PROMINENCE

第41話 不穏



   此処は東京都千代田区にある国会議事堂。

その中の一部の部屋に彼は佇んで居た。窓から景色を眺め、深くため息を吐く。

不意に部屋の机に置かれた電話が鳴る。

着信を知らせる音は大きく鳴り響き、ランプを点灯させ強調する。


「私だ」

『総理、アメリカ合衆国大統領のドルナ様からお電話です』

「……繋げ」

かしこまりました』

  受付嬢は端的に答えると、通話を繋ぐ際に流れるメロディが受話器越しに聴こえて来る。


『──やぁ、Mr.正和まさかず 東地とうち

「これはこれはMr.ドルナ・ランプさん。わざわざお電話を頂いて…」

  電話の相手の高い声に対し、正和は静かに返す。

しかし、それを遮るかの様にドルナは話を無視して要件を述べる。

『キャロルフ嬢が誘拐されたらしいが、どういう事だい?』

「ブラッドが動き出したらしい。目撃情報とそちらが配属していた近衛兵のやられ方から察するに、敵さんは単騎で攻めて来たようだ」

『かぁ〜っ、情けねぇなぁオイ。単騎差しで全滅したのかよあの兵士共わ?!』

「やはり、『箱庭の守護騎士ガーデンガーディアン』を手配した方が良かったのでは?」

『いや、奴等は扉を開く為なら手段を選ばねぇからな。
敢えて今回の事で油断させるのが1番だろ。
姫さんには悪いが、今回ばかりは動きを見ねぇとヤベぇ状況だからよ』

双方、電話越しに深く溜息を吐き呼吸を大きく吸い直す。

新鮮な空気が脳を落ち着かせ、安定させる。

「國信田隼人が此処でどう動くか…ですな」

『あぁ、後はどの国が絡んでいるのか…炙り出されるのも時間の問題だぜ』

「…っ、大統領。すみませんがそろそろ」

『分かってる。案外速いな。
喋って数分しか経ってねぇってのに、もう嗅ぎ付けたか?』

「それでは…また」

『あぁ、次は会議で話し合おう』


──ガチャッ。

静かに受話器を戻し通話を切ると、正和はもう一度受話器を持ち上げ電話を掛ける。

1度目のコールが鳴って直ぐに、相手は電話を出てくれた。

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