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新聞部の推理人

神木孝弘

新入部員

 「失礼します。石垣先生はこちらに」
 「はーい!こっちこっち!」

 職員室に入部届けを提出しに行くと、そこには先程と違う先生がいた。

 「君が恵美ちゃんの弟くん?なるほどね~」
 「なるほどってなんです?それと入部届けです」
 「あはは、ごめんなさい」

 見たところまだ20代の女性の先生。姉とはどうやら面識があるようだ。
 これが姉が言っていた恩師の先生だろう。

 「うちの学校の新聞部は学期末に一部ずつ、そして文化祭に号外を一回の計四回の発行だから、普通の日はのんびり過ごしていいからね」
 「ちょっと待ってください。4回だけですか?」
 「そうね。予算の都合とかもあるんだけど、まぁそのつもりでいてね」
 「分かりました」

 新聞部は毎週新聞を発行するだろうと思っていたが、その期待は実に簡単に裏切られてしまった。いや、活動が少ないだけ拓人にとっては好都合だ。

 「失礼しました」
 「はいは~い。それじゃあ後よろしくね」

 さてこれで俺は浜岡高校新聞部に入部したわけだが、主な活動は無し。新聞のネタも学期末に資料をかき集めて発行すればそれで解決する。

 「なんだ姉貴、お前もそれほど悪い奴ではなかったんだな」

 そんなことを一言つぶやいた拓人は、家路を急いだ。
 しかし、拓人は少しやる気を持っていた。
 彼は固い自分の考えを持っている。めんどくさいことには手を出さないしやりたくもない。しかし、いざやるとなったらできるだけ本気でやるということだ。しかし、基本的にはめんどくさいことは嫌だということは絶対に譲れない。
 
 翌日の放課後。
 拓人は部室へと急いでいた。悠斗は書類上は入部しているがどこかと掛け持ちをするために部活見学へと向かった。

 「あっ、すみません。勝手に入って」

 部室にいたのは、一人の少女だった。年は恐らく同い年だろう。

 「なにかご用ですか?」
 「すみません。部活動の見学に来たんですけど……ここって新聞部ですよね」

 大人しそうな彼女は、実に拓人好みの女性だ。外見こそは拓人にとってはどうでもよかったが、外見よりもその大人しそうな性格。ひと目で拓人は彼女を気に入った。

 「めんどくさくなさそう」
 「へ?なんです?」
 「あ、いえ。何でもありません。こちらの話です」

 拓人は思ったことを口に出しやすい正確だ。日頃は気をつけて生活をしているが、こういう不意の出来事では思わず口に出してしまうことがある。

 「やることはないですけど、せっかく来たんですしのんびりしていってください」

 彼女は見た感じの印象を言葉で表すと、清楚という言葉がふさわしいだろう。髪は黒髪でとても制服が似合っている。こんなやることが一切何もない新聞部にとってはかなりもったいない感じの印象だ。もっと生花部とか生花部とかの方がに合いそうな気がする。

 「決めました。こちらに入部したいのですが入部届けはどちらに」
 「本当にこの部で後悔しません?」
 「はい?」
 
 拓人は少し驚いた顔で彼女を止めた。彼女にこの新聞部はもったいなすぎる。しかし、それと同時に彼女も驚いた顔をしていた。入部を止める部員がどこにいるだろうか。

 「いえ、私はこちらで構いませんので」
 「そうですか、分かりました」
 
 彼女の決心はとても硬かった。一度や二度止めたところで彼女の決心は揺らぐどころか傷一つつかないだろう。

 「ひとつ伺っていいですか?」
 「なんですか?」
 「この部活に入部したいと思った理由を教えてはもらえませんか?

 拓人は彼女に疑問に思っていたことを聞いた。何故この部なのか。なんでこんなやることもない部活に入るのか。高校生活は青春で一番輝くとき、そう薔薇色だ。人々は高校時代には様々な部活動で汗を流し、運動部と文化部ともに部員はとても輝き、いわゆる青春というものをする。こんなほかの高校ではありえないほとんど新聞を発行しない新聞部など、青春をドブに捨てるのもいいものだ。

 「そうですね……」

 彼女は少し顔を下に向けて数秒間考え込むと、再び顔を上げ俺の顔を見て言った。
 
 「特に理由はないです。強いて理由を挙げるとしたら父がこの部に入っていたからですかね」

 彼女はそう言うと拓人の顔を見て微笑んだ。
 拓人は姉からの手紙でこの部に入らざるを得ない状況になった。これは特殊すぎる事例だが、それと違う理由で彼女にはこの部に入らなきゃいけない理由があるんだろう。

 「言い忘れてました。私の名前は錦戸結衣と言います。あなたの名前は……」
 「俺の名前は吉岡拓人です。以後お見知りおきを」
 
 こうして、新たな新入部員が一名入った。 

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