落ちこぼれの復讐者

紗砂

二年前



2年前、僕が8歳の頃。
その頃、僕は魔法が使えない変わりとなる力を求めていた。
魔法に限りなく近い力を。

それは、王宮の図書館の奥にあった。
たった一冊の茶色の年季の入った古い本。
他の本とは違い、ボロボロの本に僕は興味を引かれた。
それは、本能だったのかもしれない。
僕はその本を開き、欲しかったものを手に入れた。


『精霊の召喚陣』


僕はその時、ようやく精霊という存在を知った。
僕はそれから精霊について調べつくした。
そして、その力を知った時、僕は再びその本を手に取っていた。
これが禁忌だという事は知っていた。
それでも、父をあいつへの復讐のために僕はこの手を伸ばした。

そうして現れたのは1人の女性だった。
艶やかな黒髪に青い瞳。
その青い瞳は僕の内に潜む冷たい感情を表したようにさえ感じた。


『ふふっ…私を呼んだのはあなた?』

「っ…そう、です。
僕が、召喚しました」


すると彼女は青い瞳をスっと細めた。
僕は彼女が威圧してくる中、ただ、彼女の瞳を見つめていた。


『……いいわ。
5つの条件を呑むのなら、ね』


その条件は、僕だけでなく彼女をも縛る鎖となった。
だが、そんな鎖が僕には心地よく感じられた。
彼女と僕を縛る鎖。
それは、彼女の提示した条件もあってか僕を必要とし、この世界に留めさせているような感覚だった。


「ありがとうございます。
僕は、マシェリといいます。
あなたは…?」

「私は、」

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コメント

  • 爽健美茶1205

    面白かったです。続きが気になるので頑張って下さい

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