片思い
65話 帰り道
「ん」
田辺から渡されたのは、いちごミルクだった。いちごミルク…翔太がよく買ってくれた飲み物で私は好きだった。でも、今はいちごミルクを見るだけでも心が重くのしかかり辛い。こんなに美味しいのに…。甘ったるいこの飲み物が今の私には喉が通らなかった。
「私ねずっと翔太が好きだったの…」
田辺は何にも言わずに私の話を聞いてくれた。話してる最中に自然と涙がこぼれた。それでも私は話し続けて、田辺はずっと聞いてくれてた。話していくうちに心が楽になって、悲しいはずなのになんだか嬉しい気持ちになった。
「話聞いてくれてありがとね。なんか楽になったわ。」
園崎は泣きながら俺にあの先輩への想いを打ち明けた。時々、沼田の話が出てきた時は俺自身がドキッとしたけど、聞き流すことにした。俺はもうフラれてるんだったわ!
「もう遅いから送る。」
「え?いいよ。田辺、帰るの遅くなるし。親心配するんじゃ…。」
「別にいいよ。家、誰もいねーもん。」
「お母さんは?」
「夜勤」
「お父さんは?」
「出張」
「マジでいないじゃん…。」
「だから遅く帰ったって関係ない。それにこんな遅くに女子一人で帰らせたなんて言ったらどつかれるわ。」
確かにと言って園崎は笑った。
俺たちは、先生たちにバレないようこっそり校舎を出た。
「ドキドキしたー!」
「そう?」
「なんか変な感じ。」
「まあな。」
「田辺ってさ。」
園崎は、ちらっと俺を見て、いい奴じゃんと言った。
あっそう。そらどうも。と俺は返した。
「もっとそういうとこ出せばいいのに!」
「はあ?」
「え、だから、人の悩みとか聞いたりとかさ。」
「あー。俺基本めんどくさがりだけど、園崎には借りがあったからで。」
語尾を誤魔化そうと小声で言った。言い終わって、俺はちょっとヤバいと思ったけど遅かった。
「借り?」
「やっぱなんでもねー。」
「何それ!」
俺としたことが…黙っておけば良かったのに。
あー、なんも言ってませんと言って話をはぐらかした俺に、あはは、何それー、ウケると園崎は言った。よく笑う奴だなと俺は思った。なんか女って吹っ切れるの早くね?さっきまで号泣してたくせに。ま、いっか。
つられて俺もおかしくて笑った。
異色男女の二人がけらけら笑ってる光景は異様なものだが、俺たちはそんなことに気にしなかった。
なんだ、話しやすいんだな、こいつって。意外な面もあるんだな。もっとこういう時間があれば良いのにと俺は思った。
「華恋!」
でも、それは叶わないんだよなー、俺って。
何でいつも邪魔が入るんだよ…。
俺はただ平穏な時間を過ごしたいだけなのに。いつも誰かにぶち壊される。俺はもっとこいつとの時間を過ごしたいだけなのに…。
駆けつけたのは、園崎を振ったあの先輩だった。
「心配したじゃん!礼司から連絡もらってそれで…。」
なんだよ!ヒーロー気取りが!お前もうこいつに用ないんじゃないのかよ!
俺の心は沸々とマグマが溜まり炎上していく。にえぐりかえりそうで吐き気がする。
「翔太…あのね、もう大丈夫だよ。田辺、ありがとう。また明日、学校で。」
「…」
「田辺?」
…何で。何で、俺は…。
ーこんなに涙が出るんだろうー
田辺から渡されたのは、いちごミルクだった。いちごミルク…翔太がよく買ってくれた飲み物で私は好きだった。でも、今はいちごミルクを見るだけでも心が重くのしかかり辛い。こんなに美味しいのに…。甘ったるいこの飲み物が今の私には喉が通らなかった。
「私ねずっと翔太が好きだったの…」
田辺は何にも言わずに私の話を聞いてくれた。話してる最中に自然と涙がこぼれた。それでも私は話し続けて、田辺はずっと聞いてくれてた。話していくうちに心が楽になって、悲しいはずなのになんだか嬉しい気持ちになった。
「話聞いてくれてありがとね。なんか楽になったわ。」
園崎は泣きながら俺にあの先輩への想いを打ち明けた。時々、沼田の話が出てきた時は俺自身がドキッとしたけど、聞き流すことにした。俺はもうフラれてるんだったわ!
「もう遅いから送る。」
「え?いいよ。田辺、帰るの遅くなるし。親心配するんじゃ…。」
「別にいいよ。家、誰もいねーもん。」
「お母さんは?」
「夜勤」
「お父さんは?」
「出張」
「マジでいないじゃん…。」
「だから遅く帰ったって関係ない。それにこんな遅くに女子一人で帰らせたなんて言ったらどつかれるわ。」
確かにと言って園崎は笑った。
俺たちは、先生たちにバレないようこっそり校舎を出た。
「ドキドキしたー!」
「そう?」
「なんか変な感じ。」
「まあな。」
「田辺ってさ。」
園崎は、ちらっと俺を見て、いい奴じゃんと言った。
あっそう。そらどうも。と俺は返した。
「もっとそういうとこ出せばいいのに!」
「はあ?」
「え、だから、人の悩みとか聞いたりとかさ。」
「あー。俺基本めんどくさがりだけど、園崎には借りがあったからで。」
語尾を誤魔化そうと小声で言った。言い終わって、俺はちょっとヤバいと思ったけど遅かった。
「借り?」
「やっぱなんでもねー。」
「何それ!」
俺としたことが…黙っておけば良かったのに。
あー、なんも言ってませんと言って話をはぐらかした俺に、あはは、何それー、ウケると園崎は言った。よく笑う奴だなと俺は思った。なんか女って吹っ切れるの早くね?さっきまで号泣してたくせに。ま、いっか。
つられて俺もおかしくて笑った。
異色男女の二人がけらけら笑ってる光景は異様なものだが、俺たちはそんなことに気にしなかった。
なんだ、話しやすいんだな、こいつって。意外な面もあるんだな。もっとこういう時間があれば良いのにと俺は思った。
「華恋!」
でも、それは叶わないんだよなー、俺って。
何でいつも邪魔が入るんだよ…。
俺はただ平穏な時間を過ごしたいだけなのに。いつも誰かにぶち壊される。俺はもっとこいつとの時間を過ごしたいだけなのに…。
駆けつけたのは、園崎を振ったあの先輩だった。
「心配したじゃん!礼司から連絡もらってそれで…。」
なんだよ!ヒーロー気取りが!お前もうこいつに用ないんじゃないのかよ!
俺の心は沸々とマグマが溜まり炎上していく。にえぐりかえりそうで吐き気がする。
「翔太…あのね、もう大丈夫だよ。田辺、ありがとう。また明日、学校で。」
「…」
「田辺?」
…何で。何で、俺は…。
ーこんなに涙が出るんだろうー
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