ガンメン偏差値格差カップル

コタツ

少子化対策にブサイクは使われる

 現在の日本の状況というのは余りよろしくない。特に少子高齢化という問題においては直ちに改善していかないと後50年も経てば日本の人口は今の半分になると言われている。
 いくつかの問題があるが一つ挙げるとしたら晩婚化だろう。
女性の社会進出が当たり前となった今の時代、自分のやりたい仕事、自分の生活に必要な資金を得るために仕事をするなど理由は様々だが二十代のほとんどを仕事に尽くす女性が多い。
 その為、多くの人が三十代を過ぎてから結婚をする。しかし歳も歳だ子供を一人産めば満足する夫婦が増え、それ以上の授かりを求めない。
 二人に一人しか生まれないのだから人口が減るのも当たり前だ。 男女平等社会は大切なことで格差を無くす為にも続けて行くべきだが中国が一時期やっていた『一人っ子政策』のような『二人っ子以上政策』なるものを国が考えるべきだ。 なんなら俺が議員になるべきだと思う。
 だがしかし、国は別の方向で処置を取り始めた。 5年ほど前だっただろうか、国民を驚かせる一代プロジェクトを考案し実現させた。 特に世の中の中学生、その中でもブサイクと美少女は目を見開いただろう。
『高校はリア充になる為にあるもの!!!』と大々的に宣伝し建てられた学校。 白鷺高校(しらさぎこうこう)。名前だけ聞けば響きは美しい。 
 だが中身は納得いかないものだ。 国がその年に全国からランダムに選んだ、男子ならブサイク、女子は美少女を半強制的に入学させるものだ。
 大きな理由としては一つ、美男子(イケメン)の需要の高さだ。
 高校でブサイクと美少女のカップルを作り、子供を産ませ一か八かその子がイケメンに育ってくれることを祈る。
 悪く言えば学校に招待されたものは国から良いように扱われるモノのようだ。
 でも反抗は出来ない。 何せ国が彼らの将来を握っているからだ。 リア充になって卒業すれば男子は一流企業への道が拓け、女子は有名国公立大学の推薦書を手に入れる事が出来る。 人生バラ色だ。
 だが逆に独り身のまま卒業すれば、ゴミのように捨てられる。 いわば上とは逆の扱いになるという訳だ。
 中学に入学した俺はそんな記事を見てヘラヘラ笑っていたが、今になっては笑えない。
 気づいた人もいるかも知れないが二年前俺にも入学書が届いたのだ。 国からブサイク扱いを受け、無理矢理入学、そんな理不尽なことがあって許されるのか? 
 案の定、俺の一年間は酷かった。 美少女に相手されるはずがなく、多くの男子生徒は良いように使われていた。
 バカではない俺はそんな風にならないよう、身を潜め、静かで安泰な生活を送っていた。 顔が良くても性格が良い女子なんて早々いない。 むしろいないと断言してやる。
 しかし、そう強がりを言っていても仕方ないのが時間の流れだ。 このままだと俺の将来は腐ったバナナのように黒く、ジュルジュルの人生になるに違いない。
 まずい、こんなクソみたいな国のやり方で俺の人生を棒に振るのか。 断じて否だ、残りのタイムリミットは僅か、俺の勝負が今から始まる。



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