邪神使徒転生のススメ

黒イライ

22.ステータス

 模擬戦を終えてギルドで魔法石を換金してもらいその足でギルドの一角にある冒険に必要な物などが売っている店に行った。回復薬ポーションや武器や防具、その他冒険に必要になりそうな物も売ってあった。それらは値段的には大したことはなかったのだが1つだけ桁がおかしいものがあった。

 「これ…高過ぎだろ。」

 「…本当に私もそう思う。」

 俺とシェイはステータスボードの前に立ち値段を見て愕然としていた。
 他の回復薬などでも高い物でも十万シアが関の山だったがステータスボードはヤバい。

 「一千万シア…か…。」

 「…高い。」

 まさかの百倍である。本当におかしい。この世界のお金は日本と同じらしいから日本円でも一千万円ということになる。物一つ買うだけにこんなに金がかかるとは如何なものか。

 「シェイ、これ、買えるのか?」

 「…買える。」

 「マジかよ、金持ちか。」

「…私の全財産の半分程消し飛ぶけど。」

 結構やばかった。

 シェイは俺よりも長く冒険者をやってるからそれなりに金は持ってたらしいがこれ一つで半分消えるらしい。
 結構…消えるなぁ…。

 「本当にいいのか?これ買っても。」

 「…まあいいよ。どうせ他にお金の使い道なんて無いし。」

 確かに他に買う物なんて回復薬とか武器や防具ぐらいだから使い道はないか。この世界には娯楽があまり無いからな。
 まあもしそうだとしてもやっぱり自分の今まで貯めてきたお金が無くなるのは忌避感あるよな。

 「…よし、買ってくる。」

 「おう、行ってらっしゃい。」

 シェイがステータスボードを一つ持って店員の所へ行くと店員も驚いていた。まあ中々ステータスボードを買うようなやつはいないだろうからな。


 シェイがステータスボードを買って俺の所に戻って来た。

 「…こんなに高い買い物をしたのは人生初。」

 「まあ一千万シアの物なんて普通ないだろ。」

 「…でも伝説級の武器や防具は稀に武具店とかに置いてあるけど値段もっとすごいよ。」

 「これより高いってどんぐらいだよ…。」

 「…確か最低でも一兆シア、高いやつだともっとするらしい。」

 …………何だそれ。高過ぎだろ。値段設定どうなってんだ。億を通り越してるぞ。

 「…もうこの話やめるか。何か虚しくなってくる。」

 「…そうだね。早く宿に帰ろっか…。」


 二人とも何故か悲しくなってきたから宿に帰ることにした。







 「ただいま帰りましたー。」

 「…ただいま、です。」

 「あら〜、お帰りなさい二人とも。お疲れ様〜。」

 宿に帰るとメヤさんが出迎えてくれた。

 「もうご飯にする?」

 「いえ、今から少しステータスを確認しようかと。」

 「ステータスを確認するって…もしかしてステータスボード?」

 「…そうですよ。」

 「あらあら〜、ステータスボードってものすごく高いんじゃなかったっけ〜?」

 やはりステータスボードの値段はメヤさんにとっても大金らしい。

 「…私の貯金を崩して買いました。」

 「シェイちゃんお金持ちだったのね〜。」

 「…貯金半分消えました。」

 「あらあら〜…。」

 俺と同じ問答してますよメヤさん。

 「じゃあ晩御飯は1時間ぐらい後でいいのね〜?」

 「はい、お願いします。」

 「…お願いします。」

 メヤさんと少し話をして俺の部屋に向かった。俺の部屋にした理由はもちろんシェイの部屋は散らかっているからである。あんな散らかっている場所だと満足に話も出来やしない。

 「…お邪魔します。」

 「おう、別に何もないけどまあ適当に座ってくれ。」

 とりあえず机を出して椅子を出した。

 「…うん、ありがと。」

 シェイも座ったところで本題に入ることにした。

 「ステータスボードってどうやって使うんだ?」

 買ったのはいいけど俺使い方知らなかった。まあ俺は頭の中でステータス分かるしな。シェイに言われないと絶対ステータスボードのこと知らなかっただろうな。

 「…ステータスボードはこの版の上に自分の手を乗せて魔力を流すと体内の魔力の流れからステータスを表示してくれるんだよ。」

 へー、便利だな。結構この世界は魔法を使って便利なように使ってる物が多いよな。シェイにこの間車みたいな物もあるって聞いたことあるし。

 「…どっちのステータスから見る?」

 「じゃあまず俺のからで。」

 「…分かった。じゃあここに手を乗せて魔力を流してみて。」

 シェイに言われた通りステータスボードの版の上に手を乗せて魔力を流してみた。特に違和感もなかったけど手を離すと版の上に文字が浮き上がってきた。

 「なるほど、こうやったら出てくんのか。」

 まあ今日の朝見たばっかだからあんまり変わってないだろうけどな。

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 天魔魔夜
 《仕事ラボロ》/ 邪神使徒 / Lv.17
 力 2000
 物理耐久 3300
 敏捷 2600
 魔力3500
 魔法耐久 5000


 《スペキアーリススキル》
 闇眼 Lv.1
 疲労回復 Lv.2
 闇影術式オスクロソーンブラ Lv.1
 気配遮断 Lv.1
 危機察知 Lv.2
 鑑定 Lv.1
 場所把握 Lv.2
 言語理解
 ????


 まあこんなものだよな。基礎力は少し上がってるけどスキルは1つも上がってないよな。

 「…なるほど、なるほど…。やっぱり基礎能力は高いね」

 「そんなもんなのか?俺他の人のステータス1回も見たことないからよく分からないんだよ」

 「…うん。一般にこのレベルだと多分このステータスの十分の一から五分の一ぐらいになると思う」

 え、マジか。大分違うな。最高で十分の一も差があるなんて…知らなかった。

 「邪神使徒ってこんなにすごいもんなのか…」

 「…そうだね。邪神使徒や女神使徒は他の《仕事》とは一線を画している、かな。邪神使徒や女神使徒は伝説レベルの《仕事》だからね。ここ数年邪神使徒や女神使徒は見たことがない」

 「…そんなすごい《仕事》の持ち主が今現在二人一緒にいるってすごいんだなぁ…。」

 何だかしみじみとなってしまった。

 「…マヤはこのスキルの能力把握してるの?」

 「いや、してないな。よく分かんないから無闇に使わないようにしてた。」

 「…スキルの能力は知りたいスキルの所を触れば詳細が出てくるよ。」

 ホントに便利だな。スマホとかと同レベルぐらいの便利さだな。

 「とりあえず全部見てみるか」


 闇眼

 邪神使徒特有のスキル。発動した時に見た相手の善悪を判断することが出来る。


 人の善悪の判断ができる眼か…。もし商人とかと話す機会があったら騙そうとしているかとかが分かるかもしれないな。邪神使徒特有のスキルってことはシェイも持ってるのか。


 疲労回復

疲労回復の速度。自動発動型。


まあそうだよな。これは勝手に発動されるやつか。

 問題は次だよな。闇影術式は何かありそうだな。


 闇影術式

 闇と影を意のままに操る。


 簡潔な説明だな…。まあ分かりやすくていいけどな。闇と影を操るスキルか…。こればっかりは使ってみないと分からんな。


 気配遮断

 気配を隠し相手に気付かれにくくなる。


 隠密スキルか。魔獣とかに接近する時とかに役立つかもな。


 危機察知

 近付いてくる危険物に対して反応を示す。自動発動型。


 危険を知らせてくれるスキルか。敵が近づく時とか便利そうだな。


 鑑定

 相手のステータスが見れる。


 相手のステータスも見れるのか。闇眼と合わせればステータスも見れて善悪も分かるしいいな。


 場所把握

 認知の場所を示す。



 言語理解

 どんな言語も即座に理解出来る。


 これが無いとこの世界の文字読めなかったんだよな。感謝感謝。


 最後…これなぁ。


 ????

 詳細不明。


 まあそりゃそうか。名前分からずに能力が分かるわけないよな。


 「…随分便利なスキルを持ってるね。どれもあったらすごい便利だね。…最後のスキルはちょっと気になるけど…」

 「確かに、謎過ぎてわけわからんな。でも今考えても意味無さそうだし放っておこう」

 「…まあそうだね。多分害は無いと思うし」

 「そう言えばこの基礎能力の魔力って魔力量のことなのか?」

 「…違うよ。この魔力は魔力の質のことを言ってるの。魔力は上がることはあるけどそんなに上がらないかな」

 なるほどな。ということは魔力の質を上げれば魔法の効果も上がるってことなのか。

 「なるほどな。俺から話変えといて何だが次はシェイのステータス見せてくれよ。他の人のステータス見てみたいからさ」

 「…ん。分かった」

 次はシェイが版に手を乗せて魔力を流した。さっきのように文字が浮き上がってきた。どれどれ…。


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シェイヴァル
 《仕事》 / 邪神使徒 / Lv.147
 力 102574
 物理耐久 75621
 敏捷 46328
 魔力 159402
 魔力耐久 89475


 《スペキアーリススキル》
 闇眼 Lv.10
 詠唱短縮 Lv.8
 魔力増幅アップベース Lv.10
 逆境 Lv.20
 狂鬼バーサークLv.MAX
 自然回復ナチュラルヒュー Lv.17
 疾風 Lv.8
 精霊装ラリューザル Lv.5
 神斬テナー Lv.4
 ????


 ……………わぁおぉ。何だこのデタラメなステータスは。基礎能力おかしくない?俺赤子じゃん。レベルが100以上違うぞ。まず桁が違う。
 あとこのスキル共。何かすごそうなのばっかじゃん。

 「………これさ、スキルの能力とかって見ていいのか?」

 「…別にいいよ。」

 お言葉に甘えてスキルの詳細を見せてもらうことにした。


 闇眼

 邪神使徒特有のスキル。発動した時に見た相手の善悪と一部ステータスを見ることが出来る。


 これは俺のより強くなった闇眼か。レベルが上がるとステータスも見れるんだな。まあ俺は鑑定があるからいらないかもしれないけど。


 詠唱短縮

 詠唱の短縮。難度の低い魔法は念じるだけで発動可能。


 何もせずに魔法を撃てるのか…。あ、でも虎狼バーグウルフと最初に戦った時最後に止めをしたシェイの攻撃、詠唱してなかったな。


 魔力増幅

 危機状態になると魔力が爆発的に増加する。


 ピンチの時に役に立つスキルだな。魔力が増えればまだ戦えるだろうし。


 逆境

 危機状態になると全ステータス倍増。


 このステータスの倍増ってやばいな…。


 狂鬼バーサーク

 鬼化の際に理性を失う代わりにステータス5倍増。


 5倍だと……。そんなの本当に出来んのか?それに鬼化とか書いてあるし…。


 自然回復ナチュラルヒュー

 自然治癒。自動発動型。


 自然治癒か。聖属性が使えないから回復出来るのは便利だな。


疾風

 防御力を失う代わりに疾風のように駆け回ることが可能。


 何か、曖昧だな。


 精霊装ラリューザル

 精霊の力を宿し、精霊の力を振るう。


 精霊…この世界には精霊も存在するんだな。


 神斬テナー

 神の力を武具に宿し、斬ったものを破滅させる。


 何となくだが神斬と精霊装に関してはシンラがシェイに授けたものじゃないかと思う。ていうか神の力を授けるなんて邪神であるシンラにしか出来ないだろう。


 ????

 詳細不明。


 シェイのスキルにもあるんだな。このスキル。一体何なのか…。まあいいか。


 「…自分のステータス2年振りに見たから大分変わってたなぁ。…私のにも????あるね」

 「ああ、何だろうな」

 「…邪神使徒特有のスキルなのかな?二人とも出てるし」

 「うーん、まあそれが1番妥当な考えだよな」

 結局あのスキルに関しては何も分からなかったけど俺がシェイに追いつくのは随分先になることだけは分かった。

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