アクティベート・オンライン

時塚オイモ

第7話 〜織乃信奈?喫茶店〜

朝食中・・・・・・


「全く!我が主がこんな変態だったとは……一度でも骨があると思った私が馬鹿だった!」


信長は怒りながらご飯を食べていた。酷い言われようだ。完全にあれは事故だというのに。


「いやいや!あれはどうみても不可抗力ですよね!僕の所為じゃないですよね!」


「むしろ、骨をしゃぶり尽くす変態だったか。」


そう言ってまだ話す。幾ら何でも酷くないか?そして、朱莉に信長の名前に嘘をついて誤魔化す。


「なるほどね。お兄ちゃんの知り合いの、『織乃信奈』さんは家庭問題から逃げて、居場所が無いので私達の家に居候して来たって訳ね……」


「ん?うむ!そうだ!」


朝の時に、『織乃信奈』として口裏を合わせてくれと頼んだので、信長は気を利かせて笑顔で頷いてくれた。まさか、信長が本当に口裏を合わせてくれるとは思わなかった。少し驚いた。


「うんうん!って……納得いく訳ないでしょ!お兄ちゃんがド変態なのは納得するけど、駄目よ!今はお兄ちゃんと私の2人で暮らしてるのよ!お母さんだってそんな事、許す筈が……」


「あ、叔母さんの許可は貰ってるよ!」


「………え?」


朱莉は慌てて叔母さんの携帯に電話を掛けて確認する。


「ちょっとお母さん!どういう事!」


「あら朱莉?何がかしら?」


「居候の人の事よ!何で許したの!」


「えー、だって可愛そうじゃない。暴力的家庭問題は見逃せないわ!」


「でも!」


「あ!お母さん仕事があるから。またね!信奈ちゃんと仲良くしてね!それじゃ!」


叔母さんは仕事で慌てて電話を切る。


「な!言っただろ!」


「……かった………よ……」


「え?」


「分かったわよ!居候させればいいんでしょ!バカっ!」


朱莉は赤面で泣きそうな顔をして自分の部屋に戻った。


「何であんなに怒ってるんだ?」


僕は不思議に思いながら朱莉が作ってくれた朝ご飯を食べていると、ある事に気付く。


「ねー信長。今頃気付いたんだけど、ゲームのキャラクターでもご飯を普通に食べる事ができるんだね。」


そう言って信長がご飯を食べている姿を見る。


「うむ!私は確かに創造で造られた存在だが、悠斗のような人間とあまり変わらないぞ!」


なるほど。それじゃあ、普通に居れば人間と殆ど変わらないって訳か。一体、どうやって造られたのだろうか?こんなの正直、人間業で出来る訳がない。そんな事を考えていたら、僕のスマホからLEINEの音が聞こえた。


「あ、メールだ。」


スマホを取り出し見てみると瑠美からのメールだった。えっと………

『おはようです!今日、仕事が休みになったのでお昼から会えないかな?色々とお話もしたいので。駄目かな?』


もちろん!行きますとも!少しワクワクしていた時、信長が不機嫌そうな顔で文句を言っていた。


「あの泥棒猫め!悠斗行くな!あいつは悠斗を誘惑して奴隷にしようとしているに違いない!」


「いやいや!それは考え過ぎだよ!情報交換とか、そんな話だと思うよ?」


僕は信長に何とか分かってもらおうと、論理的な事を言って信長を説得させる。すると、信長は諦めてくれたらしく


「……分かった。確かに泥棒猫達とは同盟を結んだ。信じてみるか。」


とりあえず、分かってもらえた……と思ったのが束の間


「なら!私も行くぞ!」


「えっ!?な、何で?」


「主に、もしもの事があれば大変だ!私は主を守る為に存在している。つまり!主が居る所、信長ありだ!」


信長は笑顔で最もらしい論理的な言い訳をしたので、断るにも断れなかった。てか、信長って意外と頭が良いのか?外見は只の可愛い女の子で中身は、ちょっと変な所はあるが、それなりに頭が回るってことか。それより、信長さん!?目が笑ってませんよ!


「わ、分かりました。」


そして、僕は信長と一緒に後で待ち合わせした喫茶店へと向かった。


12時2分   六本木喫茶店


「で……何で2人は普通に出てきてるの?」


僕は、食べ物を普通に食べている信長とルパンに聞いた。てか、もう服が痛いから!他人から見たら姫様のコスプレと怪盗のコスプレにしか見えないから!瑠美も変装してるみたいだけど、黒い羽が付いた黒い帽子に黒いサングラス、黒いコートにマスクって……変装してても目立つよ!頭が重い………


「ん?そんなの前も言ったであろう?あそこの中は狭いし居心地が悪い。それに比べて外は広いし居心地が良い!このカフェ……ロテ?だったか。とても美味だしな!」


「私は、我がマスターの保護者として……」


「違うわよねルパン?只、私達の邪魔をしに来ただけよね?」


瑠美はルパンを怖い笑顔で睨みつける。


「………マスターは冗談がお好きなようで!本当は…………」


「邪魔を!しに来ただけよね?」


ルパンが続きを言おうとした時、瑠美がもう一度言う。


「…………本当は」


「そうなのよね?」


ルパンが汗を掻いて黙り込む。あのルパンが汗を掻いている!?しかも、黙り込ますなんて……やっぱり国民的アイドルは凄いな……

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