片思い
14話 天国から地獄
一方その頃、沼田智奈美はルンルンだった。
教室に入り席に着くまで何度彼からのもらった紙を見てニヤニヤしたことか。
鞄から財布を取り出し、綺麗に畳んでその中へしまった。
こんな夢みたいなことあってもいいのだろうか。
何度も何度もさっきのことを思い出しては幸せな気持ちになった。
(幸せってこういうことか〜!)
「ニヤニヤしてて気持ち悪〜」
隣の田辺が私の様子に違和感を感じた。
さっきまでの喜びを汚すような言葉に私は俯いた。
(気持ち悪いだって…気持ち悪いだって…)
だんだん自分が気持ち悪くなってきたが、本鈴がなってしまいどこにも逃げ場がなくなった。
本鈴とほぼ同時に園崎さんたちが戻った。園崎さんはグスグスと鼻をすすっていた。
泣いていたのだろうか。
目もやや腫れぼったくなっていた。
何かあったのだろうか。
そうっと園崎さんを見ると目が合ってしまった。しまった!と思い、すぐ前を向き直したが鋭い視線はグサリと痛く感じた。
やっぱ見るんじゃなかった…と後悔。
横には田辺、斜め後ろには園崎さん。
八方塞がりで身動きができない。
私はただじっとその場にとどまるしかなかった。
席につけと先生が言い、日直が号令をかけ授業が始まった。5時限目の授業は理科。今日は生物分野で私はやや眠たい。
眠そうになっている私に田辺が口を開く。
「おい、眼鏡!」
その言葉でパチリと目が覚めた。横を見ると田辺がニヤついて私にまたちょっかいを出す。
「今、寝てただろう?寝ててもいいぜ。俺がお前の分まで聞いておくからさ。あー、なんだったら俺の腕の中で寝る?」
授業中にも関わらずなんという発言だろう。
周りは授業より田辺の方を注目した。
「田辺、相変わらず大胆だなー」
「またやってるの?妬けるねー」
「田辺、沼田に優しー!」
田辺の発言であっちこっちから冷やかす声が飛び交い、お祭りのように盛り上がる教室。
久しぶりの田辺の発言に、私は火が出そうになるほど赤面した。
(は、は、はぁー?何言ってんの⁉︎)
こういう時は黙っておくことがほとんどだが、私はついムキになってしまった。
「いい!自分で聞くから」
私の発言を待ってました!とばかりに更に盛り上がる教室。
「田辺〜、いいってさー」
「振られちゃったね、田辺かわいそう」
「いい、自分で聞くからだってー!そんなの当たり前だっつーの!笑笑」
ゲラゲラ笑う周りの人はまるで悪魔そのものだった。
みんなが悪魔なら、田辺は魔王だと思い、田辺に対して更に恐怖心が高まった。
(怖い…ど、どうにかしなきゃ。でも、どうにもできない…)
私は下を向いて涙を流さずにはいられなかった。
「やばー!沼田さん泣いてるー!」
「田辺〜、沼田さん泣いてるぞ!慰めてやれよ〜!」
「田辺〜、沼田に抱きついちゃえ〜!」
言いたい放題で、田辺もノリノリ。
私の席へと近づこうとする。
周りは更に盛り上がり田辺への更なる私への行動に期待していた。
(わあー、混乱する。)
徐々に私の頭の中がかき乱されていく。
こうなると私は何も出来なくなる。
ストッパーをかけられてるみたいにただただ固まる。
だんだん固まってくると思考も途切れ途切れになってそのうち停止する。
何も考えられない…目の前が真っ暗。
精神的ダメージに耐えられない。
身体の力が入らない 。
まるで魔王や悪魔に生き血をすすられて死んでいく人間のよう。
まさに地獄絵。
滑り落ちるように私は床へと倒れた。
バタン!
「きゃー!沼田さん⁉︎」
「ヤベーぞこれ!どうしよう!」
「おい!田辺なんとかしろよ!」
「えっ…そう言われても…」
「そこ!騒がしいぞ!静かにっ!」
「先生!沼田さんが!」
「どうした!?何があった!?」
いろんな声が聞こえる…
目の前がぐるぐる回って…
まぶたが重い…
ここで私の記憶は途切れてしまい、真っ暗な世界へと飲み込まれてしまった。   
神様、私は調子にのりすぎてしまったのでしょうか?
さっきまでの幸福はどこへ行ってしまったのでしょうか?
教室に入り席に着くまで何度彼からのもらった紙を見てニヤニヤしたことか。
鞄から財布を取り出し、綺麗に畳んでその中へしまった。
こんな夢みたいなことあってもいいのだろうか。
何度も何度もさっきのことを思い出しては幸せな気持ちになった。
(幸せってこういうことか〜!)
「ニヤニヤしてて気持ち悪〜」
隣の田辺が私の様子に違和感を感じた。
さっきまでの喜びを汚すような言葉に私は俯いた。
(気持ち悪いだって…気持ち悪いだって…)
だんだん自分が気持ち悪くなってきたが、本鈴がなってしまいどこにも逃げ場がなくなった。
本鈴とほぼ同時に園崎さんたちが戻った。園崎さんはグスグスと鼻をすすっていた。
泣いていたのだろうか。
目もやや腫れぼったくなっていた。
何かあったのだろうか。
そうっと園崎さんを見ると目が合ってしまった。しまった!と思い、すぐ前を向き直したが鋭い視線はグサリと痛く感じた。
やっぱ見るんじゃなかった…と後悔。
横には田辺、斜め後ろには園崎さん。
八方塞がりで身動きができない。
私はただじっとその場にとどまるしかなかった。
席につけと先生が言い、日直が号令をかけ授業が始まった。5時限目の授業は理科。今日は生物分野で私はやや眠たい。
眠そうになっている私に田辺が口を開く。
「おい、眼鏡!」
その言葉でパチリと目が覚めた。横を見ると田辺がニヤついて私にまたちょっかいを出す。
「今、寝てただろう?寝ててもいいぜ。俺がお前の分まで聞いておくからさ。あー、なんだったら俺の腕の中で寝る?」
授業中にも関わらずなんという発言だろう。
周りは授業より田辺の方を注目した。
「田辺、相変わらず大胆だなー」
「またやってるの?妬けるねー」
「田辺、沼田に優しー!」
田辺の発言であっちこっちから冷やかす声が飛び交い、お祭りのように盛り上がる教室。
久しぶりの田辺の発言に、私は火が出そうになるほど赤面した。
(は、は、はぁー?何言ってんの⁉︎)
こういう時は黙っておくことがほとんどだが、私はついムキになってしまった。
「いい!自分で聞くから」
私の発言を待ってました!とばかりに更に盛り上がる教室。
「田辺〜、いいってさー」
「振られちゃったね、田辺かわいそう」
「いい、自分で聞くからだってー!そんなの当たり前だっつーの!笑笑」
ゲラゲラ笑う周りの人はまるで悪魔そのものだった。
みんなが悪魔なら、田辺は魔王だと思い、田辺に対して更に恐怖心が高まった。
(怖い…ど、どうにかしなきゃ。でも、どうにもできない…)
私は下を向いて涙を流さずにはいられなかった。
「やばー!沼田さん泣いてるー!」
「田辺〜、沼田さん泣いてるぞ!慰めてやれよ〜!」
「田辺〜、沼田に抱きついちゃえ〜!」
言いたい放題で、田辺もノリノリ。
私の席へと近づこうとする。
周りは更に盛り上がり田辺への更なる私への行動に期待していた。
(わあー、混乱する。)
徐々に私の頭の中がかき乱されていく。
こうなると私は何も出来なくなる。
ストッパーをかけられてるみたいにただただ固まる。
だんだん固まってくると思考も途切れ途切れになってそのうち停止する。
何も考えられない…目の前が真っ暗。
精神的ダメージに耐えられない。
身体の力が入らない 。
まるで魔王や悪魔に生き血をすすられて死んでいく人間のよう。
まさに地獄絵。
滑り落ちるように私は床へと倒れた。
バタン!
「きゃー!沼田さん⁉︎」
「ヤベーぞこれ!どうしよう!」
「おい!田辺なんとかしろよ!」
「えっ…そう言われても…」
「そこ!騒がしいぞ!静かにっ!」
「先生!沼田さんが!」
「どうした!?何があった!?」
いろんな声が聞こえる…
目の前がぐるぐる回って…
まぶたが重い…
ここで私の記憶は途切れてしまい、真っ暗な世界へと飲み込まれてしまった。   
神様、私は調子にのりすぎてしまったのでしょうか?
さっきまでの幸福はどこへ行ってしまったのでしょうか?
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