努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第6話


 
 俺は生徒会副会長の貝田さんに話を聞きに来ていたのだが貝田さんはまだ生徒会室に来ていない。
 あのあと全クラスホームルームがあったのだがCクラスとSクラスはほとんどの生徒が立てない状態だったため免除になった。
 だが他の学年は通常通りホームルームがあるためどうしても遅くなってしまう。
 そのため待っているのだがこの生徒会室特に気になるものがなにもないため本当にすることがないのだ。

 強いていうなら生徒会長である南さんの椅子だ。
 明らかにフワフワしてそうなうえに厳格を漂わせ、それでいて座っているだけで魔力回復、魔素練り上げの強化に繋がる術式が組み込まれている。
 これは恐らく自作だろうが一般で買えば1000万ほどするのではないかと思うほどに素晴らしい出来だ。
 
 なぜ自作と分かったかというと明らかに一つ雑な点があるからで一般的に高価な魔道具には防犯作用のために防護魔法が組み込まれる。
 例えば使用者の許可がないと触ることすらできないものや盗もうとしたものを捕らえるために麻痺魔法が組み込まれているのが常識なのだがこれには一切そういうものが無い。
 そのため俺は申し訳ないと思いつつさっきからペタペタ触ってしまっている。

 そんなことをしてるあいだに時間はかなり経っていたようで貝田さんが生徒会室にやってきた。
 そして第一声がこれ。
「お前その椅子に触れるのか・・・・・・?」
「え?どういうことですか?」
「いやその椅子は梓が心の底から信用してるものでないと触れないし普段は見えもしない。
 今の生徒会メンバーでも見えているのは恐らく俺と同じく副会長の三中琴里と書記の溝上早苗くらいだろう。だからその椅子には何も防護魔法が掛けられていない。
 見えないなら盗みようもないからな」
「信用されるようなことした覚えはないですけど何があったんでしょう?
 そういえば生徒会って何人の生徒がいるんですか?」
「あぁそういえば言ってなかったな。
 まずは会長、そして副会長が二人、書記が三人、会計が四人、総務が一人の11人体制となっている。
 ちなみにお前の仕事は総務になってるから詳しいことは梓に聞いてくれ。
 まぁでも普段生徒会に会計組は顔を出さないからあまり関わりはないかもしれないがあいつらは仕事の性質上許してやってくれ」
「ちなみに生徒会のメンバーのステージランクはどれほど何でしょうか?」
「この学校にステージ8が七人いる話は知ってるな?」
「はい、それはもちろん」
「この生徒会にうち五人がいる。あとの二人は風紀委員だな。まぁということはステージ8とステージ7で生徒会は構成されている。まぁお前が入ったからそれもそのくくりではなくなったのだがな」
 ステージ8が五人ってこの生徒会はやはり凄い。
 入っているだけで自分の利益になりそうなものがありそうだ。
 
「ありがとうございます。それで本題に入りたいのですがいいでしょうか?」
「あぁもちろんだ。そのためにここにいるのだしな」
「ありがとうございます。それではこの虎の紋章と使い方等を教えてください」
「いいだろう。まずはこれを見てくれ」
 そういって貝田さんは蛇の紋章を俺に見せてきた。
「これが俺の紋章。そしてこいつの効果はまず毒魔法が極端に強くなる。初期の魔法で人を殺せるほどにな。
 そして赤外線のようなもので敵がどこにいるのかわかる。いわばセンサーのようなものだ、敵がどこにいようと逃がさないためのな。あとは色々あるんだがこの説明をすると長くなる。先に虎の説明をしようか」
 そういって話してくれた内容はとても興味深い内容ばかりだった。
 まずは大幅な筋力アップがあるらしい。
 筋力があがるだけで魔法の威力もあがるためそれはとても有難い。
 そしてなぜか水の精霊の加護がつくらしい。
 ただこれも威力がものすごく上がるらしく初級魔法で人間の体なら真っ二つに出来ると聞いたため訓練が必須になってくる。
 さらに隠密性が増し威圧が強くなるらしい。
 その他もろもろ学生にもたせていいのかと思うほどに強い効果で使いこなせない生徒も山ほどあるらしい。
 全部らしいなのは未だにこの魔道具を使用したことがないうえににわかに信じ難い話も混じってるからである。
 
 そしてこの紋章に描かれているものの長所をすべて引き出せるという効果を持っているらしく使い方によってはほとんど動かないまま戦闘が終わることもしばしばと貝田さんはいっていた。

 虎の性質か、難しいな。虎というと力技なイメージがあってとても俺の方針と組み合わせるとめちゃくちゃになりそうだ。
 これも訓練しろってとこなのか。
 はぁ・・・・・・。
 自分でも今日何回目だろうと思う神木だった。

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