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片思い

日向葵

2話 名前

(今日はとんだ1日だったなー)
あれから保健室で休み、養護教諭より早退するよう告げられた。
担任の先生や母にはすでに連絡済みで、荷物がもう保健室まで持ってきてもらっていた。
少し傷が痛いけど心配させまいと一人で歩いて帰ると伝え、早退した。
(それにしても名前の知らない人だったけど、親切な人もいるんだなー。知らない人なのにたくさん喋ったなー。)
自分とは思えない自分がいるのに驚き、学校の門まで来た時だった。後ろから誰かが走って来た。
「ちょっと待って!」あの人の声だと気づき、私は振り向いてしまった。
何度見ても知らない人だった。いや、助けてくれた人だけど名前が分からない。誰なんだろう。何で私なんかを助けたんだろう。
疑問が次々に浮かぶ。そんなことは、さて置き彼は荒い息を整えて私にこう言った。
「だ、大丈夫なの?一人で帰って。」
「はい。もう大丈夫です。」
手当てもしてもらったし、少しの痛みは我慢すれば良いと思っていた。
「傷、痛むんじゃない?荷物持とうか?」 
手を出そうと彼はするが、私は阻止した。
「あの、もう大丈夫だって言ってるでしょ?ほっといてくれません?」
私は彼にそっぽを向こうとするが、そうはいかなかった。しつこく彼は私に尽くそうとする。
(何なのこの人?隣のあいつよりしつこい!)
それでも私はそっぽを向き帰ろうとした時、彼は私の腕を引っ張った。
「痛っ!」そこには痣がありすごく痛くて声が出てしまうほどだった。
「ご、ごめん…」シュンとした彼を見て私は会釈して帰っていった。
彼は私を手助けしたそうだったが、諦めたのか私を見送るなり校内に消えた。




帰宅すると母が涙目になって迎えてくれた。
何があったとか何でうちの子がこんなことにとか言ってたけど私は彼のことが気になり出した。
一体誰なのだろうか?
こればっかりは全然見当付かなくて少し不安が出てきた。
学校の人であることは間違いない。なぜなら、彼は制服を着ていたからだ。だが、私は初めて会った人だった。さっき、名前を聞いておけば良かったかとやや後悔したが、学校の人であればまた会えるような安心感があった。
自室のベッドで横になった。明日会ったら名前聞こう私はそう思いそっと目を閉じて暗い世界へ向かった。
疲れていたせいか、あっという間にその世界へ溶け込んで行き夢の中で彼とまた話をしていた。
学校がなぜか楽しくなり毎日笑っている自分の姿になんの不思議も持たなかった。
目がさめると母親が作ってくれたカレーの匂いが漂って誘われるようにリビングへ行った。
「夕飯出来たけど食べれそう?」と優しく母は私に言い、「昼から何にも食べてないから私はお腹空いた。」と笑ってみせた。
その笑顔に母の安堵がわたしにも伝わって着た。
今日あったことを母は涙を流しつつも、彼の話になると笑っていた。
そんな子が学校にいるなんて頼もしいわねと少し嬉しそうだった。
でも、全然知らない人だから不安だと伝えると、きっと優しい人だから悪いことはしないんじゃない?仲良くなれると良いねと言った。
(悪い人って印象じゃないけど…不思議)
その後私はお風呂に入って傷口や痣を見て自分の身体だけど痛そうと思った。
お風呂ではすごくしみて痛いけどタオルを巻いて入ったら痛みは緩和した。傷口から血が出た時はびっくりしたが、止血するので安心した。
明日、また行くのかーとため息をついた。でも、気になり始めた彼のことで頭がいっぱいだった。また、いじめられるということよりも、またあの人に会えると思うと安心して眠ることが出来た。




目覚ましが私を起こした。今日の天気は昨日とは打って変わりすごい雨だった。ザーザー降っている雨をガラス越しに見ていた。数分ボーッとしてから彼のことを思い出しハッとなりすぐに着替えてリビングへ走った。
バタバタしていた私を母が見て今日は何か朝からあるの?と不思議そうな顔をしていた。
ううん、学校…とまで言うと母も気づいたようで気をつけて言ってくるのよ。彼によろしくねと意味深の笑みを浮かべていた。
さすが母。我ながらあっぱれだ。
朝食を済ませて家を出てバスに乗り学校へ向かった。早く早くと私はバスを急かす。
バスは急かす私とは裏腹にマイペースに目的地へ向かっていく。
そしてついに目的地に着いた。
私は学校めがけてダッシュで教室に入った。相変わらず、誰もいないシーンとした教室。でも、私はここにいる場合ではない、彼を探さなくては!と変な期待が私を動かしていた。
先輩だったらどうしよう…いやこれは手当たり次第探すしかない!
只今の時刻7時50分。予鈴がなるのは8時20分。私が彼を探すのに30分も時間があると考える。
私は上から徐々に下がって行くことにした。まずは3階、3年の教室がズラリと並び、私はちらちら教室の中を見ていた。物珍しそうに気にするが、誰も私に話しかけてこない。まぁ、いつものことだけど。
彼はここにはいないみたい。てことは3年ではない、2年か1年…。私は首を傾けてまっ良いかと開き直った。
次、2階、2年の教室がまたズラリと並び、さっきと同じ行動をとる。すると、声をかけられるが、「ちょっとどいてくれる?」だけ。邪魔してすみません!
ここにもいない…ってことは同学年?まぁいいや、探そう!
結局1階が鍵を握っているようだ。ここのどこにいるのか。時間は経ってあと10分しか残っていない。
でも、1年の教室には人の出入りが多くてしかも行きづらい。やっぱ分かんない…どこにいんのよ!
もう諦めようかな、いつもの場所でちょっと休もうと思い、あの木がある所へと向かった。
私の唯一の居場所へ助けを求めることしか出来なかった。もちろんこんな場所に彼は居らず私は少し休もうと木に寄りかかった。
(もう会えないのかな…)
あと5分で予鈴が鳴る。教室に戻らなきゃいけない時間は刻々と残酷にも過ぎていく。
ふと上を向いたとき風がビューんと吹いた。一瞬目を閉じ暗い世界へ行き、目を開けたとき私が探していた彼がいた。
(え…何で?)
「もしかして、俺のこと探してた?」
私に近づき彼は笑顔で声をかけてくる。
「うん、どこに行ってもいなかったのに。びっくりした。」
「そっか。ごめんな。俺、朝苦手だからいつもギリギリなんだよね。」
「そうなんだ。」
私はたわいもない話をした後に、彼にずっと聞きたかったことを聞いた。
「あのさ、名前なんて言うの?」
「俺の名前は…」
また風がビューんとふくがしっかり聞こえた。
「俺の名前は古井翔太」だと。

古井翔太、私は初めて自分の心を開いて話せる相手を見つけたんだよ。すっごく嬉しかったな。

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