双子の大神

緋想山 黒乃

本章 人喰い村

子供達が眠りに就くと同じ頃、二人は呼び出された。呼び出された先は先程の龍の像が、有るだけの殺風景な部屋。
「一つ、御願いが…」
此の世の終わりが近づいて来たかの様な顔で話した。緋想丸の複雑な心境は、此の二人には詠み切れなかった。
「俺等がに出来る事が有るなら云いなよ。龍王さん?」
心の重石おもいしが少し軽くなったのか、笑顔が造れる様になった。
「私が神界へ逝ったら、あの子供達を護って下さい。一人で自分の身が守れる様になるまで…」
二人は顔を見合わせた。最低でも十年ぐらいである。遣いの仕事も有る。如何しようと思っていると、緋想丸は云った。
碧都みと様には私が断っておきます。ですから、如何か…」
深々と長い間頭を下げた。
「何故だ?貴方が護って遣れば良いのでは?」
緋想丸は漆を見つめ云った。じっと、感情が無い眼で。
「此の村は人喰い村なのです。女子供の肉は柔らかい、それ故狙われ易いのです。黒乃、黒夜の母親は村長である『海狗かいく』に連れて行かれました。私が居なくなる頃合を見計らって子供達を連れて行くでしょう。武術、剣術等はおしえましたが未だ子供、大人には勝てないものです。」
だからなのです、緋想丸は云った。漆は考えながらに云う。
「ならば、貴方が葬儀の時だけならば看ましょう。葬儀の時だけならば戻って来れるり知ってはいると思うが…」
「なァ、何で此処まで食い下がるんだ?遣ろうぜ?困ってらっしゃるじゃァ無いか。」
今まで黙っていたくれないが口を開いた。もう、丑三つ時にまで為っていた。夜の更けに気付いた緋想丸は紅と漆を部屋に戻る様に進めると、二人は部屋へ戻って行った。

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