世界最強の暗殺者はまだ中学生だそうです。

キラ・キルリア

世界一の暗殺者は部下の質も世界一だそうです。7

今日から学校だ。正確には授業が始まるのが、今日からだ。そういえば、教科書を渡されてなかったな。あの適当な教師のことだ。悪い、忘れてたとか言って渡して来るだろう。さて、そんなことはどうでもいい。この後のイベントに失敗すると、地獄を見る。しっかりしなければいけない。


ガラッ


「おはよう。夜霧仁君だよね。私は深井 杏香ふかい きょうか。杏果って呼んで」「私は三村 穂乃果みむら ほのか。ねぇ、趣味って何かな?私はバトミントンとか、スポーツが好きなんだけど」「私は・・・


クラスでも明るい系の女子達が、質問の雨を降らせてくる。もちろん質問にこない人もいるが、それでもこの量は疲れる。去年はもっと酷かった。趣味以外にも、どの辺りに住んでいるのかや、家族の事などを聞かれた。しかも初めて見た人だけなので、余計に疲れる。もう既に帰りたいくらいだ。だが、ここで諦めるわけにはいかない。諦めた場合、男子の嫉妬からクラスから孤立し、男友達が山口涼斗みたいなやつだけになる。それだけは避けなくてはならない。俺は、2度も同じ失敗はしない。


キーンコーンカーンコーン


「朝のホームルームだ。全員席に付けー」


俺はチャイムが鳴るギリギリの時間に登校し、これ以上話を続けさせない。


「あー、全員気づいていると思うが、教科書の事だが、悪い、忘れてた。今から配るな」


ここまでは予想通りだ。そしてこの後、男子グループに混じり、女子どもを近づけさせない。俺の計画は完璧だ。だが、俺はこの時気づいていなかった。俺が準備していた様に、女子達もまるで獲物を狩る獣の様にこちらの様子を伺う姿を。男子がその様子を見て、絶対に近づかないようにしようと決意したことを。結果的に言うと、今年も男友達は1人だけ(分かっているとは思うが、松田 琉だ)になった。






今日の時間割は理国数英社HRホームルームだ。2年生はじめの授業が5教科全てなのは、ほぼ全員のやる気を下げただろう。そんなことはどうでもいいが、俺は一応高校レベルまでは勉強してあるから、中学校の授業なんて、聞いていても意味はない。が、内申点を下げられるのはまずいので、一応ノートはとっておく。全く楽しくない。帰りたい。ちなみに今は3時間目だ。


「一年の時に文字式や方程式を習ったと思うが、二年ではこれを使った計算式を習う。例えば、多項式や連立方程式だ。塾に行ってる人は聞いたことがあるかもしれない。と言うわけで、一年の復習をしておこう。じゃあ、やぎ・・・ま、松田!方程式はどんなものだ?」
「分かりません!」
「・・・・・」


今、俺の名前を呼ぼうとして、途中でやめたのには訳がある。一年の頃、同じような質問をされ、スラスラと答えてしまい、更に、三年で習う内容まで口走ってしまったのだ。正直、反省はしている。もう少し自重しておくべきだった。ともかく、お陰で数学教師の山川 賀久やまがわがくには嫌われてしまっている。それにしても、松田に変えたのは間違えだったと思うぞ。どう見ても馬鹿だし。


「よ、よし。じゃあまずは復習がてら問題プリントでもやろう。次の授業からは多項式を習っていくからな」






色々あって、やっと終わった。だが、帰っても部下の訓練という面倒な仕事が待っている。俺に自由は無いのか。まぁ、こんなこと言っても仕方ないし、早く帰らないとクラブの勧誘や、女子に一緒に帰るのを誘われたり、松田琉が現れる。・・・うん、早く帰ろう。


「夜霧ー。一緒に帰ろうぜッーーー」


・・・とっさに腹を殴ってしまった。じゃあな、松田琉。強く生きろよ。






「『死神』さん!おかえりなさい!お風呂にします?ご飯にします?それともぉ、わ・た・し?」
「昼間から何言ってんだよ。頭大丈夫か?」
「いいじゃない。あの時みたいに激しく愛し合いましょう!」
「あの時はお前が勝手に押しかけてきたんだろうが!まだ小学生だったんだぞ!?犯罪だ!」
「暗殺者に何言ってるんですか?」
「クッ、たしかに。・・・お前、またキャラがおかしくなってるぞ」
「おっと、すいません。いやぁ、ターゲットによってキャラを変えてたら、どれが自分か分からなくなっちゃうんですよねえ」


『悪魔』は、自分の能力の魅了によって、無意識に相手の好む口調や仕草をとってしまう。そのため、女に興味のない俺や『斬』と一緒にいると、キャラが崩壊する。敬語を使ったり、軽い口調になったりする。そのうち多重人格になりそうで怖い。『あの時』については・・・うん、聞かないでくれ。思い出したくない。


「それで、あいつらは?」
「ええとですねぇ。能力的にはかなり良い方です。ただ、油断し過ぎるところが弱点ですね。ここをなくせば、後はそれなりに訓練で大丈夫です」
「じゃあ、早速訓練だな。VRゴーグル持ってこい」
「はーい」


面倒だが、これが終わればまた休暇だ。さっさと終わらせよう。

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