世界は黄色いユリのようだ

縁呪

2話 彼は諦めるという道を選んだ

「険しい丘を登るためには
                     最初にゆっくり歩くことが必要である。」


    かの有名なシェイクスピアの名言である。
つまりは焦らず落ち着いて行動しろ。ということだ。
だがしかし!そんなのはもう遅かったのだ。
    前日新山莉織に告白し振られたことはもう学校中に広まっていた。朝に男女関係なくそのことについて話しかけてきたことがその証拠だ。コミュ力の低い俺は何を聞かれても「あ、うん」とか「そうなんだよね。ははは...」としか返事することが出来なかったのである。
   ちなみに話しかけてこなかったやつは俺に興味が無かったり「いやなんかあいつきもいから無理」とか聞こえる声で言ってきたりする奴だった。
    俺お前になんもしてないだろなんで無理とか言うの?酷くない?絶対話さないようにしよ。
    そして新山莉織は友達が沢山出来ているようで集まって中学の時の話とかしてる。
「私の中学では皆仲良かったよ〜。」
「え~凄いね。嫌いな人とかいなかったの?」
などと意味不明な話をしている。全員が仲良いとかありえんだろーが。どこの学校にもぼっちは存在してるんだよ。ソースは俺。
    女子とは凄いものだ。お互いに気を使って表面上だけの関係だからすぐに友達になれたと勘違いしてる。いや~無理だわ。あ、俺も「無理」って考えてる。なるほどこういうことか。つら。
  かという俺は窓側の後ろの席で1人読書をしている。決して友達ができないからという訳では無い。ただ話しかける人達が俺を避けていくだけなんだ。俺は悪くない。
   てかあっちから避けるんだったらもう1人でいいよ俺。すぐに崩れる関係とかノリとか気使うのめんどくさいし。だからだから当初考えてた運動部にも入らないし生徒会長もやらない。帰宅部でダラダラ過ごすさ。これが一番楽で幸せだと考える。
   
   学校が終わり帰るときに玄関で新山莉織と目が合った。と思ったら俺のことを睨みつけせっせと帰っていった。俺は声をかけることも出来ずに呆然としていた。
   ・・・何か言った方が良かったのかな...
   などと考えるが結局最後は
「まあ、いっか」
となるから考えるだけ時間の無駄だ。
だがそれがわかってても考えてしまうのが癖だ。
  いろんなことを考えながら逃伊崎愛人はゆっくり歩いて帰っていった。
    

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