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片思い

日向葵

15話 悪夢

目が覚めると目の前は真っ白な部屋にいた。

何一つ汚れてなく綺麗。
私はその場に立ち上がり周りを見渡す。

誰もいない…
あれ?今までどこにいたんだろう?
確か授業中で田辺がふざけてて…

ポトっ。
顔に何か落ちた!
手で拭うと私の顔に黒い液体だった。
何これ?どこから?

どこから落ちたのか分からないが、また私は記憶を巡っていた。
その度にさっきまでの綺麗な白から点々と黒い液体が汚していく。

どうなってるの?
私は記憶を巡ってるだけなのに…

ふと目の前に扉が現れた。

こんなのあった?
さっきまでなかったのに…

私は怖いので目をつぶって、ドアノブに手をかけぐるっと回す。
すると暖かな光が射してきてその中へと引き込まれていった。

目を恐る恐る開くと綺麗なお花畑に来ていた。
わぁー!綺麗!
私は自然と笑みがこぼれその中へと走り出した。

綺麗なお花に見惚れていると、ガサッと音がした。
音のする方へ目をやるとそこには同じ制服の男子生徒が立っていた。

その男子生徒と近くには大きな木が植えてあった。
大きな木…どこかで見たことがある。

私はその男子生徒の方へと近づこうと歩み出そうとした。

パシッ。
カチャ。
え?動けない…
私は後ろを振り返り、目を丸くした。

(なんで…いるの?アンタが…)

私の腕を取り、足枷をかけたのは田辺だった。
腕を振り下ろそうとするが力が強くて振りほどけない。

(痛い…力が入りすぎて)

私は口を開かずにはいられなかった。

「痛い…離して。」

それでも田辺は離そうとしない。
それどこか私を引き寄せて抱きしめた。

違う。あなたに抱きしめて欲しくない。
あの人とは全然違い、冷たく力強くてなんとも頼りない。安心できない。それどころか不安を生み出すほどだった。

(私が…私が想ってる人はあなたじゃない。)

はっ!として、後ろを振り返って大きな木の側にいる人に助けを求めようとした。
振り返るとそこには、私が今想っている人…翔太先輩の姿が見えた。

「翔太先輩!」と叫ぼうとしたが声が出ない。

(え?何で?さっきまで出てたのに)

どうにかして翔太先輩にSOSを送ろうとするが全く効果がない。

田辺は私を抱きしめ、翔太先輩に見せつけてほくそ笑んでいた。

田辺に囚われている私を見て、翔太先輩は愕然としていた。

その表情から見て取れるのは、他の人に取られてショックで失望してしまっていた。

(もうアンタいい加減離れてよ!)

私は田辺の方に振り返り抵抗しようとしたが振りほどけない。抱きしめる力が更に強くて苦しい。
息も絶え絶えで…意識が飛びそう。

(ねぇ…離れて…お願い…)

私は翔太先輩の方を振り返って涙を流して見つめることしか出来なかった。
翔太先輩の方に手を伸ばそうとするが田辺が阻止する。

その時だった。
暴風と大雨更には雷まで鳴りさっきまでのお花畑も無くなった。花壇を荒らされたようにもうぐちゃぐちゃになっていた。

ひどい。なんで、こんなことに!

私は田辺を睨みつけ怒りを露わにした。
だが、田辺には御構い無しだった。
余裕の笑みを浮かべ、ギュッと抱きしめ耳元でこう言った。

「俺に怒ったり泣いたりしてくれるなんて嬉しい限りだな。ずっと好きだよ、智奈美。」

私はゾッとしてガタガタと震えだした。

(いや!やめて!やめて!早く、早くここから出なきゃ!)

私は目をギュッとつむって「お願い!助けて!」と心の中で叫んだ!

その瞬間、バッと身体が離れ軽くなり助かったと思ったのもつかの間。私は更に驚くことが起きた。

(え?下に地面がない…もしかして!)

気づくのが遅かった。
空中に浮いている私を見て嘲る田辺を最後に、崖から落ちていった。

(きゃー!!!!!)

私はもう助からないと悟った。


翔太先輩…さようなら

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