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片思い

日向葵

44話 制御

 意外な私の発言に何か言いたげな進藤さん。言いたげな口を私は強制的に封じることを考えた。
「だから、進藤さんが考えてることは検討はずれだよ。なんで私が翔太先輩を?誰かに告白もされてるのに?こんな私なんか選ぶわけないじゃない。そうでしょう?」
「え、でも、応援って?」
「私は翔太先輩には幸せになってほしい。だから、私は出来る限りのことはするつもり。困ってたら話聞くし。そうだな、翔太先輩にとって私はただの相談役ってとこ。だから、恋愛対象とは程遠い存在。そう言われてもおかしくないよ。」
 私は変に余裕が出てきた。進藤さんの感情任せの機関銃攻撃はなくなり、冷静になりつつあるからだった。

(さあ、もう少し!)

「もう!朝からびっくりすることだらけ!翔太先輩は告白されてどうしようとか言うし、進藤さんは誤解して喧嘩ふっかけてくるし!」
 だんだん自分がしでかしてしまったことに自覚する進藤さんは頬を赤らめ恥ずかしそうにこう言った。
「ってことは、沼田さんは翔太先輩のことどうとも思ってないってこと?」
「そうだって言ってるでしょう?まだ疑ってるの?」
 私はわざと口を膨らませて怒ってるフリをした。
「なんか…ごめん!沼田さん!私、誤解してた!ってか、は、恥ずかしいー!ただの勘違いでここまでしちゃうなんて!わー!もうーどうしよう!!」
「そう!進藤さんの勘違いでしたー!もう!腕痛かったんだけどー!」
「ごめん!ほんとにごめんね!痛かったよねー。ほんとにほんとにごめんねー!」
 私は進藤さんの手を取って視線を合わせて少し笑ってこう言った。
「分かってくれてありがとう!私も誤解されることするのも悪いね。ごめんね。」
私が謝ると進藤さんは首を横に振り、
「そんなー!沼田さんが謝ることなんて何もないよ!だって私の思い違いだったんだし!」
その言葉に2人は顔を見合わせて謝りつつも笑い合った。
「わー、翔太先輩にも悪いことしちゃったなー。」
「悪いことって?」
「あの時怒りに任せて思いっきり睨んじゃった…」
「え?そうなの?謝ったら許してくれるよー。」
「そうかなー?どうしよう?」
「一緒に行ってあげよっか?」
「マジで!?うわー!沼田さんマジ天使!」
「じゃあ、今から行こう!」
そう言って私は進藤さんの手を握り、翔太先輩の教室へと向かった。




今思えば、このころから、私は見えない仮面をつけていい子を演じてたなー。嘘という名の毒を飲み続けるとも知らずに…。

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