月夜の太陽 〜人と人ならざる者達の幻想曲〜
第11話 フレイアとアリシア
フレイアの告白はアリシアに衝撃を与えた。
フレイアは、ロキとアリシアに部屋を用意だて、ゆっくりと休むように促した。
ロキは部屋に入るとベッドに横になり、考えを巡らせていた。
トントン
ドアをノックする音がし、ロキは扉を開けるとアリシアが立っていた。
「あの……ロキ。今、いいかしら。」
「ああ、かまわない。」
ロキは、アリシアをベッドに座らせると、自分も椅子に腰掛けた。
……............
長い沈黙、アリシアも何をどうしたらいいのかわからないようで、話し始めようとするも、躊躇いの様子を見せた。
「……わたしは、どうしたらいい?」
アリシアが絞り出した言葉には、困惑という色が濃く乗せられていた。
「……少し聞いてもいいかな?」
「……」
「アリシア、君は今、幾つになるんだ?
君がリーに……カサンドラに保護されるまでの間、どのくらい幽閉されていた?」
「………わからない。わからないけど、わたしに酷いことをした屋敷の主人は、初めは髪の毛は黒く、貴方くらいの雰囲気だった。でも、カサンドラに保護された時には、執事のオットーさんくらいになっていたわ。」
それを聞くとロキは少し考えを巡らせた。
(もしかすると、アリシアは40、50代の年齢になるかもしれない。だけど…)
「どちらにしても、フレイアさんとはもう一度話す必要があるだろうな。それに…」
「それに?」
「いや、なんでもない。もうすぐ昼食だ。食べて少し落ち着いたら、フレイアさんの部屋へ行こう。」
ロキはロゼッタに、フレイアと話をさせてほしいことを伝えた。
そして、改めてフレイアの部屋に入る2人。
今度は、はじめから体を起こしてフレイアは2人を出迎えた。
「ごめんなさいね。あなたのことも考えずに、戸惑わせることを言ってしまって。それで、話というのは?」
ロキは、横にいるアリシアを目で確認すると、アリシアは小さくうなずいた。
「フレイアさん。不躾な事を聞きますが、あなたは今年でおいくつに?」
「今年で100歳になるわ……。
ロキさんは、ナートフリューゲルについて知りたいのでしょう?」
フレイアはアリシアの方に小さく微笑むと、ゆっくりと自身の、そしてアリシアが背負う血について話しはじめた。
ナートフリューゲルは、起源を『夜の貴族』と呼ばれる者から派生したダークストーカーであり、その血には身体の老化を遅らせる特徴がある。
そのためナートフリューゲルは、一部の人間から狙われる対象となっていた。
そして、フレイアとアリシアも標的になり、フレイアがアリシアを産み育ててしばらくして、アリシアが誘拐されたのだという。
アリシアが連れ去れられておよそ、70年の年月が経っていると言うのには、ロキもアリシア自身も驚いた。
その後、フレイアは女の子を養子に迎え、その夫との間にロゼッタが産まれた。
そして数年後、盗賊の一件以来フレイアがロゼッタを育てることとなった。
「じゃあ、ロゼッタはナートフリューゲルではないと?」
「ええ、私とは血は繋がっておりません。なので、彼女自身にはその血が目的の危険はないかと思います。
まあ、この街はそれ以外の危険の方が多いかもしれませんが…」
「フレイアさん、貴方は身体の具合が良くないみたいですが?」
「……本来、人はどんなに長く生きても100歳ほどですが、私たちナートフリューゲルは平均寿命はおよそ200歳と言われています。それまでに、怪我や病気でなくなる場合の方が多いですが…。私の場合は昨年の暮れに肺を患ってしまい、それからあまり動けなくなりました。」
そう言うと、フレイアは少し悲しそうに微笑んだ。
その笑顔はアリシアとロゼッタを思ってのものだとロキは直感で理解した。
「あの……、このペンダントは貴方が私にくれたものですか?」
アリシアは、ペンダントを取りだすとフレイアに視線を向けた。
それを見てフレイアは、また哀しそうな微笑みを浮かべた。
「そうね、それは私の祖母、アリシアの婆様からからもらったものよ。貴方を産んで間もなく、貴方にあげられた唯一のもの。」
「私は、この世にたった1人だけと思っていた。でも、アリシアという名前とこのペンダントだけが唯一……1人じゃないことを証明するもので……その……」
「アリシア…」
涙ぐむアリシアを見て、フレイアは両腕を広げ、その全て包むかの様にやさしく抱き寄せた。
「う…うぇぇぇ……」
抱きしめられたアリシアは、感情の波が一斉に押し寄せたかの様に涙が溢れ、フレイアの胸の中で静かに泣いていた。
「ごめんなさい。本当に、辛い想いをさせてしまって。母らしいことを何一つしてあげられなかった私を、どうか許して頂戴。」
ロキは、フレイアとアリシアを残し部屋を出て、1階にいるロゼッタのところに降りていった。
フレイアは、ロキとアリシアに部屋を用意だて、ゆっくりと休むように促した。
ロキは部屋に入るとベッドに横になり、考えを巡らせていた。
トントン
ドアをノックする音がし、ロキは扉を開けるとアリシアが立っていた。
「あの……ロキ。今、いいかしら。」
「ああ、かまわない。」
ロキは、アリシアをベッドに座らせると、自分も椅子に腰掛けた。
……............
長い沈黙、アリシアも何をどうしたらいいのかわからないようで、話し始めようとするも、躊躇いの様子を見せた。
「……わたしは、どうしたらいい?」
アリシアが絞り出した言葉には、困惑という色が濃く乗せられていた。
「……少し聞いてもいいかな?」
「……」
「アリシア、君は今、幾つになるんだ?
君がリーに……カサンドラに保護されるまでの間、どのくらい幽閉されていた?」
「………わからない。わからないけど、わたしに酷いことをした屋敷の主人は、初めは髪の毛は黒く、貴方くらいの雰囲気だった。でも、カサンドラに保護された時には、執事のオットーさんくらいになっていたわ。」
それを聞くとロキは少し考えを巡らせた。
(もしかすると、アリシアは40、50代の年齢になるかもしれない。だけど…)
「どちらにしても、フレイアさんとはもう一度話す必要があるだろうな。それに…」
「それに?」
「いや、なんでもない。もうすぐ昼食だ。食べて少し落ち着いたら、フレイアさんの部屋へ行こう。」
ロキはロゼッタに、フレイアと話をさせてほしいことを伝えた。
そして、改めてフレイアの部屋に入る2人。
今度は、はじめから体を起こしてフレイアは2人を出迎えた。
「ごめんなさいね。あなたのことも考えずに、戸惑わせることを言ってしまって。それで、話というのは?」
ロキは、横にいるアリシアを目で確認すると、アリシアは小さくうなずいた。
「フレイアさん。不躾な事を聞きますが、あなたは今年でおいくつに?」
「今年で100歳になるわ……。
ロキさんは、ナートフリューゲルについて知りたいのでしょう?」
フレイアはアリシアの方に小さく微笑むと、ゆっくりと自身の、そしてアリシアが背負う血について話しはじめた。
ナートフリューゲルは、起源を『夜の貴族』と呼ばれる者から派生したダークストーカーであり、その血には身体の老化を遅らせる特徴がある。
そのためナートフリューゲルは、一部の人間から狙われる対象となっていた。
そして、フレイアとアリシアも標的になり、フレイアがアリシアを産み育ててしばらくして、アリシアが誘拐されたのだという。
アリシアが連れ去れられておよそ、70年の年月が経っていると言うのには、ロキもアリシア自身も驚いた。
その後、フレイアは女の子を養子に迎え、その夫との間にロゼッタが産まれた。
そして数年後、盗賊の一件以来フレイアがロゼッタを育てることとなった。
「じゃあ、ロゼッタはナートフリューゲルではないと?」
「ええ、私とは血は繋がっておりません。なので、彼女自身にはその血が目的の危険はないかと思います。
まあ、この街はそれ以外の危険の方が多いかもしれませんが…」
「フレイアさん、貴方は身体の具合が良くないみたいですが?」
「……本来、人はどんなに長く生きても100歳ほどですが、私たちナートフリューゲルは平均寿命はおよそ200歳と言われています。それまでに、怪我や病気でなくなる場合の方が多いですが…。私の場合は昨年の暮れに肺を患ってしまい、それからあまり動けなくなりました。」
そう言うと、フレイアは少し悲しそうに微笑んだ。
その笑顔はアリシアとロゼッタを思ってのものだとロキは直感で理解した。
「あの……、このペンダントは貴方が私にくれたものですか?」
アリシアは、ペンダントを取りだすとフレイアに視線を向けた。
それを見てフレイアは、また哀しそうな微笑みを浮かべた。
「そうね、それは私の祖母、アリシアの婆様からからもらったものよ。貴方を産んで間もなく、貴方にあげられた唯一のもの。」
「私は、この世にたった1人だけと思っていた。でも、アリシアという名前とこのペンダントだけが唯一……1人じゃないことを証明するもので……その……」
「アリシア…」
涙ぐむアリシアを見て、フレイアは両腕を広げ、その全て包むかの様にやさしく抱き寄せた。
「う…うぇぇぇ……」
抱きしめられたアリシアは、感情の波が一斉に押し寄せたかの様に涙が溢れ、フレイアの胸の中で静かに泣いていた。
「ごめんなさい。本当に、辛い想いをさせてしまって。母らしいことを何一つしてあげられなかった私を、どうか許して頂戴。」
ロキは、フレイアとアリシアを残し部屋を出て、1階にいるロゼッタのところに降りていった。
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