クロスの騎士達の冒険記

ドラゴン

第二章 カーレン村

「なっ!貴様!この姿を見て分からんのか!俺はヴァーンの騎士の班長を務めていたカイロだぞ!知らないのか?!」
と言い終わる前に
「うん知らない」
とはっきり言われた、正直今まで生きてきた中で一番ショックだった気がする。
「そ、そういう貴様は何者なんだ?」
「私はシーナ、そこにあるカーレン村に住んでるの」
と少し高い山地の方を指さした。
「すまないが、今喉が渇いているのだがその村で水を飲んで休憩させてもらってもよろしいか?」
「うん!良いよ!あ、あと敬語やめて?堅苦しくてなんか苦手だから」
「あ、あぁわかった...」
「さあ!早く行こう!!」
シーナと名乗った彼女は俺の手を掴み引っ張って村へ行った
「ただいまー!!」
シーナの可愛らしく、それでも凛とした声が響いた
村の人は皆、シーナちゃんおかえり、などの声をかけていた。
その後ろを歩く俺、みんなからどう思われるかが怖くてちょっと引き気味だったが、村の人は優しく笑顔で声をかけてくれた。
「あ、水だったよね、ちょっと取ってくる!」
パタパタと可愛らしく走るシーナを見てすごいうっとりしてた時、後ろに妙な気配を感じた、バッと後ろを見るとそこにはどこかで見たことのある様な老父が立っていた、年はだいたい70前半くらいだろうか、だが白髪は少なく、肌がもっとしわしわじゃなかったら、50歳にしか見えない。
「若造、この村に名無しに来た?」
「俺は、中央都市から──」
「な!中央都市!?何故そんなところからこんな南端にあるところまで来よった!」
「中央都市崩落でうちの副団長が俺を呪文でここまで吹き飛ばしました」
と説明すると、その老人は、しばらく困惑した顔をしていたが、少ししたあと、少し俺を睨んでいるような普通の顔を戻った。
「シーナが水をもらったら俺の家に来い。」
と言い残しその場を去った。
「どーしたの?」
シーナが戻ってきてたようだ、俺は水を飲みながら説明した。
「ロッド爺に目をつけられたのね〜」
あの老人はロッドというようだ、あの容姿からは想像出来ない名前だった。
「あの人この村の村長だから少し、よそ者に厳しいの...ごめんなさいね?」
「あぁ、大丈夫だけど...あの人の家どこにあるか知ってるか?」
「ロッド爺の家は少し進んだところを右に曲がった二個目の家だよ。」
早速そこに向かった、ついてみた見たところかなり大きな家だった、ドアをノックし聞く。
「あの〜すみません!」
「ん?なんださっきの若造か、入れ」
すぐに入らせてもらった。
「んで俺が呼んだ理由だが、お前に聞きたいことがある、君は中央都市から来たと言ったな?」
「え、はい、そうですけど...」
「あと、普通に話してくれるか?敬語は俺は嫌いだ。」
「あ、ハイわかりました」
「それで君はミゲルの呪文に巻き込まれた...という事か?」
「!なぜ副団長の名を!」
「は?知らないわけがなかろう、俺はヴァーンの騎士前副団長のヒース・フィストーだぞ、今の副団長の名前なんか知らないわけないだろうが。」
衝撃の事実だ、さっき感じたものはそれか、と思いながら口を開いた。
「ヒース?さっきシーナがロッドと言っていたが...」
「ロッドは偽名だ、なんせ俺はヒースという名前を使っていた頃は色々とやっていたからな。」
小耳に挟んだ情報だが、俺の前にいる全副団長は騎士時代、兄弟で街を一つ抑えていたという。
そんな勇者と俺は話をしている、可能であれば剣術の一つや二つ教えてもらいたい所だが、あいにく剣を爆風に巻き込まれている時、中央都市に落としてしまったようだ。少し時間が経つと、老人が口を開いた。
「ところで、君はヴァーンの騎士なのだろ?なら、剣術でちと対決でもするか?」
ヒースはいたずらごころ満載の顔でにやりと笑った。

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