夢と現実の着回し物語

宇樽

A1 壊れた器

愛とは、人々を癒やす薬である。

愛とは、人々を狂わす毒である。

そして、愛とは不治の病である。


愛によって救われた人は数知れず。

愛によって狂った人もまた、数知れず。

しかし、愛によって不幸になったものは存在せず。

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ある世界の自然豊かな森の中。

そこに小はさな小さな集落があった。

みんなで畑を耕し、収穫出来れば皆で祝った。

子どもは宝だと、どこかの家で赤子が生まれ、一週間すると村中でこれもまた祝う祭り好きな所だったそう。

そのおかげか決して裕福ではなかったが皆幸せだったそう。

しかしある時、集落の周りの木々が少しずつ減っている事に気がついた。

誰かに切られていたのだ。

誰かに切られていた事に気がついて暫くしたある日、鎧を纏った騎手の一団がやってきた。

一団の中から、丸々太り、煌びやかな服を纏った豚のような者が現れた。

その豚はこの土地を売ってくれないかと屁っ放り腰になりながら言ってきた。

しかし集落の皆は、先祖代々繋いできたこの土地を手放す気はないときっぱり断った。

そして豚と一団は素直に帰って行った。

その事に集落の長はとても驚いていた。

何故なら、豚は、集落の女に対してか、何か策でもあるのか、卑劣な目だったからだ。

豚の一団が来て暫くしたある日、今度は、敵意丸出しの屈強な男達がやってきた。

そしてその男達は下劣な目で集落の皆を見下しながら、なにもいわずに集落の皆を手に持った武器で襲い始めた。

集落の皆は逃げ回ったが、男達はそれを楽しむように襲った。

集落の男は殺し、女子供は捕まえて縄で縛り付け、家々には火を放った。

そして、男達が捕まえた女子供を連れて行こうとしたその時、空から一筋の光が物凄い速さで降りてきた。

殆どのものは気付かなかったが、一人の女性の眼にはしっかりと光が焼き付いていた。

そしてその光を見た瞬間女性は物凄い速さ、光よりも速く、自分を縛り付けていた縄を引きちぎり、燃え落ちた家の木材を掻き分け、地下室へと自分の息子を投げ入れた。

そして、降りてきた光が地面に着いた瞬間、この世界から一瞬だけ・・・・・・闇が消えた

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母さん、母さん、寂しいよ…

何で僕を置いて行ったの…

何で僕を一人にするの…

ちゃんといつもお手伝いしてたのに…

ちゃんといつも言うこと聞いていたのに…

ちゃんといつも口付けしてたのに…

ちゃんといつも気持ちよくしてあげたのに…

ちゃんとあの母さんを虐める男を殺したのに…

ちゃんと母さんを守ってきたのに…

ちゃんといつも…いつも…いつも…

何で…何で…
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で

何で母さんが死ななきゃいけないんだ!!!!!!

何で母さんがこんな目に遭わなきゃいけないんだ!!!!!!

あ、そうか。

男達が悪いんだ。

男達のせいで母さんは苦しんだんだ。

男達のせいだ。

そうだ、男が悪いんだ。

悪いのは全部男なんだ。

男なんか、いらないや。

あ、母さんだ。母さんが見える。

おーい母さん。

そんなところで寝ころんでないで起きてよ。

こんな所で寝てたら風邪引いたり、日焼けしたりしちゃうよ。

もうこんな真っ黒焦げになって。

ほら、僕がおんぶしてあげるから。

しょうがないなぁ母さんは。

あはは

あははははははは

あはあはあははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

あ、男がいる

殺さなきゃ

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