PROMINENCE

第42話 飛び立つ



  電話を終え、彼は机に置かれた書類へと目を通す。

「たく、何奴どいつ此奴こいつも戦争だ何だってめんどくせぇ事しやがる」

  ドルナ・ランプ
彼はアメリカ合衆国の現大統領である。

金髪に着崩したスーツ。
とても真面目そうには見えないが…。見た目ではなく、頭が相当切れる者だと評判だ。

現にこうして大統領の椅子に座れている時点で、彼の器がどれ程かが計り知えない。

食えない男と、関係者の皆は口々にそう言う。

「果てさてブラッドよ…お前さんは『扉』を開いた先に在る『ヨハネの黙示録』に触れられるかな?」

  書類にはブラッドの細やかな情報が記載されていた。
それは本人すら知らなかった真実も全て。

「奴等の作戦はこれで1つ潰せたわけだ。ブラッドも最初は戸惑っていたものの、これでこちら側に着いた」

しかし、それでもまだ腑に落ちない所は沢山ある。

國信田隼人に絡んでいる国。
吠舞羅ほむら彩斗の存在。

第三勢力と化そうとしている吠舞羅彩斗のチーム。

このまま野放しには出来ないが、場所が場所なだけにアメリカこっちからは下手に手を出せないのが現状。

逆に日本側もこちら側で野放しに出来ない事が沢山あるから、それを調べ情報を共有する事が今回の鍵となっている。

少しでも食い違えば、その情報は互いに怪しい情報である可能性が高い。

如何に情報を操作され様とも、こちら側まで手を回すのは至難の業。
それは逆も又然り。

片方が改変された情報であるなら、その情報元は黒である可能性が高いのだ。

それを小まめに調べ、洗い直す事で互いに有益な情報へと変わる。


「ただ、こりゃあ互いに腹ん中晒して刻み合ってる様なもんだからなぁ。相手さんも予想外だろうな」


内側からの裏切りの裏切り。

最初にこっちを裏切った奴等が、また2つに別れて裏切り合おうとしている。

狙うならその2つにヒビが入った瞬間だ。

ともあれ、先ずは目先の問題を解決しなければならない。


「よっしゃ、向かうか…日本国に!!」


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