彼女が理想的な妹である

妹大好きバカ

2話 妹登場?

それは突然の出来事であった。
俺は秋葉で春アニメ対策のグッズを買いに行った帰途 
でそいつと遭遇した。
「みこっち?」
明るくなぜか陽気な声色である少女が声をかけてきたのだ。
「もしかして……」
焦りながら、そして嫌な冷や汗をかきながら後ろを振り返るとやはり実の妹である高校一年の五月栞だった。
俺が家を離れるために遠くの大学に入学し独り暮らしを始めたのだが、たまたま・・・・近辺の東和高校に受かってしまったのだ。
つまり寮生活なのだが……

「やっぱりみこっちじゃん!久しぶりだねぇ~、ってことで家行っていい???」

「却下。てかなんでこんなとこにいるんだよ?部活は?」
寮生活なのでこの時間帯にはいないはず……

「いいじゃんいいじゃん♪そんなことは気にせず家行くよー!」 
相変わらず陽気すぎる態度に疲れを感じさせるが、結局いつもこのダメ妹に会うとどこまでも付いてくるのだーうっとおしい。

そこに会社帰りの尚輝が歩いてきた。

「おー未琴、何してたんだ?またアニメ関連のイベントか何かか?」
アニメという言葉に反応した俺は尚輝に返事をしたかったが遅く、

「あ!尚さんだ!お久しぶりです~!元気にしてました??」と栞がタイミングを見計らったように出てくると
「あ~…栞くんじゃないか、見てみないうちに大きくなったな…」
とあまり気が進まないようなありきたりの定型文を読んだのだが
「そうですよ~(^-^ゞいろんなとこが大きくなりましたよ~、昔と比べてみますか?」などと他人とは思えない馴れ馴れしさっぷりである。

「いや、いいよ……」と控えめに尚輝が答えると栞は
「なんだぁ~、ざ・ん・ね・ん♪」
と滅茶苦茶なテンションで返した。

とまぁ道端で話していると栞が
「じゃあ、そろそろみこっちの家に行こっか!」と言い始めた。
いや、なんで人の家に勝手に招待してんのと内心思っていたが、尚輝も
「新しいアニメ特典版DVDが販売されてたから買ってきてやったから酒飲ませろ」と言われたので俺の家に招待する他なかった。






なぜ実の妹であるのにここまで俺のテンションが低いのかというと、今まさにそうである。
「兄ちゃん~、なんかこの味噌汁甘いんだけど」

天然なのだ。

「おっかしいな~、赤味噌使ったはずなんだけどな~塩いれてもしょっぱくならいよ」
「いやそれ砂糖だし」
(赤味噌は白味噌より濃いと俺は思う)

なぜか俺の妹は変に細かいところ(赤味噌)があり、致命的なミスをするのだ。
「あっれー、ここにsugarって書いてあるじゃん」
「いやだから、sugarは砂糖だから」
「えっ!そうだっけ?最近日本語しか使わないから分かんないやー」と何事もないようなすました顔でいるのが日常茶飯事なのだ。

つまり俺の実の妹は天然系バカなのである。
いや仲が悪いからこんな悪口を言うのではなく、誰から見ても思ってしまうのだ。ほら今まさに
「いや、同じ白い粉でもそれそれ・・は間違えないでしょ」と尚輝は控えめに告げてやる。

とまぁ白い粉の話は置いといて、そう俺の実の妹は天然バカで理想的な理想的な・・・・妹ではないのである。

「ねぇ、今なんか私のことぶじょくしたでしょ~」

あぁ、俺は理想的な妹が欲しい……

心の底から思うのであった。

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