努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第5話

 
「さぁ戦闘開始といこうか?」

 俺の能力は三つあるが今回はその中の一つを使わせてもらおう。

 『吸収』これが俺も能力の一つ。相手の技を盗み自分のモノにすることができる。
 三つの能力の中で汎用性が一番高いのがこの技だ。
 俺の『吸収』はただ盗むだけでなく、解除するまで相手は盗まれた能力を使うことが出来ない。
 つまり相手は一撃で俺に致命傷を与えるか魔法を使わず体術だけで倒さなければならない。
 
 ちなみにこの『吸収』は俺だけ使えるわけではなく、ほとんどの魔法学生が使える技だ。だが実戦であまり使う機会はなく、『吸収』を使うのならば技を繰り出して攻撃した方が遥かに自分の手数が増えるために皆が頼る魔法ではない。
 なによりこの魔法は使うのに術式を理解することが最重要視される。しかも吸収したあとに使わなければリセットされないためほとんど使い道がないのが現状だ。
 ただ俺の場合元より吸収能力に優れていて大魔法でも使うことが出来る。
 そのため施設ではこの魔法を極め吸収したあとほとんど一瞬で真似ることが出来る。

 「『炎雷』!!」
 そこでSクラスの生徒が技を使ったためすぐさま『吸収』してこちらもやり返させていただく。
 ただ威力は少しあげて。
「『炎雷爆撃』」
 先ほどの攻撃は単発だったが爆撃と名のつくとおり30発の『炎雷』を落とす。
 これで半分の生徒は落としたはずだったが後ろでは防御専門の生徒がいたため今の技を完璧にカットされてしまった。
 さすがSクラスというべきか、先ほどのような酷い連携ではなくとても素早くかつ冷静な判断を個人でしながらマッチさせている。
 しかもあの防御も普通の防御結界では確実に破れる強度だったが見事に炎の弱点を抑えられて止められてしまった。

 あまり使う気もなかった技だが変に加減をすると今のSクラスには遅れを取りかねないために使うことにした。


「『暗闇殺戮ダークスローダー』」
 その瞬間空間に亀裂が走る。
 そして何も見えない暗闇になる。
 おそらくSクラスの生徒は何も見えない空間にいるだろう。
 光魔法で照らしたところでこのアヌビスの力を上回っていないと意味がない。
 ただ俺は今までと変わらない景色だ、普通に鮮明に周りが見える。
 恐らく周りの生徒も見えているだろう。


 これは範囲魔法。知識は皆あるだろうが見るのは初めてはずだ。
 この魔法をどこで覚えたのかというと『吸収』で奪ったままなだけだ。
 俺の『吸収』は一回使った魔法を返さなければ永遠と使える。
 これは俺の特殊能力だから普通の魔法士が使っても持って10分だろう。
 普通は『吸収』してすぐに発動させるのが主流だからな。

「まぁそろそろかな?『暗闇殺戮』解除」
 解除したその先で広がっていたのは魔力を吸い取られ立つのがやっとなSクラスの生徒だった。
『暗闇殺戮』の効果はただ視界を遮るだけではなく、魔力を抜き取る効果も持っている。
 その抜き取った魔力はほとんどが俺に供給されるためこの『暗闇殺戮』分の魔力をゆうに回復できる。
 
「Sクラスの生徒はそこまでにしとけ、お前らは今本当に危ない状態だ。その状態で続けることの危険さをお前達ほどの奴らが知らないはずがない」
 貝田さんが止めに来る。
「・・・・・・わかりました」
 そういってみんな倒れてしまった。
 
「お前一体何者だ?あれは範囲魔法だろう、しかも『空間斬撃』のときのあの型といいお前まさか・・・・・・」
「副会長さんそれ以上は感づかなかったことにしといて貰えますか?こちらも厄介になってしまうと平和な学校生活がなくなってしまうので」
「平和、か。同じ学年のSクラスを単独で倒すやつがそんな生活を送れるとは思わんな」
「まぁそれに関しては同意ですがあの罰は受けたくありませんでしたし無力化を目的とするならば十分な戦いだったと思いますが?」
「まぁそうだな、そしてお前に渡すものがある、まずは生徒会証明のためのバッチみたいなものだ。肌身離さず持っとけ。あとはお前には虎の地位だな、そのバッチに魔力をいれてみろ」
 魔力をバッチに少し入れると白虎が浮かび上がる。
「あの、これは一体なんですか?ものすごい量の魔力と人?の感情見たいのが渦巻いてるんですけど」
「人の感情とは少し違うがおおかた正解だ。これは生徒会メンバーにだけ与えられるものでこれをもっているだけでステージ1のやつだろうとステージ7に勝てる。
 いわば最強の魔道具というとこだろうか。 
 それを求めて生徒会に入ろうとするやつも多い。
 あとで生徒会室にくればその虎の使い方も教えてやろう。
 ただ一つ言っておくが悪用はするな。そうなれば確実に虎ごとお前を殺さなければならないからな 」
 こんな魔道具生徒会に持たせるってことはつまり戦闘要員をここで確保してるんだろう。
 施設ではこれより優れた魔道具も置いてあったくらいだ。
 これを使いこなさなければさらに上のものは使えない、そういうことだろう。
「わかりました。あとで生徒会室に伺います」

 こうして俺の平和な日常は入学初日で消滅したのだった。

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