ラノベ作家になりたい俺とヒロインになりたい嫁

アレクさん

11話 モヤモヤ

カクヨムで連載を始めて、約一か月が経った。
現在5話まで掲載し、PV数は50。1話あたり10PVの計算だ。


「どうした?浮かない顔だね」
スマホでカクヨムを確認していると、渡瀬わたせさんに声をかけられた。
俺が現在いるのは、社員食堂だ。渡瀬さんはちょうど、休憩に来たらしい。
「いやぁ、PV数が伸びないなぁと思って…」
俺はまだ、この作品しか上げたことないし、他の作者の作品が一体どれくらいのPV数があるのかは知らないが……。
「コメントとかもまだ貰ってない?」
「そうですね…。まだです」
自分の小説のスキルアップのために、いろんな人に読んでもらって、コメントを貰いたい。
「まぁ、まだ話数が少ないから。話数が増えると読む人も増えて、コメントもついてくると思うよ」
「そうなんですかね……」


その時、ふと手に持っていたスマホが震えた。
美佳からの着信だ。


「もしもし、どうした?」
『もしもし、ゆうくん!今、時間大丈夫!?』
どことなく、呼気が荒い。何かあったのだろうか。
「あぁ、今休憩中だから大丈夫だよ」
『よかったぁ~。どうしても話したいことがあって!』
今度は一転、すごくうれしそうに声を弾ませだした。


『わ、私…!!仕事決まったの!』
「ほんとに⁉よかったな!」
もしかして、この前受けに行っていたオーディションに受かったのだろうか。
『えっとね、アニメの仕事じゃないんだけど…、ドキュメント番組のナレーションをさせてもらえることになったの‼』
その後、ナレーションの仕事を貰った経緯を話してくれた。


「へぇ、すごいな。本当にすごい」
オーディションで音響監督に気に入って貰えた。それって、美佳の声、演技がその人の心人響いたってことだろう。
誰かの心に残る。そんな演技を美佳はしたのだ。
やっぱり、俺とは歩んでいる道が違う。
あいつはプロで、俺は素人。このままでは約束が本当に夢物語だ……。


『でもね、私ナレーションなんて初めてだし、これからいっぱい頑張らなくっちゃ。練習して練習して、聞いている人に認めてもらわないといけない。愛流美佳のナレーションを。愛流美佳という声優を』
ほら、仕事が決まった今でも努力をしている。
プロになって4年の努力と、素人の10年の努力。どちらの努力が優れているのか、それは比べられないだろう。
でも、絶対に美佳の努力は計り知れない。いくら努力しても仕事がもらえない。それでも練習しなくてはどうしようもならない。そのまま仕事がもらえなかったら事務所を解雇される可能性もある。
そんな中であいつは、4年間もどんな気持ちで努力を続けていたのだろう。
『ゆうくん?』
チクリッ!と胸が痛む。
俺は美佳の努力に何も報えていない。美佳は、夢に向けて着実に道を歩んでいる。それに比べて俺はその土台にも立てていない。


いや、違うな。これは嫉妬だ。頑張っている美佳に対して嫉妬している。
なんて最低なんだ俺は。


『ゆうくん!』
「えっ!?お、おう、すまん。なんだっけ?」
美佳は考え込んでいる俺にずっと話しかけていたようだ。
『もう。あのね、私が声優をやれているのは、ゆうくんのおかげだよ。ゆうくんが仕事して、家計を養ってくれている。だから私は仕事がもらえなくても続けていける。こんな声優さん他にはいないよ。だからね、私は誰よりもうまくならなくちゃいけない。私はやっと、自分をアピールできる舞台に立てたんだよ』
こんな俺が、美佳の役に立てている。
そうか。俺も夢に向かって歩んでるんだ。
『ゆうくんが働いていなかったら、私たちの夢は、夢の又夢の話だよ。ゆうくんがいなかったら、私はまず声優に慣れていない。だからね、』


ありがとう。そう言って美佳は電話を切った。


「渡瀬さん、俺、絶対ラノベ作家になります。作家になってアニメ化して、夢を叶えます」
「そうだね。僕も負けてられないな。僕は先輩として、先にアニメ化させて待ってるよ」


やってやろう。
俺は絶対に夢を叶えてみせる。


美佳とともに………。

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