充実した異世界ライフを送る......はずだったが
13話 黒龍と幻獣種。
   ギルドへの帰り道、レオンと話すことなく黙って歩いていた。
「............」
すると、急にレオンが立ち止まり、しゃがんだ。
「翔太、君をしゃがむんだ」
そう言われるまましゃがむ。
「何かあったんですか?」
「私の『強者センサー』に強い反応がある......」
「え!じゃあ早く逃げましょう」
「いや、サウシャーナの近くにこんな強いやつほっとけない、戦う訳じゃないが一様どんなやつなのか見に行こう」
「分かりました」
「あと、翔太は私が逃げろと言ったら私を置いてでも逃げろ」
「え、でも......」
「約束できるな?」
「はい」
おじいさんのことを想像すると、レオンさんを置いていくなんて、気が向くわけがない。だが、レオンさんが万が一戦うことになったとしても、負けないと思う心が「はい」と決断した。
少しずつ強者センサーがする場所に近づいていく。
すると、レオンが俺の前に手を出して止まれの合図をだした。
「何かいる」
俺たちは恐る恐る前に進むと、そこには......
「黒龍だ............」
広い空間真ん中で眠っている黒龍がいた。そして俺たちは急いで近くの茂みに隠れた。
「黒龍って何ですか?」
「黒龍は、龍でもあり、魔族何だ」
「え?」
「龍族には赤龍、青龍、緑龍、白龍、黒龍の五大龍と言うのが権力を持っていたんだが、ある日黒龍が魔族に寝返ったんだよ。それからは龍族と魔族は敵対するようになったんだ」
今、龍族、魔族、人間族とで、争っているが、残りの獣人族は人間族と仲がよくて、味方をしてくれている。
「ガァアアアアアアアア!!!!!!」
「なっ!」
黒龍の方を向くと、さっきまで寝ていたはずの黒龍が起きていた。
「逃げろ、逃げろ!」
「はい!」
「エンチャント、チーター」
そしてもうスピードで走っていく。方角が分からないまま。
それから1分後、チーターの速さで逃げたため、何百メートル走ったか分からなかった。そして思う、レオンさんは大丈夫だろうか、逃げられているのか。だが、やはりダメだと思い引き返そうとしたそのとき、
「面白い魔法だな」
「誰だ」
周りを見渡すが誰もいない。空耳か?と思った次の瞬間、
「ここだ」
後ろを向くと、白銀の毛に尻尾が9つある獣が現れた。
「我が名は九尾、幻獣種だ。さぁ答えたぞお主の名は?」
「俺は翔太、急いでいるんだそこを通してくれ」
「嫌だと言ったら?」
幻獣と言う生き物が現れたことより、急いでレオンを助けないとという思いが強かった。
「力づくでも通らせてもらうぞ、バンブル......」
と言おうとした瞬間、後ろへ押し倒された。
「人間が我を倒す?やれるものならやってみろ、まぁこの状態なら我の攻撃の方が早いがな」
「くっ......」
「獣魔法を使っていたから呼び止めたって言うのに、我はお前のようなつまらん人間が一番嫌いだ」
(ダメだ、今こうしている間にもレオンさんが)
「どけよ......」
「嫌だね」
「エンチャント、ライオン」
「?」
ライオン。どこに付けたかは、本人も適当だ。ただ分かっているのは、百獣の王ということだ。それが分かれば充分。
たっぷり息を吸う。
「ガァアアアア!!!!」
「これはっ!くっ......」
俺は九尾が一瞬緩んだ隙をにがさなかった。
鋭い爪をだし、襲いかかる。まるで狩人いや、獣そのものになった気分だ。
「これが獣魔法......だが、」
「遅い」
瞬く間にまた、9つの尾に捕らえられた。
「気に入った」
「え、」
その言葉にエンチャントを解除してしまった。
「お主のその目だ。今まで幻獣だと討伐しに来るやつがいたがお前は違う。何かを決心した目だ」
幻獣はとても珍しい種なので、よく素材集めのため討伐する輩がいるのだ。当然異世界から来た翔太は知らないが、気に入ってくれたのなら別にいいのか。と思っていた。すると、何か強くなった気がした。
ステータスを開くと、
・サトウ  ショウタ(佐藤翔太)・人間
職業:平民  Lv.20
攻撃力:33000
防御力:13000
素早さ:6000
魔力:6500
魔法:獣魔法[覚醒]
スキル:『成長速度急激低下』『???』
称号:『迷い人』『獣に近い人間』
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