彼女が理想的な妹である

妹大好きバカ

3話謎の談話(古友人と旧妹)

アニメを見てここはああだとか、いやそこはこうなどと勝手に評論する俺をなだめるのが日常なのだが、今日だけは違ったー妹の五月栞が何事もなく当たり前のように居座っていたのだ。

「だーかーらー、なんでメインヒロインがあんな上手い具合で登場するの」
「そこで登場しなきゃ話が進まないだろ、アニメは現実的には上手くいかないところをいかに上手くできるようにするのかが素晴らしいんじゃないか!」
などとアニメのことを熱く語る俺には目もくれず

「だいたい、ヒロインが妹っておかしいでしょー、毎日一緒に過ごしてる人と恋愛感情が芽生えないよ」

「現実を持ち込むな…、ともかくそれも引っくるめてありえないリアルをリアルっぽくするのがアニメだ」と話を強引に暴論に持っていったが、伝えたい本人の耳には遠かったようだ。

「これだからお兄ちゃんは……」
「ん?なんか言ったか?」
「いーや、なんにも言ってないよ~」

小声で言う栞の声は明らかにいつもと態度が違ったのだが兄の耳には届かなかった。



「まあ、アニメ論争はそこまでにして」
今の今まで傍観主義をとっていた尚輝が声をかけてきた。
「もとはといえばお前が買ってきたんだろ」
「いや、それ言われたらなんも言えないんだけど」
と尚輝は俺に何か言いたそうな顔をしながら言った。

「そうですよ~、もうこんな人(兄)にはアニメ関連の物は一切要らないですよ~、代わりにバイト募集物件をみつけてきてくださいー」
唐突に仕事(現実)を突きつけられた俺は
「いや、俺は一生親のスネかじって生きる」などと勢いよく掲げたが、

「ダメ人間」「非モテオタク」
「当たり強すぎじゃないか」

同時に発せられたその言葉たちによって俺の心は傷んだ。


と話は今日来た経緯について話題になり、

「そういやなんで今日は早かったんだ?定時で帰れるなんてそうはないだろ」
尚輝は俺の高校の同級生で親のつてがあり一流企業に就職したのだが、一つだけ悪所がある。ブラックなのだ。本人は自覚してないらしいが、

「人を社畜のように呼ばれたくないから、いつも残業があるみたいな言い方をするな」
と自分の会社にはよっぽど尊敬しているらしい、社畜だからなのだろうか?

「俺が言うのもなんだけどさ、あんまり仕事は無理すんなよ、いつだって俺みたいにニート生活してもいいんだぜ」と笑いながら言うがやはり冗談が通じていない天然バカ(妹)は熱く
「尚輝さん!こんなへっぽこ無職者のことなんか鵜呑みにしちゃダメですからね!尚輝さんは真っ当に生きてこそ尚輝さんです!」
「へっぽこって…」
友人を激励しようとしたつもりが俺が批判を食らっている。

「ありがとう二人とも、言われなくても無理はしないし時には息抜きもするよ」
と笑いながらグラス満杯に広がるアルコールを楽しみながら告げた。

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