邪神使徒転生のススメ

黒イライ

13.チーズと魔法石

 「さてと、こんな感じかな。」

 シェイの姿を見た後、2人で時々喋りながら、尚且つ戦い方の訓練もしながら魔獣を狩っていた。

 「…これだけ魔法石も集まれば1週間分ぐらいの宿代はあよ。」

 「おおー、そんなにか。」

 大体2時間から3時間ぐらいずっと魔獣を狩っていたけど、それだけで1週間も宿に泊まれんのか。

 「…まあ1週間と言っても1番安い宿でね。それに食事代も必要だから実際泊まれるのは3泊ぐらいじゃないかな。」

 あー、飯代もあったか。確かにそれは重要だな。ていうか俺まだこの世界でご飯食べたことないや。
 ある程度稼げたらしいし少し遅くなったけど晩飯食べに行くか、シェイと。

 「食事代か。…この後晩飯食いに行かないか?」

 「…大分唐突だね。何の脈絡も無かったよ。…まあ私もお腹は空いてるからいいけどね。」

 シェイとの約束をこじつけたのでシェイが持ってきていたバッグに魔法石を詰め込み《迷宮ミゴン》を出た。







 「どこかオススメの店ってあるのか?」

 「…私もここの街はあんまり詳しくないの。ただ、静かな店ならあるのは知っている。」

 へーそんなのがあるのか。賑やかなの嫌いなわけではないけどやっぱ静かなのはいいよな。

 「分かった、じゃあそこに行こう。」

 「…任せて、ついてきて。」

 シェイに連れられしばらく歩くと繁華街のような食事ができる店が立ち並ぶ場所に出た。
 シェイが連れて行ってくれる店はこの立ち並ぶ店の路地の方にあるらしい。

 「…ここだよ。」

 「ここは…バーみたいな感じだな。」

 連れられて来た店は日本のテレビ等で見た感じの見た目のバーだった。実際に行ったことは無かったからよくは分からないが。

 「…?ばーって何?」

 「ん?ああ、こっちの話だから気にしないで。」

 シェイは不思議そうにはしていたが気にせずに店に入っていった。俺も遅れないようにシェイの後を追っていった。

 「いらっしゃいませ。」

 店に入ると従業員の女性が接客をしてきた。

 「個室かカウンター席か選べますがいかが致しましょうか?」

 「…個室でお願いします。」

 「かしこまりました。こちらへどうぞ。」

 ここは個室もあるのか。まあ話をする分にはそっちの方が都合がいいか。

 個室の中は扉が厚くて外の声も聞こえてこない防音の造りになっているのが分かった。

 「俺はどんなのがあるか分からないから適当にシェイが注文してくれないか?」

 「…分かった。私が食べたことがあるやつを頼んでおく。」

 そう言ったシェイは個室の壁に付いているボタンのようなものを長押ししていた。

 「それは何なんだ?」

 「…これは魔力を通して店の方にメニューを伝えるためのもの。最近こうやってメニューを頼むのが増えてきた。」

 この世界は思った以上に発展してんだな。しかも魔力を通すだけで人に伝えることが出来るなんて魔法がある世界ならではのことだな。

 「…魔力は人の想いが込められた結晶。魔力を通せば想いを伝えることも出来る。」

 人の想いが込められた結晶…か。だったら、何で俺の魔力量は多いんだろうな。

 「魔力って便利なんだな。色んなことが出来る。」

 「…当たり前でしょ。魔力がないと私達は生活出来ない。水を出すのも火を起こすのも、光を照らすのも全て魔力と魔法石が関係している。」

 「魔法石も使うのか。」

 「…魔法石は魔力を通せば何属性にもなれる便利な物。私達邪神使徒は自分自身は使えないけど聖属性の魔力を込めておけば私達も疑似的ではあるけど使用できる。」

 魔法石…便利だなー…。もう何でもありだな。
 まあそれだけ便利な物じゃないと冒険者は稼ぎが依頼成功の報酬しか無くなるもんな。

 「冒険者は割とみんなの生命線みたいなところあるのか?」

 「…そうだね。まあ魔法石のストックの関係もあるとは思うけど冒険者が魔法石を取ってこなかったら皆はこんな生活送れてないだろうね。」

 そんな話をしている内に料理を持った店員さんが部屋に入ってきた。

 「……これは。チーズか。」

 そう。出てきた料理は野菜炒めの様なものの上に焼いたチーズに似たものが上に乗っていた。

 「…これはナーハと言われているこの地域特有の発酵食品。作り方はよく分かんないけど何だかよく伸びて美味しかった。」

 早速頂いてみたのだが……

 「……やっぱチーズだな。」

 シェイの説明にもあった通り発酵してある食品だ。チーズの事は詳しくはないが味は分かる。
 明らかにチーズだ。まあ俺はチーズ好きだったから嬉しいけど。

 「これ美味いな。何か懐かしい感じがする。」

 チーズを食べたのは別にそんなに前という訳ではないはずだが何故か懐かしい感じがした。

 「…そう?それは良かった、喜んでくれて。」

 シェイは少しはにかんで下を向いていた。

 うん、美味しかった。また食べに来よう。


 夕食を摂ったから次は宿探しだな。まあどこか見つかるだろ。
 そんなことを思い、俺はチーズ…もといナーハを食べた。

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