PROMINENCE

第21話 下準備


カタカタとリズミカルな音が部屋で奏でられている。
それを奏でているのは國信田隼人。
彼はPCに何かのコードを大量に打ち込むと、Enterキーを押し椅子を回転させる。


  「おかえり♡ どうだったぁ?彼等の強さは?♡」

國信田はPCから目を逸らし、背後に置いてあった培養液の中に入ったモノへと語り掛ける。

幾つかある培養液の中のモノは一つだけ動くと、目を開けて國信田を笑いながら見つめる。

前回同様に入れ物からその動いたモノを一つだけ中から取り出すと、ソレは人の形を成し 直ぐに立ち上がる。

近くに置いてあったコートを手に取り、ソレはキシシシと笑い始めた。


「ご機嫌だねぇ〜?♡」

「当たりめぇだ。同族殺し程、この家業を継いで楽しい事なんて無ぇよ」

「という事は殺ったんだね?♡」

「あぁ、オレ様に掛かれば楽勝だったぜ。
東條真人って野郎は処分して置いた」

  そこで彼はある事に気付いた。

今、自分が出て来た培養液の入った入れ物が一つ 後ろにある。
しかし、そこの更に横にある入れ物には中身が入っていなかった。

形跡を見るに、出たのはつい最近の様だが。

「おい、もう一人出したのか?」

「ん〜? あぁ、彼にも頼んで置いたんだぁ〜♡
烏丸くん達の殺害を♡」

  やはり食えん男だ。
オレ様に仕事を依頼しといて、別口に同じ依頼を出してやがったのか。

じゃあ、あの事はしばらく黙って置くか。

烏丸啓吾の野郎。
最後の最後に、人形相手とは言えあんなエグい力を使って来たんだ。
もう少し泳がしといた方が楽しみだな。

「キシシシ…良いねぇ。狂ってるよ」

「ん〜?♡」

「こっちの話だ。気にすんなキシシ」


さて、『死霊使いネクロマンサー』に大事な下準備も。
悪魔の力に必要な復讐心も揃った。

アイツ等はあのカードで、どこまで持つかな。

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