話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

片思い

日向葵

21話 覚悟

翔太のことを考えると沼田さんが出てくるのはどうしてだろう。
ああ、あの時のことが気になっているからか。翔太と沼田さんが2人きりで話をしていたところを運悪く知ってしまった。
あんなに探し回ってやっと見つけたのに、沼田さんと会ってるなんて…。
「最悪…」
私は今自分の部屋のベッドの上で横たわりながら今日のことを考えていた。

ピコン!

私の携帯が鳴る。画面を見て私はため息をつく。

(何で今なの?)
あれだけ探しても見つからなくて、携帯で連絡とっても出なかったくせに。

それでも無視されなかっただけ私は嬉しかった。そんな自分が哀れだった。

画面に表示される名前は「翔太」だった。
ラインを開きトークに「ごめん!ちょっと用があって見てなかった。」だった。
続いて「なんか用でもあったの?」「礼治からも華恋が探してたって言われた。」と締めくくられている。
(え?お兄ちゃんが…)
ふと、隣の部屋を見た。隣には兄の部屋がある。でも今は勉強しててそれどころじゃないはず…。
(兄の考えていることが分かるような分かんないような…微妙。)
兄の性格からして面倒なことは嫌いな方だ。事が大きくならないように先回りして考えて問題が起きないようにする。
よくあることだと問題視しなかった。
私は翔太に返信しようと文面を打つ。
「全然連絡してくれないから心配したよ〜」
違う
「ううん!全然大丈夫」
違う
「へー、そう。ところで用って?」
違う
どうも腑に落ちない内容で打っては消し打っては消しを続けていた。
何て送ればいいのよ…
私は打つのをやめて携帯を離れる位置に移動させた。
そして目をつぶっていつのまにか寝てしまっていた。

目が覚めたらもう夜だった。
変な時間に寝ちゃった…
ぼーっとする私は何気なく携帯を見つめて私はハッとした。
あ!翔太に返事!
携帯の画面を翔太からの返信がないことにホッとした。
すぐにキーボードで文字をうち、返信を返した。
(ごめん!なんか疲れたのかな…?寝ちゃった笑笑}
するとすぐに既読になり返信が返ってきた。
{なんだ、そっか笑笑返信来ないから怒ってんのかと思った ̄3 ̄)
何この顔文字、古!と思いつつもにやけてしまう。
好きな人からのラインなんてにやにやが止まらない。たった、その文面を何度も何度も繰り返し見てしまう。
こんなに好きなのに…何で好きって言えないんだろう。
「好き」
たったその一言で顔が熱くなるくらいこの人が好きなんだ。
でも、言えない…このまま、このままで。
(ほんとだよ!怒(おこ)だよ!}
(別に用はないけどさ、会いに行ったの!}

ちょっと大胆かな。会いに行ったなんて!
きゃー!
恥ずかしいけど、ホントなんだから!

ベッドに横たわりつつ、携帯を眺め翔太からの返信を待つ。

{わあー!ごめんごめん!会いにきてくれたのに居なくてごめん!)

くす。ごめん多すぎ。もう、可愛いんだから。
またニヤつきながら携帯を眺めた。
ちょっといたずらしたくなりあのことを踏み出す。

(翔太が何してたか当ててあげようか?}
送信してから、ちょっと後悔した。
自分から沼田さんの話してどうすんのよ?と自分につっこんでみる。
{え?)
はぁーとため息しつつこの文を送る。
(沼田さんと一緒に居たでしょ?}

ピコン!

{ええええぇ!正解!何でわかったの?どっかで見てた?)
やっぱり。
ぐさ!と突き刺さる何かを喰らいつつ、やや焦る。
やば!何て送ろう?
まぁ、嘘ではないからこう送るか。

(見かけたの。沼田さんと一緒にいるとこ。}

ね?嘘では…ないはず。

{なんだ〜!そっかー!声かけてくれれば良かったのに〜笑 華恋、名探偵になれんじゃねー?って思ったわ笑笑)

名探偵…だったら、もっと早く翔太に会えたはず。もし、私が名探偵なら、もっと翔太のことを知ってて、行き先だってあんなに走り回らなくったって行き着いたはず。
でも、出来なかった…名探偵なんかじゃないわよ、バカ…。

頬を膨らませつつ、やや不機嫌になり、ついに聞いてしまった。

(何してたの?}

本当は、2人で何してたの?何で2人で会ってたの?って聞きたかったけど、でも、それじゃあ、翔太に嫌われそうだからやめた。
嫌われたくない、好きな人には…。

ピコン!

{あー、この前、華恋たちがごめんねって言いに行ったんだよ。華恋、ごめん言ってないって言ってたからさ。俺が代わりに謝っといた。昔からごめん言うの苦手だからさ。)

ドキッ!
顔が更に沸騰するくらい熱い。

大きなお世話…。それに、ごめんって言うの苦手じゃないし、ただ…素直になれないだけだし。

恥ずかしいようなでも、何でか切ない…。

翔太は、私のことただの幼馴染か妹としか思ってないもんね。知ってるよ、じゃなきゃこんなことしないもんね。

ザワザワと胸騒ぎがする。
ドーンと頭が重い。

何で子供扱いするの?
どうして女の子として見てくれないの?
私はこんなに翔太のことを好きになってるのに…。男として見てるのに…。

伝わらないこの想いを私は大事に抱えている。
何で伝わらないのよ、鈍感…。

次の返信を送ろうと思っていたら翔太の方から返信が来た。
{もうあんなことすんなよ?華恋は良いやつなんだからさ!もしなんかあの子にあったら助けてやれよ!そしたら見直してやる笑)

上から目線でムカつく…でも、なぜかキュンとしてしまう。
何で私が助けなきゃいけないのよ…見直してやるって、チャンスってこと?

(見直すってどう言うこと?}
つい私は前のめりになって返信を返した。
やっぱ良い人止まりってこと?
好きになっても良いってこと?
私の思考はぐるぐる回ってまとまらない。
ちょっと冷静に…
フゥーッと一呼吸置くも、鼓動は跳ね上がる程ドキドキしている。

ピコン!

{良いとこあるじゃんってこと!俺は華恋のそういうとこ好きだよ!)

すすすすす、好き⁇華恋のそういうとこ好き?

翔太に好きって言われちゃった!!
なんて単純なんだろう…でも!

跳ね上がる鼓動は弾けるようになって、更に沸騰するくらい頬が熱い。

やっぱり好き!翔太が好き!大好き!

たった一言でこんなにも視界がキラキラに見れるなんて…。
さっきまでのどんよりとした気持ちが晴れ晴れとした気持ちに!

どんな形であれ、私は翔太に好きと言われた。この自信を持って翔太に伝えたい!

だから私は決意した。
もし、沼田さんがピンチになり助けたらその時は翔太にこの想いを伝えようと。
不謹慎だし、沼田さんには悪いけどピンチの時が起きないかと思った。

だから、私は翔太にこう返信した。

(分かった!でも、その時は翔太も協力してね!後…今は言えないけど、もし助けられたら翔太に言いたいことあるから、所定の場所に来て欲しい。)

半分告ってる気分になったけど、翔太は全く気にせず了承してくれた。

じゃあおやすみと伝え、ルンルン気分でお風呂に入る準備をして下に降りた。

カチャ。
その時、部屋から出てきた兄の礼治は華恋の様子を見てくすりと笑った。
階段を下る華恋を見下ろす礼治は「頑張れよ」と小声で呟くのだった。

「片思い」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く