妹を助けようとしたら死にそうなんだが

シルク

いざ!突入!

「『迷宮』の正体……」

「そう、『迷宮』の正体は……」

「……」

「……………………分からん」

「え?」

「だから、分かってないんだ」

 あんな覚悟がなんたらとか聞いといてそりゃないだろ。

「じゃあ分からないって最初から言ってくださいよ。」

「いや、だから『正体不明』というのが私達が位置付けている『迷宮』の正体なんだ」

「はぁ」

「誰が、何のために、何時作られたかも謎なんだ」

「じゃあ先輩達も俺と同じく何も知らないんですか?」

「いやそれも違うな」

 何だかあやふやな会話だな。
 そう思っていると先輩が部屋の隅にあった棚の方へ行き何かを探し出した。

「えっと、確かここに……あったあった」

 先輩が手にしている物は小さいお墓のような置物だった。

「何ですか。その趣味の悪いアンティークは」

「四宮後輩よ。金は好きか?」

「まぁ、そりゃ欲しいですが」

「ならこいつの前に百円玉を置いてみろ」

「百円玉ですか?」

 そう言って俺は渋々百円玉をその墓のような物の前に置いた。すると…
フッ

「なっ、消えた?!」

すると石の表面に文字が浮かび上がった。

『電撃に耐えろ』 

 電撃? 何の事だ? そう俺が思った瞬間頭上に魔方陣が現れた。そして、そこから俺に向かって強力な電撃が放たれた。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」

チャリンチャリン

「どうだ!」

「どうだじゃないっすよ先輩! 死ぬとこでしたよ!」

「大丈夫ですか?」

「てめぇ、優羽、お前もグルか」

「まぁ目の前を見てみてください」

「あぁ? 目の前?」

 するとそこにはさっき突然消えたはずの百円玉があった。というか、

「増えてる?」

「そう、これが今私達が分かっている事だ」

「まさか……」

「そう、『迷宮』にはお宝が眠っている!」

 バーン! と後ろに文字がが出る勢いで先輩は高らかにそう言った。

「ちなみにそれは通称『笠地蔵の墓』という。お供えした物よりいい物をくれる。しかしその際墓に出るお題をクリアしなければならない。対価がでかいほどお題は危険度を増す」

「ちなみに部長が挑戦した限界は、五万掛けた時の後頭部金属バットでしたよね」

「あぁ、あの時は死ぬかと思った」

 何か先輩と優羽が話しているがついて行けない。宝? そんな物が存在するのだろうか?

「だから恐らく四宮後輩の妹が『迷宮』内にいたのはその『迷宮』にある宝と関係があると推測できる」

「ど、どうゆうことですか?」

「恐らく、死者を蘇らせるか、または魂を具現化する物か。」

「そんな物があるんですか?!」

「それは分からん」

 そう先輩は当然と言うように返す。そして屈託のない笑みをして言うのだった。

「確かめる方法はただ一つ!」

 まさか……

「今夜深夜一時に山のふもとにある『迷宮』の入口に集合だ」

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 家に帰ると、俺は身支度を整えた。やはり動きやすい服装がいいだろう。
 ちなみに俺は一人暮らしだ。高校に行く時に親がどうしても引っ越すとなったとき俺は残るといってしまったからだ。

「こんなもんか」

 ジャージに持ち物はスマホのみ。これからアドベンチャーしにいく格好とは自分でも思えなかった。
 集合場所に着くと優羽がいた。優羽もまた俺と同じくジャージ姿だ。

「おや、逃げるかと思いましたが来ましたか」

「あぁ、まだ話について行けてない所もあるがな」

 そこで俺は、ふと気になっていたことを夕に尋ねた。

「なぁ、なんでお前こんな部活入ってんだ?」

 そうなぜこのムッツリ眼鏡が『迷宮』何かに挑むのか、理由が分からなかった。

「決まっているでしょう。あんな美しい女性がが一人で一生懸命何かに必死になっているのを見て心を打たれ--」

「本音は?」

「部長がエロいからに決まっているでしょう?」

 この野郎。ムッツリ眼鏡から変態クソ野郎にランクアップしやがった。
 すると、後ろから足音が聞こえてきた。

「遅くなってすまない」

 先輩は学校で見た姿と変わらず制服のままだった。

「先輩は制服のままで良いんすか?」

「構わん。これが私の戦闘服だ」

 格好いいこというなー。なんて呑気なことを考えていると、

「さぁ、早速だが突入だ」

 いよいよか。待ってろ里香。兄ちゃんが絶対助けてやるからな。



 中に入ると階段があり、どうやら地下に行くようだ。
 ちなみに『迷宮』内は薄暗く、先輩と夕は暗視の魔法を使っているが俺は使えないので暗視の眼鏡をかけていた。因みに結構な値段する。
 何で、成績優秀って聞く先輩だけならまだしも、優羽まで使えんだよ。
 そんなことを心の中で毒づいていると階段が終わり、一本の通路が続いていた。

「気を抜くなよ、後輩たちよ。ここからはどんな罠があるか分からんからな」

 頼りになるな。さすが先輩だ。

 --タッタッタッ、カチッ

「ん? 先輩、何か踏みましたよ?」

「まさか部長、罠でも踏んだんじゃないんですか?」

「そんな訳ないだろう。全く木更津後輩は心配性だな。ハッハッハッ」

 次の瞬間『迷宮』内が激しく揺れ出した。
 ちくしょう! やっぱりあの先輩踏んでやがった。何が来る?!
 すると後ろに道をふさぐように壁が現れた。

「あの、透君。僕は今あなたが考えていることを当てられる自信があるのですが」

「あぁ、俺もだ」

俺たち二人は素早く前を向き--

「「走れ!」」

 ゴオォォォ!

 後ろで凄まじい音が聞こえる。恐らく壁が迫って来ているのだろう。

「先輩! 何真っ先に罠踏んでんすか!」

「仕方ないだろう。後輩に良いとこを見せたかったんだ」

 というかやっぱり先輩おっぱい大きいな。横で走っているといやでも視線が

「透君。独り占めは許しませんよ!」

「黙ってろ変態クソ野郎!」

 くそ! こいつら危機感0かよ!

「何の話だ後輩たちよ」

「いや、それよりどうすんすか、この状況!」

「仕方あるまい」

 すると突然先輩が方向転換をした。

「なっ、何して」

「いいから走りますよ。透君」

 こいつ何言ってんだ。先輩を見捨てる気か?

「言いたいことは分かりますが聞いてください! 篠崎紫乃はこの学校でも数少ない--」

 ドゴォォォ!

 後ろから怒号のような音とともに何かが崩れる音がする。

「ふぅ、危ないところだったな!」

「--身体強化の魔法のスペシャリストなんです」

 先程まで迫っていた壁が粉砕されていた。
 だからってあんな分厚い岩の壁生身で破壊出来るもんなのか? さっきチラッと見えたがウエハースみたいに砕けたぞ。

「見たか後輩たちよ! 名付けて、超爆砕拳!」

 だめだ。段々分かってきたけど、この人喋ったらだめなタイプの人だ。

「ふっふっふっ、これで後輩たちも少しは見直しただろう?さぁ、気を取り直して先へ--」

 --カチッ

 ほーんと先輩ってばおっちょこちょい!


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