不幸な男は異世界で最強になったようです
50#なんで入ってくるわけ?
よし、次は新シリーズだ.........ちなみに作品名はSランクの容姿端麗完璧な妹とEランクの劣等生な兄の兄弟高校生活です。
今回は少し長いです。
あの後夕食までずっと部屋に引きこもっていました、俺です。温泉宿といえば飯、そして何よりも浴衣!というわけで中居さんが俺が温泉に入りに行っているあいだに用意してくれたのであろう浴衣を着てみる。とても着心地が良く、生地も絹かなにかの素材出てきているため肌触りも素晴らしい。もちろんパンツ一丁の上に着るのが当たり前だろう。
「うん、やっぱ悪くねぇなこれ。温泉といえば浴衣だしな」
「ショウタ様、夕食の準備が整っております。大部屋までお越しくださいませ」
「あ、は〜い。今行きます」
俺はとりあえず神威を持って大部屋に行く。既に大部屋には俺以外の全員が揃っていた。もちろん皆浴衣でとても似合っていた。ん?待て待て、よく見たら着方が全然違うじゃん!なんで振袖みたいなのが付いてんだよ!
「ショウタ遅いわよ〜!
「悪い悪い。というかお前らそれ.........」
「あ、これ?これはYUKATAと言ってね?遠方の国から伝わってきたものらしいの。ショウタも早くちゃんと着なさい?それと、どう?似合ってる?」
なんだ?俺と同じく日本から来たやつでもいるのか?としたら会ってみたいな〜。
「いや、似合ってるも何も着方が違ってるぞ?お前ら全員」
「「ええ!?」」
声を揃えて驚く全員に俺は落胆した。いやこいつら、これで正解だと思ってんのかよ、逆にやばいだろうよ。そんなわけで1人ずつ着方を直そうとしたのだがまさかのアラン以外は全員裸で着てるみたいで俺見れないんだよな。ということでエレナに幻覚魔法をかけてもらってハクアから着方を正した。
というよりハクアを直したらやけに飲み込みが早くその後全員を正して行った。俺はアランには浴衣のことを話していたのでなんとかパンツだけは履いていたようだ。俺はハクアのを終えるとアランのを直した。地味にハクアってかなり器用なんだよな〜。
「危ない危ない.......危うく変態が生まれるところだったわ」
「全くだな。危うくアテナ様の裸までも見られるところだった」
「私は特に........」
「アテナ様は黙っていてください!」
「おうお前ら、流石に男と言えども欲情なんかしないからな?流石にここで襲うほど俺は落ちてないぞ?」
その後は何事もなく食事を終え、各自グループが部屋に戻り例によって俺は1人で部屋に。
「やはり、この五日間は1人で居なければならないのだな」
「はぁ、もう生き殺しもいいところだろこれ。テレビもねぇしスマホもねぇし、はぁ......ひまだー」
いや本当にこれ暇なんです。食べ終わったのが俺が寝る時間と全く合わないんです。
「まぁ、なにか話でもするか。神威〜なんかないか〜?」
「そうだな、といっても特に話すこともないのだ。 主の話でも聞かせて欲しい」
「俺の話〜?ん〜んじゃ俺の武勇伝でも話すか」
もちろん俺の武勇伝(ゲーム)である。
◇
「そこで俺の高火力の魔法で勝ちってわけだ」
「なるほど!そうすればたしかに楽だな!」
何の話をしているのかといえば、チョベルオンラインというゲームのPVPの話をしてる。
「んで、そいつに言ってやったんだ。ソロのお前では限界があるが俺たちとやったらもっと高みを目指せるぜ。だからギルドに来ないか?ってな。んでその後そいつは俺たちのギルドに入って俺達は最強になったんだ」
「やはり、仲間で戦うというのが大事なのか.......主もなかなかだな」
「だろ?皆からはニー太とか言われてたからな」
「それはそれでどうかと思うが........まぁ話がわかる我であるからこのような反応だが、あやつらはもっと興奮するのだろうな」
「そうだな〜。おっと、話し込んだらこんな時間か。よし、寝よう」
「それでは我は先に眠らせてもらおう」
というわけで俺は消し方がわからない、元から設置されている明かり以外すべてを落として布団に入った。やはり風呂でかなりリラックスできたのかすぐに眠れた。
◇
何時間寝ただろうか、恐らくそんなには眠ってないだろう。夜はまだ開けていなく、辺りはまだまだ真っ暗だ。体感でいうと現在2時くらいだろうか、引きこもりやってた時の勘はかなり当たったからな。
「ふぁ〜あ。もう目が覚めちったわ。お茶でも飲もう.........」
俺は近くにあったポットから暖かいお茶を出す。この時期はまだ冬であるため寒い。特にこの水の国と言われているアルタイルも、夜は温泉以外どこもかしこも凍ってしまって、さらに気温が下がっているため宿内も暖房がかかっているとはいえ、ひんやりとしているのだ。
「はぁ〜。神威は........寝てるか流石に。剣が寝るってなんだろう......?まぁ、意思持ってるしそうか」
謎の自問自答をしながらお茶を飲み、外の景色を眺めていた。先述言ったようにどこもかしこも凍っているため、特に見るものはないのだが。明かりは街灯でさえも落ちているため真っ暗だ。
「........寝るか」
俺は手早く湯呑みを洗い、再び布団に潜る。先程まで寝ていたため、まだ布団に熱が残っているので寒くはない。それにしても今考えるとポツンと部屋に1人でいるのも虚しいな.......皆は並べて寝てるんだろうな〜。エレナめ...........なんてことするんだ.........
「ショウタは........起きてるわけないよな........」
「っ!?」
その声の主は覚えがある。もちろんいつも聞いている声、心配そうに呟いたその少女の名前を俺は知っている。そう、ハクアだ。ハクアが引き戸を開けて入室してきたのだ。
「寝てるな.........フフッ寝てる顔もまたいいな♪」
何言ってんだこいつ。反対向いててよかったぜ。てか何しにきやがったこいつ。
「........別にいいよな.........わ、私だって女だ。そうだ、これは許されるんだ、よし.........」
自分に言い聞かせるように呟いた後俺の背中に違和感があった。そのままじっとしていると背中に何やら柔らかい感触が.........
「っ!?!?!?」
あろう事かハクアが俺に抱きつくようにして布団に入ってきたのだ。背中には大きい2つの山が押し付けられるような感じになっていて、手を回して抱きついている。これどうしようか.........
「スゥー、スゥー」
「.........こいつ」
ハクアはついに寝息を立てながら寝てしまった。俺どうしたらいいんだこれ?何、襲えばいいの?やだよ?俺まだまだ責任取れるような度胸ないよ?とにかく身動きが取れない!
「..........」
「ダメだわこれ。寝よ」
ショウタは諦めてしまった!!
◇
2時間後、何で2時間後と分かるかと言えば、俺はその間ずっと起きていたからだ。寝ようと思っても俺の後ろに恋人、しかも美女がいれば寝れるわけがないじゃないですかやだ〜。1時間すぎた時に俺の首が濡れた。何かというとハクアのよだれである。俺は静かに風魔法を発動して乾かした。そして何事も起こらず2時間が過ぎた今、俺は手が解けたためにハクアの方を向いている。
「........ん。んん..........らめらぞひょうた、しょれはカエルら〜」
「本当に幸せそうに寝ているな.........」
てかなんの夢見てんだよこいつ。と、急にハクアの表情が苦しいものになった。体が震え始め、再び俺が包まれる。今度は手が俺の後頭部を抑えたためにハクアの胸にダイレクトアタック。浴衣のあいだから地味に見える谷間に顔が埋まった。
「ムグゥ........!!!(このやろう)」
「...........」
流石に勘違いされかねないので頑張って手をどけて枕元に戻った。そしてその時だった。パチッと目が開いて俺と見つめ合う形となる。俺は動揺せずにとりあえず疑問をぶつけてみる。
「.........何してんのお前」
「〜〜〜〜〜〜!!!」
俺が起きていることを認識したハクアが一気に顔と耳を真っ赤に染める。
「何してんだって聞いてるんだけど」
「い、いやこれはだな!あ、あのあれだ!寒かったから!」
「寒いなら他のやつの布団に潜り込めばよかったろ。なんでお前深夜2時に俺の部屋に来て布団に入りこんでるわけ?」
「なっ!お前起きていたのか!?」
「お前が来る4分前くらいに目が覚めたんだよ。んでまた寝ようとしたら.......なぁ?」
「す、すまない」
「それにお前、ヨダレ垂らしてきやがって......お前起こさないようにするのどれだけ大変だったと思ってんだ」
「そ、それは悪かった。というよりいつから?」
「ん?いつからってお前が入り込んできた時から2時間ずっと起きてるぞ?数分前にお前自分で俺を胸に抱き寄せてたしな」
「なっ!、そんなことするわけが........」
「お前に嘘ついたことあるか?ん?」
そう言うとハクアは押し黙ってしまった。もちろん俺は嘘なんかついたことはないため正論を言ったまでだ。
「でも女湯に入ってきたじゃないか」
「それ今言うか!?あれは事故だ!たまたまだ!」
「そんなたまたまがあってたまるか!自覚がないにしてもほどがありすぎるぞ!」
「今回のは本当に違うって!」
「全く、私だからまだ良かったものの。アテナ様ならどうなっていた事か 」
「まず平手は免れないだろうな。その後お前らからタコ殴りとか?」
「分かってるじゃないか。そういうことだ」
クスクスと笑いながらバカにしているような口調で言う。これがいつもの俺とハクアの言い合いである。
「まぁ、とにかくだ。なんで入ってきたんだよ」
「そ、それは..........その、あれだ」
「なんだよ、今更告白の時に襲おうとしてたお前が渋ることなんか何も無いだろ」
「あ、あれは私もどうかしていたわけで!」
「わかったわかった。んで?」
「こいつ!はぁ...........もういい。その、だな」
どんどんとハクアの顔が赤くなっていくのが僅かな照明の中でもわかる。耳も真っ赤になっていた。
「...........から」
「ん?なんて〜?聞こえないな〜」
「寝たかったから...........」
「アリシアちゃん聞こえないよ〜」
「その呼び方はやめろと何度も!」
「分かったから早く言いたまえよ、ちみ?」
「その、ショウタと一緒に寝たかったから...........」
「だから布団に来たわけだ?」
そう言うとハクアはコクリと頷く。いつも正義感溢れ大人びた口調をしているハクアだがこういう可愛いところがあるのも忘れてはいけない。わりと俺の恋人たちは甘えたがりなのだ。
「お前は.......寝たいならエレナに言えばいいだろ?」
「そうしたら平等じゃないって言われると思って........」
「いや、お前はおとなしめだと思うぞ?他の3人なんかこの1ヶ月でどれだけ甘えられたことか」
「そうなのか!?エレナ達め.........」
そうだ、この1ヶ月間、平等ではないと確実に言えるくらい3人が甘えてきていた。だからハクアはこれでもまだまだだ。
「いや〜本当に甘えがすごいのなんの。毎日ドキドキだったね!」
「お、お前もよくそんな平気で......!」
「逆にお前はなんで甘えてこないんだと思ったりもしたぞ?」
「そ、そうか。..........じゃあ今日は私の番だな」
そう言ってハクアはさらに距離を近づけてくる。ち、近いっす!
「い、いや急にこられても.......」
「どうした?甘えていいんだろう?」
「それもそうだが.......ていうかお前なんの夢を見てたわけ?」
「確か........っ」
「ん?、どうした」
ハクアは急に顔を俺の胸に埋めた。そしてだんだんと肩が震えてきていた。
「カエルのモンスターを討伐する夢から、急にショウタが死ぬ夢に........」
「縁起でもないこと言うなよ。正夢になったらどうするんだ」
「怖い。私は怖い。ショウタが死ぬことが私は今1番怖いんだ。お前が死んだら私はどうやって生きていけばって思うと........」
「前も言ったけどな、俺はお前らを置いて死ぬなんてことは無いさ。絶対に守ってやるし、死なせもしない。俺自身も絶対に死なない、だからそんな夢見ても気にすんな。な?」
俺はハクアの頭を撫でてやる。すると少しだけ体の震えが止まり、表情も和らいだ。
「そう、だな。どんな状況でも私たちの前からいなくならなかったショウタなら大丈夫か」
「そういうこったな」
「私らしくなかったな。こんな話をしてすまない」
「さて、寝るか」
「え、ね、寝るのか」
「当たり前だろ、今何時だと思ってんだ。何か起こるはずがないだろ」
「そ、そうか........」
そう言うとハクアはどこか悲しそうな表情をする。なんですか度胸なんて物ないっすよ俺。そんなこんなで俺は目を閉じる。その後は何もなく夜が明けた。
今回は少し長いです。
あの後夕食までずっと部屋に引きこもっていました、俺です。温泉宿といえば飯、そして何よりも浴衣!というわけで中居さんが俺が温泉に入りに行っているあいだに用意してくれたのであろう浴衣を着てみる。とても着心地が良く、生地も絹かなにかの素材出てきているため肌触りも素晴らしい。もちろんパンツ一丁の上に着るのが当たり前だろう。
「うん、やっぱ悪くねぇなこれ。温泉といえば浴衣だしな」
「ショウタ様、夕食の準備が整っております。大部屋までお越しくださいませ」
「あ、は〜い。今行きます」
俺はとりあえず神威を持って大部屋に行く。既に大部屋には俺以外の全員が揃っていた。もちろん皆浴衣でとても似合っていた。ん?待て待て、よく見たら着方が全然違うじゃん!なんで振袖みたいなのが付いてんだよ!
「ショウタ遅いわよ〜!
「悪い悪い。というかお前らそれ.........」
「あ、これ?これはYUKATAと言ってね?遠方の国から伝わってきたものらしいの。ショウタも早くちゃんと着なさい?それと、どう?似合ってる?」
なんだ?俺と同じく日本から来たやつでもいるのか?としたら会ってみたいな〜。
「いや、似合ってるも何も着方が違ってるぞ?お前ら全員」
「「ええ!?」」
声を揃えて驚く全員に俺は落胆した。いやこいつら、これで正解だと思ってんのかよ、逆にやばいだろうよ。そんなわけで1人ずつ着方を直そうとしたのだがまさかのアラン以外は全員裸で着てるみたいで俺見れないんだよな。ということでエレナに幻覚魔法をかけてもらってハクアから着方を正した。
というよりハクアを直したらやけに飲み込みが早くその後全員を正して行った。俺はアランには浴衣のことを話していたのでなんとかパンツだけは履いていたようだ。俺はハクアのを終えるとアランのを直した。地味にハクアってかなり器用なんだよな〜。
「危ない危ない.......危うく変態が生まれるところだったわ」
「全くだな。危うくアテナ様の裸までも見られるところだった」
「私は特に........」
「アテナ様は黙っていてください!」
「おうお前ら、流石に男と言えども欲情なんかしないからな?流石にここで襲うほど俺は落ちてないぞ?」
その後は何事もなく食事を終え、各自グループが部屋に戻り例によって俺は1人で部屋に。
「やはり、この五日間は1人で居なければならないのだな」
「はぁ、もう生き殺しもいいところだろこれ。テレビもねぇしスマホもねぇし、はぁ......ひまだー」
いや本当にこれ暇なんです。食べ終わったのが俺が寝る時間と全く合わないんです。
「まぁ、なにか話でもするか。神威〜なんかないか〜?」
「そうだな、といっても特に話すこともないのだ。 主の話でも聞かせて欲しい」
「俺の話〜?ん〜んじゃ俺の武勇伝でも話すか」
もちろん俺の武勇伝(ゲーム)である。
◇
「そこで俺の高火力の魔法で勝ちってわけだ」
「なるほど!そうすればたしかに楽だな!」
何の話をしているのかといえば、チョベルオンラインというゲームのPVPの話をしてる。
「んで、そいつに言ってやったんだ。ソロのお前では限界があるが俺たちとやったらもっと高みを目指せるぜ。だからギルドに来ないか?ってな。んでその後そいつは俺たちのギルドに入って俺達は最強になったんだ」
「やはり、仲間で戦うというのが大事なのか.......主もなかなかだな」
「だろ?皆からはニー太とか言われてたからな」
「それはそれでどうかと思うが........まぁ話がわかる我であるからこのような反応だが、あやつらはもっと興奮するのだろうな」
「そうだな〜。おっと、話し込んだらこんな時間か。よし、寝よう」
「それでは我は先に眠らせてもらおう」
というわけで俺は消し方がわからない、元から設置されている明かり以外すべてを落として布団に入った。やはり風呂でかなりリラックスできたのかすぐに眠れた。
◇
何時間寝ただろうか、恐らくそんなには眠ってないだろう。夜はまだ開けていなく、辺りはまだまだ真っ暗だ。体感でいうと現在2時くらいだろうか、引きこもりやってた時の勘はかなり当たったからな。
「ふぁ〜あ。もう目が覚めちったわ。お茶でも飲もう.........」
俺は近くにあったポットから暖かいお茶を出す。この時期はまだ冬であるため寒い。特にこの水の国と言われているアルタイルも、夜は温泉以外どこもかしこも凍ってしまって、さらに気温が下がっているため宿内も暖房がかかっているとはいえ、ひんやりとしているのだ。
「はぁ〜。神威は........寝てるか流石に。剣が寝るってなんだろう......?まぁ、意思持ってるしそうか」
謎の自問自答をしながらお茶を飲み、外の景色を眺めていた。先述言ったようにどこもかしこも凍っているため、特に見るものはないのだが。明かりは街灯でさえも落ちているため真っ暗だ。
「........寝るか」
俺は手早く湯呑みを洗い、再び布団に潜る。先程まで寝ていたため、まだ布団に熱が残っているので寒くはない。それにしても今考えるとポツンと部屋に1人でいるのも虚しいな.......皆は並べて寝てるんだろうな〜。エレナめ...........なんてことするんだ.........
「ショウタは........起きてるわけないよな........」
「っ!?」
その声の主は覚えがある。もちろんいつも聞いている声、心配そうに呟いたその少女の名前を俺は知っている。そう、ハクアだ。ハクアが引き戸を開けて入室してきたのだ。
「寝てるな.........フフッ寝てる顔もまたいいな♪」
何言ってんだこいつ。反対向いててよかったぜ。てか何しにきやがったこいつ。
「........別にいいよな.........わ、私だって女だ。そうだ、これは許されるんだ、よし.........」
自分に言い聞かせるように呟いた後俺の背中に違和感があった。そのままじっとしていると背中に何やら柔らかい感触が.........
「っ!?!?!?」
あろう事かハクアが俺に抱きつくようにして布団に入ってきたのだ。背中には大きい2つの山が押し付けられるような感じになっていて、手を回して抱きついている。これどうしようか.........
「スゥー、スゥー」
「.........こいつ」
ハクアはついに寝息を立てながら寝てしまった。俺どうしたらいいんだこれ?何、襲えばいいの?やだよ?俺まだまだ責任取れるような度胸ないよ?とにかく身動きが取れない!
「..........」
「ダメだわこれ。寝よ」
ショウタは諦めてしまった!!
◇
2時間後、何で2時間後と分かるかと言えば、俺はその間ずっと起きていたからだ。寝ようと思っても俺の後ろに恋人、しかも美女がいれば寝れるわけがないじゃないですかやだ〜。1時間すぎた時に俺の首が濡れた。何かというとハクアのよだれである。俺は静かに風魔法を発動して乾かした。そして何事も起こらず2時間が過ぎた今、俺は手が解けたためにハクアの方を向いている。
「........ん。んん..........らめらぞひょうた、しょれはカエルら〜」
「本当に幸せそうに寝ているな.........」
てかなんの夢見てんだよこいつ。と、急にハクアの表情が苦しいものになった。体が震え始め、再び俺が包まれる。今度は手が俺の後頭部を抑えたためにハクアの胸にダイレクトアタック。浴衣のあいだから地味に見える谷間に顔が埋まった。
「ムグゥ........!!!(このやろう)」
「...........」
流石に勘違いされかねないので頑張って手をどけて枕元に戻った。そしてその時だった。パチッと目が開いて俺と見つめ合う形となる。俺は動揺せずにとりあえず疑問をぶつけてみる。
「.........何してんのお前」
「〜〜〜〜〜〜!!!」
俺が起きていることを認識したハクアが一気に顔と耳を真っ赤に染める。
「何してんだって聞いてるんだけど」
「い、いやこれはだな!あ、あのあれだ!寒かったから!」
「寒いなら他のやつの布団に潜り込めばよかったろ。なんでお前深夜2時に俺の部屋に来て布団に入りこんでるわけ?」
「なっ!お前起きていたのか!?」
「お前が来る4分前くらいに目が覚めたんだよ。んでまた寝ようとしたら.......なぁ?」
「す、すまない」
「それにお前、ヨダレ垂らしてきやがって......お前起こさないようにするのどれだけ大変だったと思ってんだ」
「そ、それは悪かった。というよりいつから?」
「ん?いつからってお前が入り込んできた時から2時間ずっと起きてるぞ?数分前にお前自分で俺を胸に抱き寄せてたしな」
「なっ!、そんなことするわけが........」
「お前に嘘ついたことあるか?ん?」
そう言うとハクアは押し黙ってしまった。もちろん俺は嘘なんかついたことはないため正論を言ったまでだ。
「でも女湯に入ってきたじゃないか」
「それ今言うか!?あれは事故だ!たまたまだ!」
「そんなたまたまがあってたまるか!自覚がないにしてもほどがありすぎるぞ!」
「今回のは本当に違うって!」
「全く、私だからまだ良かったものの。アテナ様ならどうなっていた事か 」
「まず平手は免れないだろうな。その後お前らからタコ殴りとか?」
「分かってるじゃないか。そういうことだ」
クスクスと笑いながらバカにしているような口調で言う。これがいつもの俺とハクアの言い合いである。
「まぁ、とにかくだ。なんで入ってきたんだよ」
「そ、それは..........その、あれだ」
「なんだよ、今更告白の時に襲おうとしてたお前が渋ることなんか何も無いだろ」
「あ、あれは私もどうかしていたわけで!」
「わかったわかった。んで?」
「こいつ!はぁ...........もういい。その、だな」
どんどんとハクアの顔が赤くなっていくのが僅かな照明の中でもわかる。耳も真っ赤になっていた。
「...........から」
「ん?なんて〜?聞こえないな〜」
「寝たかったから...........」
「アリシアちゃん聞こえないよ〜」
「その呼び方はやめろと何度も!」
「分かったから早く言いたまえよ、ちみ?」
「その、ショウタと一緒に寝たかったから...........」
「だから布団に来たわけだ?」
そう言うとハクアはコクリと頷く。いつも正義感溢れ大人びた口調をしているハクアだがこういう可愛いところがあるのも忘れてはいけない。わりと俺の恋人たちは甘えたがりなのだ。
「お前は.......寝たいならエレナに言えばいいだろ?」
「そうしたら平等じゃないって言われると思って........」
「いや、お前はおとなしめだと思うぞ?他の3人なんかこの1ヶ月でどれだけ甘えられたことか」
「そうなのか!?エレナ達め.........」
そうだ、この1ヶ月間、平等ではないと確実に言えるくらい3人が甘えてきていた。だからハクアはこれでもまだまだだ。
「いや〜本当に甘えがすごいのなんの。毎日ドキドキだったね!」
「お、お前もよくそんな平気で......!」
「逆にお前はなんで甘えてこないんだと思ったりもしたぞ?」
「そ、そうか。..........じゃあ今日は私の番だな」
そう言ってハクアはさらに距離を近づけてくる。ち、近いっす!
「い、いや急にこられても.......」
「どうした?甘えていいんだろう?」
「それもそうだが.......ていうかお前なんの夢を見てたわけ?」
「確か........っ」
「ん?、どうした」
ハクアは急に顔を俺の胸に埋めた。そしてだんだんと肩が震えてきていた。
「カエルのモンスターを討伐する夢から、急にショウタが死ぬ夢に........」
「縁起でもないこと言うなよ。正夢になったらどうするんだ」
「怖い。私は怖い。ショウタが死ぬことが私は今1番怖いんだ。お前が死んだら私はどうやって生きていけばって思うと........」
「前も言ったけどな、俺はお前らを置いて死ぬなんてことは無いさ。絶対に守ってやるし、死なせもしない。俺自身も絶対に死なない、だからそんな夢見ても気にすんな。な?」
俺はハクアの頭を撫でてやる。すると少しだけ体の震えが止まり、表情も和らいだ。
「そう、だな。どんな状況でも私たちの前からいなくならなかったショウタなら大丈夫か」
「そういうこったな」
「私らしくなかったな。こんな話をしてすまない」
「さて、寝るか」
「え、ね、寝るのか」
「当たり前だろ、今何時だと思ってんだ。何か起こるはずがないだろ」
「そ、そうか........」
そう言うとハクアはどこか悲しそうな表情をする。なんですか度胸なんて物ないっすよ俺。そんなこんなで俺は目を閉じる。その後は何もなく夜が明けた。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
267
-
-
314
-
-
52
-
-
107
-
-
439
-
-
75
-
-
1978
-
-
70810
-
-
35
コメント
垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)
新作って魔法科高校の劣等生じゃねぇか!?w