努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第18話『研修旅行編』



「全く大虎副隊長ひどい!せっかく遊んでた最中だったのに!」
「仕方ない、そういうときもある」
 ゆきが怒り、あきが宥める。
 この二人の日常連携パターンである。
「でも今回は大変そうなんだもん!3人で島のテロリスト全滅とか無理だよ〜」
「三ヵ月前は私たち二人だけだった。大虎がいるだけマシ」
 かわいい声で随分物騒な事を言うゆきにそれも大したことないと宥めるあきは肝が据わってる。

「島の一部だけ転移できるようにしたって言ってたから早めにいかないとダメ。ゆき、早く準備して」
「お、乙女には色々と準備があるんだよ!?あきなんて準備してるところ見たことないもん!乙女力が足りないよ!」
「戦闘に乙女力は不要。最低限で足りる」
「ふんっ!あきなんて知らない!」
「・・・・・・もう時間。無理やり連れてくことにした」
 あきは無理矢理準備中のゆきを引き連れバッグも何も持たせずに任務に行かせようとした。
「っ!ねぇあきやめて!ごめんね?ね?・・・・・・返事してよおおおお許してえええええ!!」
 ゆきは本当に最低限の連絡用の端末とデバイスだけを持って任務に出かけることになった。




「おい、あき。なんでゆきは泣いてるんだ?」
「乙女力がどうのこうの言ってたから無理矢理連れてきただけ」
「端折りすぎだよな?ゆきの荷物がないのを見るとまたあれか・・・・・・。もう何回目だよ・・・・・・」
「さすが大虎。よくわかってる。ちなみに26回目」
「無理矢理連れてくるあきもあきなんだけどゆきも懲りずに26回やってるとなるとわざとやってるようにしか見えないぞ」
 島の端で大虎はゆきとあきと合流したのだがゆきの滂沱の涙に既視感を覚えつつ周りを警戒する。
「わざとなんかじゃないもん!だいたい副隊長がいきなり呼び出したのが悪いんだもん!毎回毎回遠い場所に呼び出して集合時間が30分後とかおかしいもん!準備する時間ないよ!」
「いや、だって動くうえで荷物あったら邪魔じゃん。俺は普段連絡用の端末とデバイスしか持ち歩いてないよ。しかもあきとゆきはテレポート使えるんだから30分フルに準備に使えるじゃん」
「ほら、大虎もそう言ってる。あきらかにゆきがおかしい」
「もういいもん・・・・・・。悪者にすればいい!」
「わかったよ、ゆきごめんな?今度欲しがってたぬいぐるみ買うから今回は許してくれよ」
「本当!?許すっ!絶対だよ!約束だからね!」
「あぁ約束だ」
「わーい!ありがとう!」
「・・・・・・ゆき、ちょろい」
「・・・・・・あき、それはゆきに聞かれないようにしろよ?この手が使えなくなったら大変なんだから」
「ん、わかってる」



「ゆき、あき。今回の作戦はいつも通りゆきあきがセット、俺は単独で島の端から潰していく。俺は西から行くからゆきとあきは東から頼む。俺たちが鉢合わせるまで潰せ。生死は問わない」
「子供にそんなこと言って教育に悪いよ!」
 ゆきがつっかかる。
「ロリロリアタック」
「・・・・・・」
「ロリロリキック」
「・・・・・・やめっ」
「ロリロリバット」
「ごめんなさい!!!」
「じゃ作戦開始な?」
「うぅ・・・・・・副隊長嫌い」
「ゆき弱すぎる。もっと冷静さが大切」
 これはまだ闇光に入ってまもない頃ゆきが必殺技にしていた技で今では黒歴史扱いとなっている。
 なんとも成長しないゆきであった。



 宿に戻り作戦を練り上げる。作戦内容が杜撰なほど作戦失敗の確率も上がる。しかし作戦が練り上げられていれば作戦成功の確率が一気に上がる。
 作戦決行は夜となっているが実際のところは朝方になる予定だ。
 テロ組織という者は基本的に人数が比較的多いため油断して酒を飲み朝方には酔っ払って寝ている者や人任せにして動き出すのが遅いため朝方に攻めるのは得策であった。

 この問題点として迅速に終わらせなければならないため多少の地形変動や爆発音、魔法放出時の音をどう最小限に抑えるかがかなり重要である。
 なにしろこの島にはこの学校の生徒がいるわけでさすがに大きな音がすれば気づくだろうし見ている生徒は地形変動していることにも気づくだろう。
 だからこそ襲撃する建物の周りには結界を張らなければいけないのだがそこに魔力探知に優れているものがいると気づかれる可能性が高いため強力な隠蔽を施したうえで結果を張らなければならない。
 これも朝方に襲撃する理由の一つだ。
 なにせ夜までは変に疑われないよう宿にいるため準備ができない。
 夜に宿を出た途端に結界の用意をするとそれなりの時間がかかるし結界の数はひとつだけでなくこれから襲撃するすべてにかけるため集中力と胆力が重要になってくる。

 現在、夜の19時過ぎだが23時過ぎにはこの宿を出てすぐさま準備を整えないと間に合わないだろう。
 所定の場所まではテレポートで一瞬。
 結界の準備で4時間ほど。
 となると決行時間は3~4時になる。
 この宿の起床時間が6時で5時から朝練をする生徒がいるとすると正味1時間と言ったところか。
 多くのテロ組織を1時間で壊滅させるとなるとかなり厳しいが今回はゆきとあきがいる。
 普段は残念な感じが漂っている二人だがあの二人の連携は神業と言っても過言ではないほどに鮮やかで人を魅了し抵抗する隙すらなく意識をたたれる。
 そんな二人がいるからこそこの短時間での作戦が決行できる。

「よし!じゃあ宿に戻るか」
「私たちは野営。納得いかない」
「今度欲しがってた武器譲ってやるから、今日は我慢してな?」
「ん!、絶対。約束」
 目をキラキラさせていうあきに大虎はゆきとあまり変わらないよなぁと内心思うのだった。




すみません。遅くなりました!
 これから戦闘シーンになりますがどう書こうか迷ってます。

 最近ブックマークも増えてきて嬉しいです。
 今後ともよろしくお願いします!

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