超王道ファンタジー世界に俺のような異物が入り込んでしまった件について
プロローグ
────うそだろ。ありえない。
目の前に広がる光景を、俺は未だ受け止められずにいた。
圧倒的な力を前に、臆せずに立ち向かう仲間たち。本来、自分はあちら側に立つべき人間だ。その資格があった。
だが、現実はどうだ。痛みで倒れ込み、動くこともできず、仲間の戦いをただ呆然と眺めるだけ。
「クソっ!」
情けない。悔しさのあまり、思い切り大地へと拳を叩きつける。が、俺が元気になったところでこの状況は、なにひとつ、微塵も変わりやしない。 
必死な仲間たちの攻防をよそに、ゴロリと仰向けになり、力のない瞳で紫色に淀んだ空を見つめる。
こんなはずじゃなかった。俺ならもっと出来るはずだった。
ここに来た当初は自信に満ち溢れていた。これから始まるであろう冒険に、ファンタジーに、胸を踊らせていた。
どこで間違えてしまったのだろう。
──いや、恐らくどこも間違えていなかったのだろう。俺は間違っていない。間違っているのは世界のほうだ。この世界自体が誤りであった。
自分は悪くないと信じ込ませ、思い出に縋るように過去の栄光の数々を思い出す。なんでも手に入ったあの頃を。
今となっては、目の前の壁を超えている自分、いや、越えようとしている自分すら想像することができない。これは呪いだ。呪縛だ。
「もう無理だろ。」
自身にすら聞こえないほどの小さなささやき。しかし、それこそがこの世界への精一杯の抵抗であり、俺の本心であった。
そして弱々しく笑みを浮かべ、異世界に憧れる少年たちのことを思う。以前の自分がそうであったように。
残念だったな。ここは楽園でもなければ希望の星でもない。異世界とは───
────地獄だ。
その日、俺は生まれて初めての絶望を味わった。
目の前に広がる光景を、俺は未だ受け止められずにいた。
圧倒的な力を前に、臆せずに立ち向かう仲間たち。本来、自分はあちら側に立つべき人間だ。その資格があった。
だが、現実はどうだ。痛みで倒れ込み、動くこともできず、仲間の戦いをただ呆然と眺めるだけ。
「クソっ!」
情けない。悔しさのあまり、思い切り大地へと拳を叩きつける。が、俺が元気になったところでこの状況は、なにひとつ、微塵も変わりやしない。 
必死な仲間たちの攻防をよそに、ゴロリと仰向けになり、力のない瞳で紫色に淀んだ空を見つめる。
こんなはずじゃなかった。俺ならもっと出来るはずだった。
ここに来た当初は自信に満ち溢れていた。これから始まるであろう冒険に、ファンタジーに、胸を踊らせていた。
どこで間違えてしまったのだろう。
──いや、恐らくどこも間違えていなかったのだろう。俺は間違っていない。間違っているのは世界のほうだ。この世界自体が誤りであった。
自分は悪くないと信じ込ませ、思い出に縋るように過去の栄光の数々を思い出す。なんでも手に入ったあの頃を。
今となっては、目の前の壁を超えている自分、いや、越えようとしている自分すら想像することができない。これは呪いだ。呪縛だ。
「もう無理だろ。」
自身にすら聞こえないほどの小さなささやき。しかし、それこそがこの世界への精一杯の抵抗であり、俺の本心であった。
そして弱々しく笑みを浮かべ、異世界に憧れる少年たちのことを思う。以前の自分がそうであったように。
残念だったな。ここは楽園でもなければ希望の星でもない。異世界とは───
────地獄だ。
その日、俺は生まれて初めての絶望を味わった。
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