非オタの俺とオタクな彼女

芋大根

2人の会話

「あれ俺なんで寝てんだ?」
「あっ目覚めた?」

「確か俺告白して...」

翔舞は放課後ずっと気になっていた兼崎千沙登に
告白をし,彼女がオタクであることを知り、
その衝撃で少しの間気を失っていた。

「いきなり倒れたからびっくりしたよ」

「立てる?」

「大丈夫,ありがとう」

そう言い翔舞は立ち上がった。
そして、話の続きをし始めた。

「そういえばさっきの件について色々と
話したいんだけどいいかな?」
「いいけど場所移動しない?」

「確かにそうだな」

2人は学校を出て近くの公園に寄った。

「それでさっきの事なんだけど」

「俺は恋愛の方の意味で好きって言ったんだ」

「そうなんですか残念です」
「それで返事は?」

「さすがにほとんど何も知らない人と
付き合うのはちょっと...」
「そうですよねわかりました」

告白の結果翔舞は振られた。
彼女が言ってることは確かに正しい。
ほぼ何にも知らない相手と付き合うのは
抵抗があって仕方ないことだ。

「それはいいとして」

「千沙登さんってオタクなの?」

そう,これこそ今翔舞が最も聞きたいことだ!
なんせ,好きだった女の子がオタクだったのだ。
聞きたくなるのはしょうがない。

「まあ周りから見たらそうなりますね」

「はい,私はいわゆるオタクです」

「それに,BLに関しても部活にそういう事が
好きな先輩もいるので詳しいです」

「......」

オタクだけでなく腐女子という
事実も知ってしまい翔舞は一瞬思考が停止した。

「あの,大丈夫ですか?」
「ん?ああ,大丈夫ごめん何でもない」

「ならいいですけど」
「それより、色々と聞かせてはくれないかな?」
「君がオタクの理由とかそこらへんの話」
「わかりました」
「では...」

それから数十分かけて彼女の兼崎千沙登の
ことを話してもらった。
無論、彼女がオタクの理由だけだが。

「なるほど兼崎さんがアニメとか好きな理由が
わかったよ」
「教えてくれてありがとう」

「1ついいですか?」
「何?」

「翔舞さんはオタクに偏見とかありませんか?」
「翔舞でいいよ呼び方」
「なら私も千沙登で」
「了解」

2人はそうして名前で呼び合うようになり
翔舞は自分がオタクについてどう思ってるか
話し始めた。

「偏見がないといえば嘘になるけど別にないよ」
「確かに危険な奴もいるかもしれないけど
千沙登みたいな人もたくさんいるんだろ」

「第一アニメ好きとかその人の趣味だし,
1つの個性だと思うんだよ」
「だから俺は千沙登みたいな人オタクに
偏見とかは一切ない」

今自分が思っていることを全て正直に語った。
そんな翔舞に千沙登は...

「翔舞は優しいんだね」

と笑顔でそう言ってくれた。
彼女の笑顔はとても素敵で翔舞はその笑顔の
虜となった。

「それに,翔舞は私の趣味を受け入れてくれたし
バカにもしなかった」

いい話だと翔舞が思うとその瞬間たった一言で
この雰囲気が壊れた。

「翔舞もアニメとか好きになろうよ!」
「そして私の部活に入って」

「待って今凄くいい雰囲気だったよね」

「まあそうだけど私も言いたい事があるし」
「それでどうアニメ好きにならない?」

「俺もアニメは好きだけど」
「オタクにはなる気はありません」

「残念だな」

「私の部屋で一緒に見たかったんだけどな」

その一言は非リアの俺に取って凄く心に
響いた。女子の部屋に入れるなんて男の夢だ。
だが翔舞は残念な事に非オタである。

「そろそろ帰らないと」
「そうだな」

「明日暇?」

「良かったら来る?」
「どこに?」

「私達の部室に」

コメント

  • seabolt

    なかなかです。

    0
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