毒殺されたようです

私ことルーシャ・カルナヴァルはいつも通り、貴族としての仕事に精を出していた。
本来であれば男の役割のはずのこの仕事だったが生憎、私の家族は居なかった。
父と母は死亡。
兄弟はいない。
結婚どころか婚約すらした事はない。
そんな私に家族はいない。
そこで、私は女がてらに領主となったのだ。

女だからと言って私を騙そうとする奴は多い。
だが、もう慣れた。
最初の頃は幾度となく騙されてきたが今ではもう、騙される事は無くなった。

私は家族はいないが信用できる家臣がいる。
父と母が亡くなってからずっと、そう思い生きてきた。
だからこそ、私にとっても辛かった。

……誰よりも信用してきた私の大切な人。
そんな人に裏切られるだなんて、思っても居なかったから。
…いや、思いたくは無かったのかもしれない。

それは休憩時間の事だった。
ケヴィンに出された紅茶に毒が入っているだなんて疑いもしなかった。

ピリッと舌が焼けるような痛みがはしった。
毒だと気付いた時にはもう遅く、私は倒れ込んだ。
息苦しい…。
段々と呼吸が早く、短くなっていく。
それに伴い喉や胸に痛みがはしる。
意識が朦朧としていく中、私の愛した人は悲しげに私を見下ろしていた。

「……お嬢様。
私はあなたの事を……。
……お嬢様、あなたが寂しくないように、私も共に逝きますから。
もし、来世があり、あなたと巡り会えたのなら……。
私は、私は……」

「ケ……ヴィン……」

私の生涯は、21という短い生はそうして幕を閉じた。

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