背後の記憶

本物の子供


幼い頃はいつだって好きなものを買えた。
兄が2人いた私は物心を持った時にはいろんなものが周りにあった。
お金も他の家よりもあったのか買う量も多く欲しいといったら欲しいだけ買ってもらえた。
裕福な家庭に生まれて家もおっきくリフォームして。
子供の頃はこの家庭が誰より何よりも好きだった。
お母さんはいつも明るく私をお姫様のようにしてくれた。
お父さんはとてもかっこよくて将来は絶対にお父さんと結婚したいとも考えていた。
兄2人とはとても仲が良くて何処へ行くも何をするも一緒だった。
私は髪が長くていつもスカートを履いていた。
ママみたいな綺麗な人になりたくて。
何時からだろうか。ズボンを履き始めたのは
いつからだろうか綺麗なおねぇさんになりたいと思わなくなってしまったのは。
いつからだろうか。

兄が羨ましく思い始めたのは。

私には持ってないものを持ってて羨ましかった。
お母さんにいつもいい子とされていたお兄ちゃんが羨ましかった。
可愛がってくれててもいざとなったら二の次で。
妹だから?なんで?
頭の悪い私はいつもいつもお兄ちゃんと同じ道を歩まされていた。そんなことにも気づかない私は中学になって兄と同じ塾へ通い始めた。
とてもじゃないほど私は勉強ができなくてママにはいつも困らせてばかり。
勉強しろ、と言われるのに苦痛を感じるのも遅かった。
お母さんは小さい頃先生になりたかった。
でも頭のいいお兄ちゃんは私の代わりにと言わんばかりに可愛がられていた。頭が良かったから。
市の中で二番目に頭がいい高校に受かった時には大喜び。そんな姿を見て
私も褒められたかった。

だけどお父さんは
「塾が嫌いならやめるか?」

酷く悲しくなった。
ああ、勉強できないんだ。
そっか、私は。努力するのを諦めてしまった。

「ううん、やめないよ。」

そんな時も諦めないなんて本当に私はバカで正真正銘のろくでなしだ。正直やめようかなと言ったら私は何が残るのだろう。何に頑張ればいいのだろう。
その時のお父さんの反応は、?怖くてその言葉しか言い出せなかった。

中学三年生の時に円形脱毛症になってしまった。

そこでようやくわかった。
裕福で困ることない私は疲れていたんだ。
そういえば友達なんか信用するほど人居なかったな。なんて


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