クラス全員で異世界転移!?~厨二病が率いる異世界ライフ~

Akisan

秋─葛藤

「午前中はここまでにしよう」
そう言われ、農具を置き
顔についた土を落とす

おにぎりを渡され、昼食をとる

皆から逃げた秋は山を下りて
近くの小屋で『おじさん』にお世話になっている
龍化していた右手も今は落ち着いている

「ねぇ、旅の話を聞かせてよ」
おじさんには旅の途中だと、嘘をついている
異世界から来たとか言っちゃうと
どんな扱いを受けるかわからないからだ

「そうですね、あれはなんと言う村でしたかね」
と、まるで小説を読むかのように
作り話をする

「へぇー!そんなことが!」
おじさんは信じて話を面白そうに聞いている

──そろそろ潮時かもな
畑を耕し種も蒔いた
また、いつ暴走するかわからない
傷つける前にいなくなろう

その後も木を切りに行ったり
畑に柵を立てるなどして、作業が終わり
夕飯時に
「明日、ここを出ていこうと思います」
と、告げると
「そうかい、行ってしまうのか
仕方がない、君にはいろいろ手伝ってもらった
ありがとう、礼を言うよ」
そんなことを話ながら、その日を終えた


次の日の朝
「本当に行ってしまうのかい?
このままいてくれてもいいんだよ?」
おじさんはそう言ってくれるが
そう言うわけにはいかない

「必ず、また来ますから
本当にお世話になりました」
頭を下げ感謝を告げる

「君にはまた会うような気がする
そうだ、これから行くなら
山を越えて、西の草原に行くと良いよ
だけど、最近物騒な物が彷徨いてるから
気を付けてね、また会おう!」

行く道も決まった迷うことはない
足を踏み出した

──この出会いがこの先を大きく変えるとも知らずに




おじさんは一人、お茶を飲んでいた
「秋君かぁ、面白い子だったな
あの眼、龍の意思を継ぐものかぁ
また会えることを願っているよ」
独り言は、空気中に霧散し
静寂が返ってくる

ドアがノックされ男が二人入ってくる

「オッズ様、ここでしたか
時間です、王国へ戻りましょう」
次の瞬間部屋の中には、人の気配は無くなった

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