい女性を見つけ、婚約を発表するべきです。」
ダリウス殿の説教を受ける殿下から視線を外して、ルカの方を見る。ルカは呆れた様に二人を見ていた。
「ダリウスはこの国に最善を尽くそうとしているからな。将来殿下に仕える者としての責任を感じているのか、ああやって殿下を諭すことは良くある。」
「しかし、殿下も怠け者な訳でもないだろう?まぁ王子として、純粋過ぎる所はあると思うが。」
どちらが悪いとは言えない。殿下に物申すことが出来るものはそう多くはない。自分まで殿下の言いなりになれば独裁政権になってしまう。そうなってしまったらこの国の未来はたかが知れている。だからこそ自分の立場に一層の責任を感じているダリウス殿。
王子という特殊な立場で、幼き頃から厳しい教育を受けて来た。それなのにも関わらず、民に平等に接し、決して奢らない。けれどその優しさ故、騙し騙されの貴族社会で押し潰されそうになってしまい、他人を傷つけるのを戸惑ってしまうアレク殿下。
両者ともこの国の安寧を願い、行動している。しかしそう簡単にもいかない。前世の世界では、国の政治に触れることなんて無くて、どこか他人事だった。そんな若者が殆どだった。
しかし、ここではそういう訳にはいかなくなってきている。私は次期キャンベル家当主として外交長官を務める。他の家もその座を狙ってはいるが、決して略奪なんてさせない。私が父上の後を継いで見せると決めたから。
私もいずれ、殿下とダリウス殿のもとで仕事をすることになる。この二人に迷惑をかけ、国の平和を脅かすようではゲーム内でのクリスティーネと変わらない。
「私も‥‥覚悟を決めなくては、だね。」
「どこまでも着いて行くぞ。次期当主様?」
私の言葉にルカが悪戯っ子の様な笑みを浮かべた。
「頼もしい補佐ができたね。」
「当然。」
ルカと話していると少し安心した。何も一人で頑張らなくてはいけない訳じゃないんだ。頼りすぎは良くないにしても、私には恵まれた従兄が居るから。
「まぁまぁ、ダリウス殿。今宵はパーティーなのですから、楽しみましょう?殿下も御令嬢と踊られるくらいならよろしいのでは。公爵家や侯爵家の御令嬢ならそう騒がれはしませんから。」
ね?と首を傾げれば、ダリウス殿は仕方ないと言った様にため息をついて殿下の背中を押した。
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