不幸な男は異世界で最強になったようです
48#水の国、アルタイル
俺はジャイアントボアの反応があった場所へと『強化』の魔法で向かっていた。反応はどんどんと近くなりやがて敵影が確認できるまで近くなった。無数に赤く光る目はどんどんとこちらに向かって突き進んでいた。
「あれか」
「主よ、近距離攻撃は遠慮している方がいい。囲まれたら突撃パラダイスだからな」
「わあったよ。んじゃ魔法しかないな」
というわけで剣を納刀し、『隠密』を発動して接近する。ある程度距離が近くなったところで地面と水平に腕を上げ魔法を発動する。
「さて........『テンペランスボルト』!」
手に黄色の魔法陣を展開し、発生した磁波の強い電流が1匹のジャイアントボアの命を刈り取った。それに気づいた周りの個体が立ち止まる。
「ブフォォォォォ!」
「ブフォッ!?ブフォ!」
「さて、これでどうだ『インフェルノレイン』!」
手を天に掲げ、上空に無数の赤い魔法陣が展開される。やがて灼熱の炎が天から降り注ぎ、無数のジャイアントボアを焼き殺す。魔物であっても獣の感は残っているらしく、火を見た途端に進行方向とは逆に走り出した。
「ん?これでいいのか?」
「これで大丈夫なはずだ。とりあえず一件落着というわけだな」
「んで......これどうするよ?」
「主が倒したのだから主が決めることだろう。我は何も言わぬぞ」
「食えるのか?」
「一応食べることは可能だがあまりおすすめはせんな」
「んじゃ焼くか。焼却だ焼却」
結論は汚物は焼却だァ!で決定した。その後手短に焼却し、野営ポイントに戻った。気がつけば夜明け頃で今気づいたのだが俺は一睡もしていない。故に今めちゃくちゃ眠いのだ。
「ふぁ〜あ。神威、今何時だ?」
「恐らくは早朝4時頃だな。まだ今から眠れば間に合うだろう」
「んじゃ寝るかぁ〜........」
俺は寝袋に早々に入り、1分もしないうちに意識が落ちた。今考えるととっくに交代の時間はすぎてるのに誰も起きてこないっていうな。
◇
気がついたのは俺の目に眩しい光が差し込んできた頃。ゆらゆらと揺られる感覚を背中に感じながら非常にいい目覚めをした。今日も俺の後頭部には柔らかい感触があった。
「おはようございますマスター。一応今は夕方なのですが」
「!、夕方!?俺そんなに寝てたのか.......」
「やぁ、おそよショウタ。かなりの寝坊じゃないか」
「まぁ色々あったんだよ、察してくれ。今どこら辺だ?」
「えっとね、今はもうすぐ今日の宿泊地に着くってところ。今日の昼は魚だったよ。お刺身は美味しかったな〜」
「起こしてくれよ!、なんでお前ら俺の知らないところで楽しんでんの!?ねぇ!?」
「だってショウタあまりにも気持ちよさそうに寝てるんだもん。それはもう起こすのが悪いくらいに」
「はぁ、もういいや。このペースだと明日の昼頃か?」
「そのくらいだね。元からその予定だったけどね」
その後は適当な話をして夜、またしても俺が見張り番にされた。たまには夜も寝させてくれよ!
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーヒマダー」
「なぜにカタコトなのだ主」
「知らんよ。あまりにも暇だったからじゃね?」
「そんな事あるわけがなかろう。それにしても主が暇なのもわからないことは無いぞ。何せ周りに敵の反応が全くない上に、反応があるのは小動物だからな」
そう、現在俺達がキャンプを張っているシースの森はアルタイルの近隣に属する緑豊かな森で、モンスターが一切いないことで有名なのだ。川が澄み渡り、緑豊か、アルタイルの特産であるシトラスという水分が多くすごく甘い梨のような形の果実が取れる。そんな中で俺は野営番をさせられているわけだ。もちろん理由は「寝すぎたから眠くないだろう?」と。理不尽だ。
「大変だね」
「ん?、アランどうした?」
「いやね、寝付けなくてさ。話をしようかなって」
「何の話だ?話すことなんかほとんどないんじゃないか?」
「いやぁ、会食の時にかなり話し込んだけどそれでもまだまだ僕は知りたいことが多いよ。例えば君の正体とか」
なるほどな、勘が鋭いところがたまに傷だ。さて、どう対処するか。
「何のことだ?俺は普通に名もしれない山奥の村の........」
「またまた〜。神器所持してるし最初からレベルがカンストなんてことこの世界であるはずがないだろ?」
「だから、モンスターを狩ってたからそれでレベルがだな........」
「レベルのカウントは絶対にギルドカードを登録してからだよ。これは絶対不変の決まりだからね。君の言い分はうまく出来てるけど僕の前じゃ無意味だね。僕はこの世界の全ての規則を知ってる、だてに妖精王なんか名乗ってないよ。率直に聞くけど君はこの世界の住人じゃないだろ?」
「........はぁ、お前には敵わねぇな。そうだよ、俺はこの世界の住人じゃない。ほかの世界から来た異端者だ」
「神器はどうして所持してるんだい?って、神威に聞けばわかるか。ねぇ?神威」
「!?、どうして名前を?」
「僕は神器所有者の神器名と形は全て覚えているよ。現に僕もゲイボルグを持っている身だからね。さて、どうしてかな?神威」
「貴様のような勘のいい者は厄介だな。さて、どうしてだったか?それはな、主は神に認められたものだからだ。我を所持してる理由は主より聞くのが1番だろう」
「へぇ〜。んで、神威の言った意味を含めてどうしてなんだい?ショウタ」
「神威お前な.........まぁいいかもうバレてんだから。実はな.........」
その後俺がここに来た経緯を話した。最初のあたりからアランは目を輝かせながら、それこそ新しい玩具を与えられた子供のような目で俺の話を聞いていた。
「そんなことが!いや〜驚きだよ」
「そんなわけで今に至るというわけだな。今は剣聖になって4人の恋人がいるリア充生活を送ってるってわけさね」
「にしても本当に転生なんて話あるんだねぇ」
「信じるのか?ありえないなら信じないだろ?」
「君がこの世界の住人じゃないのは確定してるし、転生の話も納得が行くよ。にしてもこの世界の神に会うなんてあるんだね。君がいたニホンって国も気になるしね。いや〜やっぱり君に聞くことはまだまだ山のようにあるよ〜!」
「他人の人生譚なんて面白くないだろ。それに俺だって話したくないしな」
「どうしてだい?君はあっちの世界の学校に行っていたんだろ?その、コウコウセイっていう肩書きで」
「一応........な」
「ん?一応?」
「ここからはたとえエレナたちであっても話さない。俺の人生だけは誰にも話す気は無い」
「そうか、話したくないなら僕は強制しないよ。だからそのニホンって国について教えてよ!」
その後は日本の話をした。アランは先述のような目で静かに聞いていた。知識の探求者ってのは本当にめんどくさいと思った。
「いや〜素晴らしい話だったよ。今のでご飯十杯はいけるね!」
「変態かお前は。俺にしたら話す予定のなかった話なんだがな」
「君、いつかは彼女達に話すのかい?」
「.........話すつもりは無いさ、今の俺は仮にも生まれ変わった俺だ。生前の話なんか誰にもできないだろ?」
「僕は今の話と話すつもりがない話、どっちも彼女たちに言った方がいいと思うよ」
「どうしてだ?俺は別に.......」
「人には秘密の一つや二つあるだろうね。でも、やがて君の嫁になる彼女達ならその過去もわかってくれるんじゃないかな。君は恐れているんだろ?昔の自分を話したら軽蔑されてしまうのじゃないかってね」
「俺の過去を知ってるような口ぶりだな。たしかに俺はお前が言ったような理由で話すつもりはさらさらないがなぜ分かった?」
「簡単だよ。君が僕に話してくれたニホンの国の場所は君の今醸し出す雰囲気と全く合わない場所ばかりだった。恐らく君は周りから蔑まれるような人生を送ってきたんじゃないかってね」
「お前の推理力と想像力には舌を巻くよ。何にせよ俺は今は話す気は無い、それだけは変わらないさ」
「結局決めるのは君だからこんなことは言うべきじゃないんだけど一つ。君はもやもやを抱きながら生活するのと楽になって生活するのどっちがいい?しっかりと考えるべきだよ。じゃあね、おやすみ」
そう言うとアランは馬車の中に戻っていった。俺はまたも頭を悩まされる結果となった。
夜が明け、今日は珍しく何も眠くなかった俺は昼についた検問を終え、中へと入った。その先で俺達を待っていたのは街内に流れる綺麗な川、上空を覆う透き通るような水のドーム、様々な水のオブジェ、そして至る所に見える温泉宿だった。
「あれか」
「主よ、近距離攻撃は遠慮している方がいい。囲まれたら突撃パラダイスだからな」
「わあったよ。んじゃ魔法しかないな」
というわけで剣を納刀し、『隠密』を発動して接近する。ある程度距離が近くなったところで地面と水平に腕を上げ魔法を発動する。
「さて........『テンペランスボルト』!」
手に黄色の魔法陣を展開し、発生した磁波の強い電流が1匹のジャイアントボアの命を刈り取った。それに気づいた周りの個体が立ち止まる。
「ブフォォォォォ!」
「ブフォッ!?ブフォ!」
「さて、これでどうだ『インフェルノレイン』!」
手を天に掲げ、上空に無数の赤い魔法陣が展開される。やがて灼熱の炎が天から降り注ぎ、無数のジャイアントボアを焼き殺す。魔物であっても獣の感は残っているらしく、火を見た途端に進行方向とは逆に走り出した。
「ん?これでいいのか?」
「これで大丈夫なはずだ。とりあえず一件落着というわけだな」
「んで......これどうするよ?」
「主が倒したのだから主が決めることだろう。我は何も言わぬぞ」
「食えるのか?」
「一応食べることは可能だがあまりおすすめはせんな」
「んじゃ焼くか。焼却だ焼却」
結論は汚物は焼却だァ!で決定した。その後手短に焼却し、野営ポイントに戻った。気がつけば夜明け頃で今気づいたのだが俺は一睡もしていない。故に今めちゃくちゃ眠いのだ。
「ふぁ〜あ。神威、今何時だ?」
「恐らくは早朝4時頃だな。まだ今から眠れば間に合うだろう」
「んじゃ寝るかぁ〜........」
俺は寝袋に早々に入り、1分もしないうちに意識が落ちた。今考えるととっくに交代の時間はすぎてるのに誰も起きてこないっていうな。
◇
気がついたのは俺の目に眩しい光が差し込んできた頃。ゆらゆらと揺られる感覚を背中に感じながら非常にいい目覚めをした。今日も俺の後頭部には柔らかい感触があった。
「おはようございますマスター。一応今は夕方なのですが」
「!、夕方!?俺そんなに寝てたのか.......」
「やぁ、おそよショウタ。かなりの寝坊じゃないか」
「まぁ色々あったんだよ、察してくれ。今どこら辺だ?」
「えっとね、今はもうすぐ今日の宿泊地に着くってところ。今日の昼は魚だったよ。お刺身は美味しかったな〜」
「起こしてくれよ!、なんでお前ら俺の知らないところで楽しんでんの!?ねぇ!?」
「だってショウタあまりにも気持ちよさそうに寝てるんだもん。それはもう起こすのが悪いくらいに」
「はぁ、もういいや。このペースだと明日の昼頃か?」
「そのくらいだね。元からその予定だったけどね」
その後は適当な話をして夜、またしても俺が見張り番にされた。たまには夜も寝させてくれよ!
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーヒマダー」
「なぜにカタコトなのだ主」
「知らんよ。あまりにも暇だったからじゃね?」
「そんな事あるわけがなかろう。それにしても主が暇なのもわからないことは無いぞ。何せ周りに敵の反応が全くない上に、反応があるのは小動物だからな」
そう、現在俺達がキャンプを張っているシースの森はアルタイルの近隣に属する緑豊かな森で、モンスターが一切いないことで有名なのだ。川が澄み渡り、緑豊か、アルタイルの特産であるシトラスという水分が多くすごく甘い梨のような形の果実が取れる。そんな中で俺は野営番をさせられているわけだ。もちろん理由は「寝すぎたから眠くないだろう?」と。理不尽だ。
「大変だね」
「ん?、アランどうした?」
「いやね、寝付けなくてさ。話をしようかなって」
「何の話だ?話すことなんかほとんどないんじゃないか?」
「いやぁ、会食の時にかなり話し込んだけどそれでもまだまだ僕は知りたいことが多いよ。例えば君の正体とか」
なるほどな、勘が鋭いところがたまに傷だ。さて、どう対処するか。
「何のことだ?俺は普通に名もしれない山奥の村の........」
「またまた〜。神器所持してるし最初からレベルがカンストなんてことこの世界であるはずがないだろ?」
「だから、モンスターを狩ってたからそれでレベルがだな........」
「レベルのカウントは絶対にギルドカードを登録してからだよ。これは絶対不変の決まりだからね。君の言い分はうまく出来てるけど僕の前じゃ無意味だね。僕はこの世界の全ての規則を知ってる、だてに妖精王なんか名乗ってないよ。率直に聞くけど君はこの世界の住人じゃないだろ?」
「........はぁ、お前には敵わねぇな。そうだよ、俺はこの世界の住人じゃない。ほかの世界から来た異端者だ」
「神器はどうして所持してるんだい?って、神威に聞けばわかるか。ねぇ?神威」
「!?、どうして名前を?」
「僕は神器所有者の神器名と形は全て覚えているよ。現に僕もゲイボルグを持っている身だからね。さて、どうしてかな?神威」
「貴様のような勘のいい者は厄介だな。さて、どうしてだったか?それはな、主は神に認められたものだからだ。我を所持してる理由は主より聞くのが1番だろう」
「へぇ〜。んで、神威の言った意味を含めてどうしてなんだい?ショウタ」
「神威お前な.........まぁいいかもうバレてんだから。実はな.........」
その後俺がここに来た経緯を話した。最初のあたりからアランは目を輝かせながら、それこそ新しい玩具を与えられた子供のような目で俺の話を聞いていた。
「そんなことが!いや〜驚きだよ」
「そんなわけで今に至るというわけだな。今は剣聖になって4人の恋人がいるリア充生活を送ってるってわけさね」
「にしても本当に転生なんて話あるんだねぇ」
「信じるのか?ありえないなら信じないだろ?」
「君がこの世界の住人じゃないのは確定してるし、転生の話も納得が行くよ。にしてもこの世界の神に会うなんてあるんだね。君がいたニホンって国も気になるしね。いや〜やっぱり君に聞くことはまだまだ山のようにあるよ〜!」
「他人の人生譚なんて面白くないだろ。それに俺だって話したくないしな」
「どうしてだい?君はあっちの世界の学校に行っていたんだろ?その、コウコウセイっていう肩書きで」
「一応........な」
「ん?一応?」
「ここからはたとえエレナたちであっても話さない。俺の人生だけは誰にも話す気は無い」
「そうか、話したくないなら僕は強制しないよ。だからそのニホンって国について教えてよ!」
その後は日本の話をした。アランは先述のような目で静かに聞いていた。知識の探求者ってのは本当にめんどくさいと思った。
「いや〜素晴らしい話だったよ。今のでご飯十杯はいけるね!」
「変態かお前は。俺にしたら話す予定のなかった話なんだがな」
「君、いつかは彼女達に話すのかい?」
「.........話すつもりは無いさ、今の俺は仮にも生まれ変わった俺だ。生前の話なんか誰にもできないだろ?」
「僕は今の話と話すつもりがない話、どっちも彼女たちに言った方がいいと思うよ」
「どうしてだ?俺は別に.......」
「人には秘密の一つや二つあるだろうね。でも、やがて君の嫁になる彼女達ならその過去もわかってくれるんじゃないかな。君は恐れているんだろ?昔の自分を話したら軽蔑されてしまうのじゃないかってね」
「俺の過去を知ってるような口ぶりだな。たしかに俺はお前が言ったような理由で話すつもりはさらさらないがなぜ分かった?」
「簡単だよ。君が僕に話してくれたニホンの国の場所は君の今醸し出す雰囲気と全く合わない場所ばかりだった。恐らく君は周りから蔑まれるような人生を送ってきたんじゃないかってね」
「お前の推理力と想像力には舌を巻くよ。何にせよ俺は今は話す気は無い、それだけは変わらないさ」
「結局決めるのは君だからこんなことは言うべきじゃないんだけど一つ。君はもやもやを抱きながら生活するのと楽になって生活するのどっちがいい?しっかりと考えるべきだよ。じゃあね、おやすみ」
そう言うとアランは馬車の中に戻っていった。俺はまたも頭を悩まされる結果となった。
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コメント
垂直抗力(元ラノベ大好きサムライ)
やはり思う…これは『このすば』と『SAO』のパクリだと…だがっ!この夢のコラボのような作品に出会えて僕は幸せだっ!!