アクティベート・オンライン

時塚オイモ

第27話 〜フィアー、そして願い〜

「貴様ーーーー!!」


信長は刀を抜き、明智光秀に斬りかかる……が………


「なっ!?」


信長の刀は明智光秀を斬った筈なのに、明智光秀は無傷だった。しかも斬った感触が無く、まるで明智光秀が煙かと思うほどに手応えが無かった。


「嫌ですねぇ。そんなに殺気を出さないで下さいよぉ。言ったでしょう?今日は『挨拶』に来ただけだと。」


「どういう意味だ!」


透は明智光秀を睨みつけながら言う。


「貴方もしたかったのだろう?透君。妹を助けたくて、大事な友達を裏切ってまで成し遂げたかった『ラグナロク』を!ならばその願い!私達『FEAR(フィアー)』が叶えてあげようじゃないか!!」


明智光秀は両手を広げて高笑いをしながら、僕達を見る。いや、それよりも………


「『フィアー』!?」


『フィアー』……つまり『恐怖』。どういう事だ?何故、恐怖という言葉を?それに明智光秀は『私達』と言った。という事は………まさか!?


「そうです!貴方達と同じように、私も自らチームを作ったのです!その名も『フィアー』!恐怖という名のチームです。そしてこの私こそがフィアーの頂点!明智光秀なのですよ。」


「ふざけるな!フィーやらファーやら知らないが、私がここで貴様を斬れば、もうラグナロクは起きない!今度こそ、貴様を斬る!」


信長はそう言うと、刀を上に挙げてまた明智光秀に斬りかかった。すると、今度は明智光秀の体が綺麗に上から下まで斬れた。しかも斬った筈なのに血が出ず、やはり手応えが全く無い。


「ふははは!無駄ですよ。私は煙と共にある。つまり!何度私を斬ろうとも私にその鈍刀は当たりはしない!」


明智光秀は両手を広げ、余裕の表情で笑っている。そして突然、明智光秀が時計を見る。


「おっと。残念ながら時間が来てしまったみたいだ。」


そう言うと、煙が現れて明智光秀の体を包んでいき隠れていく。


「逃さない!!」


信長は直ぐに煙に隠れていく明智光秀を斬るが、明智光秀は煙と共に消えた。すると、笑い声だけが聞こえてくる。


「ふははは!いつかまた会う機会が来るでしょう。その時は、相手をしてあげますよ。それまでに貴方達が…………生きていればの話ですが。ふはははは!」


そして、完全に明智光秀の気配が消え信長は悔しそうな顔で黙りこんだ。僕や皆は悔しく辛そうな信長の背中を只、見てる事しか出来なかった。暫くして、信長が振り向き僕の所へ来る。


「悠斗……今まで黙っていてすまない。いつかは言おうと思っていたのだが、言えるタイミングが無くて……その………」


信長は頭を下げて謝った。確かに、今まで母さんの事を黙っていたのは少しガッカリというか悲しかった。でも、そうだよね。僕には話しづらかっただろうし、明智光秀の事もあったんだから信長の気持ちは分からなくはない。


「…………いいよ。信長の事だから、気まずくて言えなかったんだよね。」


「うぐっ……その通りだ。悠斗……そういえばまだ言っていなかったな。私の『願い』を。」


急に信長は真剣な顔で僕に言ってきた。


「願い………?」


「うむ。私の願いは………咲を、お前の母親を助け出す事だ!」


信長から覚悟の感情が凄く伝わってくる。そして、僕もある覚悟を決めていた。


「信長……僕も……僕も今、願いを決めたよ!」


最初は、信長の天下統一という願いを叶えてあげたいと思っていた。でも、信長の天下統一の本当の意味は母さんを助け出す事。そして、透は結衣ちゃんを助けたいと願っていたから、僕はその願いも叶えてあげたいと思った。このデスゲーム、アクティベート・オンラインで最後まで勝ち残ったプレイヤーだけが何でも願いを叶えてくれる。他の人達も願い事があるから参加して戦っている。だけど、今まで僕には願いという願いは無かった……けど!今はある!他人の願いではなく、僕自身の願いが!


「僕も母さんを助けたい!だから戦おう!『フィアー』と!そして勝って、無駄な争いを起こさない為にも『ラグナロク』を阻止するんだ!」


僕は真っ直ぐな目で信長の目を見る。まるで、今まで抱えこんでいた何かが吹っ飛んだように、今の僕は迷いや不安が一切無かった。


「うむ!勿論だ悠斗!」


信長は微笑みながら頷く。


「っ!?」


気の所為だろうか。久しぶりに信長の笑顔を見た気がする所為か、信長が今まで以上に可愛いと思った。いや、見かけは会った時から可愛かった。でも、何だろう?この胸の高鳴りは………


「どうした悠斗?顔が真っ赤だぞ?」


信長が考え事をしていた僕の顔の前にひょこっと下から覗き込んで聞いてきた。てか、顔近っ!?やばい……凄く胸がドキドキしてる!


「な……何でも無いよ!」


僕は慌てて顔を横に振り、信長から目を逸らす。何だか、気不味い雰囲気になっている所にナイスタイミングなのか慌てて入ってきたのか分からないけど彼女が僕の腕を抱きしめて信長に言った。


「悠斗君はダメ!いくら貴方が可愛くても悠斗君は渡さないんだから!あ、それと悠斗君!私も手伝うね!」


「吾輩も微力ながら助力致しますぞ!悠斗殿。」


そう笑顔で瑠美とルパンは言う。


「でも、相手は平気で人を殺すような奴だ。瑠美達を危険な目に合わせるのは………」


協力してくれるのは嬉しい……けど、友達が傷つく所は見たくない。だから、断るしか……と思った時。


「そんなのお前だってそうだろ!悠斗!」


横から声を掛けてきたのは透だった。


「俺は、結衣を助ける為に戦い続けるぞ!さっき助けられた恩もあるからな!俺にも協力させろ!それに……約束しただろ!お前が助けを求めていたら俺が助けてやるってさ!」


「頑固な透様です。悠斗様。この方は一度言った事をそう簡単に曲げるお人ではありません。それに、透様が仰った通り私達を救って下さったのは悠斗様達です。ですから、今度は私達が貴方達を救わせて頂けませんか?」


次は透とユグドラシルが僕を見て言う。


「だけど……相手は『フィアー』だ。どんな強い相手がいるかも分からないのに……」


「でしたら尚更、僕達の力が必要じゃないですか?悠斗さん!」


「ガハハハ!そうじゃな!悠斗とやら!この主神ゼウスがお主に力を貸そう!」


今度は空とゼウスが立ち上がり、僕を見つめて言う。


「ええ。空の言う通りですわ!相手は『フィアー』というチーム。強者が何人も居たら悠斗様達だけで戦うのは無謀ですわよ。チームにはチームで対抗するのが鉄則でしてよ!」


「うふふふ。いいじゃない?これがいわゆる、一致団結と言うものかしら。私も協力するわ。神が2人も居れば怖い者無しよ。」


そして空とゼウスに続き、莉奈とヘラも立ち上がり協力すると言ってきた。確かに、神が2人も居たらとても心強い……けど。


「この戦いは本当に危険だ。もしかしたら、死ぬかもしれない!それでもいいのか?」


僕は皆の顔を見ながら、再確認をする。すると、皆は覚悟を決めた目で一斉に頷いた。


「皆………ありがとう。」


これ以上、皆を拒むのはやめよう。皆の目は本気だ。危険を承知で僕を助けようとしてくれている。皆の覚悟を否定するのは友達として仲間として裏切りの行為だ。だから僕は!


「お願いだ皆!僕と一緒に戦ってほしい!」


僕は皆にお願いすると皆は笑顔で同時に


「おう!!!!」


と言って叫ぶ。


この仲間達なら、きっとどんな困難でも乗り越えられる!相手が『フィアー』でも僕達なら勝てると信じている!いや!絶対に勝てる!そう思っていた。…………だけど、この時の僕達はまだ知らなかった。『フィアー』という存在がどれだけ恐ろしく強い相手だったのかを。そして、その『恐怖』が迫って来ている事も。


・・・・・・・・・東京都新宿区   ビル裏通り


「うがぁぁぁぁぁぁ!!」


「ロビンフッド!!?」


ロビンフッドが消えて男は恐怖で尻餅をつく。すると、暗闇の中から黒髪のショートヘアで顔にはロビンフッドの血であろう赤い液体が付いている幼女が歩いて来た。そして、その幼女は男にダガーを突き出して喋る。


「ねぇーマスター?この人の心臓食べたいなー?食べても良いー?」


そう言うと、男の後ろから女の声が聞こえてきた。


「まだ駄目よ。この人に聞きたい事があるから、もう少し待っててね。」


巨乳にストレートロングでOLのスーツを着た女性が歩いて来た。そして、女性は笑顔で男性に質問をする。


「ねぇー?少し聞きたい事があるのだけれどぉ。『叶目悠斗』と言う男を知らないかしら?」


「し、知らない!本当だ!だから、命だけは………」


男は涙を流しながら命乞いをする。すると、女性はニコッと笑う。男は助けてくれるのかと思った時………


「そう。貴方、全く使えないわね。もう良いわよ!『ジャック』」


「わーい!それじゃあ……いっただっきまーす!」


「ひっ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!」


幼女は男の首をダガーで斬り落として殺し、胸を切り裂いて心臓を抉り出す。幼女の顔と手は真っ赤色に染まり、とても美味しそうな顔で心臓を口に入れた。


「あーーーむ。」


そして、幼女の口からプチっと音が鳴り幼女はとても幸せそうな顔をして感想を述べる。


「うーーーん!美味しいー!やっぱり人の心臓はプチって噛むと、中から赤く甘いジュースが出てきて口全体に甘いジュースが広がってぇ、ジャック病みつきになっちゃうー!」


「そう!良かったわねージャック!だけど、ここもハズレだったわね。さて次の場所は…………」


「うん!ねぇーマスター!次は何処に行くの?」


「そうねぇ。次は『渋谷』に行ってみようかしら。」


「はーーーい!!」



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