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片思い

日向葵

46話 相談

 放課後、私は翔太先輩と裏庭で会うことになっていた。指定場所に行くと翔太先輩の方が先に裏庭に来ており、第一声が発せられた。
「今日はありがとうね」
「いえ、私は何も」
「そんなことないよ。進藤さんと仲直りもできて良かったね」
「そうですね。すごい誤解をしてましたけど…」
私は未だに翔太先輩と話すのは恥ずかしく、顔を見て話すことが出来ないでいる。

特に二人っきりの時には。

自分が特別な存在になった様な感じがして、つい緊張がしてしまう。
もう何度も話をしているのに。
「それで、あのことなんだけどね」
話を切り出した翔太先輩は、頬をかきやや困惑気味に目を泳がせていた。
そうだ。私は相談されていたんだっけ。なんだか、すごく嬉しいけど、くすぐったいような気持ちになる。でも、真剣に聞かなきゃ。
「あー、あのことですよね。私も唐突に言われて正直、頭が働かないと言うか」と笑ってみせた。
「そうだよね。俺も華恋は妹みたいな存在だったからさ。思考が追いつかないよ。」
翔太先輩も同じく困惑したまま笑った。

良かった。言わなくて。こんな困った顔されたら私はショックで倒れそう…。

私は翔太先輩の話を聞き続けた。
「俺、こう見えて誰とも付き合ったことないんだよね。」
翔太先輩にしては、意外な意見が出て内心驚いたが、表情には出さないようにした。

 ーだって勘づかれたくなかったからー

「女子って、凄いなーって思うんだよね。恋愛感情っていうのを持ってるって。」
翔太先輩は、遠くを見て話し出す。私はその話を傾聴した。ただひたすらにずっと隣 で。
「俺は好きって気持ちはあっても、それは友達としてと言うか、親しい仲としてはあるんだけど。それが果たして恋愛に発展するのかと言われたらどうかなぁと思うしさ。難しいとこだよな」
あははと笑う翔太先輩の声はどこか寂しげだった。
「俺、華恋に好きだって言われて、戸惑ってどうしたらいいか分からなくなってあんなこと言っちゃったけど、なんだか申し訳なく思ってる。変に期待させちゃったなーって。やっぱり、ごめんって言えば良かったかなー。」
 私は翔太先輩の話を聞いて耳が痛くなった。
 翔太先輩は自分が言ったことを振り返って、相手のこと、それはつまり、園崎さんのことを傷つけてしまうかもしれないことを悔いていた。
 翔太先輩は真面目すぎる。そんなに相手のことを考えてどうしたらいいかって悩んで…。その点、私は田辺からの告白をどう断ろうかとばかり考えている。相手が傷つけないようにとか、好きになってくれてありがとうとか、そんなことは考えてなかった。自分が傷つかないように、面倒なことにならないようにと自分勝手に考えている自分を反省した。

凄いなー翔太先輩は…。

 そして、園崎さんのことが少しばかり羨ましくなった。いいな、こういう関係…妹のように、身近に自分のことを一生懸命考えてくれる人が翔太先輩ならどんだけ嬉しいか。それが叶わぬ恋でも…園崎さんをちゃんと一人の女の子として見て考えて今後に支障をきたさないように、恋に臆病にならないように考えてる。その人の幸せをちゃんと考えてくれるなんて。
そんなことを考えているとふと、翔太先輩が私に話をふった。
「沼田さんは好きな人いるの?」
「へ?」
不意につかれた話に私は思考が一時停止した。
数秒時間がかかったが、心の姿勢を整えてくるっと体の向きを翔太先輩の方に向き、姿勢を整えた。自然と翔太先輩の視界に入った。でも、やっぱり恥ずかしくてすぐに視線を落とした。
「わ、私ですか?そんな恐れ多くてとてもとても。」
自信のない私なんか誰も好きになんてなってくれませんよ、とつき加えてため息をついた。
「そう?でも、クラスメイトのあの男子は好きだって言ってたじゃん。」
「あんなのハッタリですよ。」
私は田辺から言われた言葉に呆れはてて笑うしかなかった。
「私、あの人からいじめられてたんです。」
私は翔太先輩に田辺のことについて語りはじめた。
そう、園崎さんが翔太先輩を好きと言った想いのこもった言葉とは比べものにもならない。




 貴方は私の話を真剣に聴いてくれたね。 

私が貴方に想いを寄せていたとは知らずに…。

 片思いしてた私にとっては、貴方のその真剣な態度や眼差しが罪深く苦しかったけど、優しく包み込んでくれるみたいで本当に嬉しかったよ。

  ー大好きだったよ、翔太先輩ー

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