三人の精霊と俺の契約事情
ダメージ
「ーーここは? 」
身体にまるで電気を浴びせられたかのような激痛が走りアーサーは顔を歪めた。
その部屋はどこかの宿なのか、見たことのない部屋である。ただ一つ言えることはここはカタリナ公国ではない事だけは確かである。
アーサーは身体も起こそうとしても力が入らない。 仕方なく諦めてボーッとしている頭をゆっくりと整理してみた。
カタリナ公国の教会の地下室で帝国軍と交戦し途中で体力・気力・精神力を使い果たし倒れてしまった。
「ソフィアさんは? 痛ててて」
激痛が全身に走り体を起き上がることすら出来ない。
ガチャ。っと、ドアの開く音が聞こえた。
「あっ! アーサー様気がついたの」
「本当だあ! アーサー様あ」
「ご無事で良かったです」
三人の精霊は嬉しそうにアーサーに駆け寄った。エルザがアーサーのお腹の上に乗っかると、
「うっ、ーー!!」
「あっ、ごめんなさいなの」
「エルザだめですわ。アーサー様は全身疲労で当分の間腕も動かせない状態なのよ」
「腕もってーーここはどこなんだ?」
「ここはバンディッツの隠れ家だよ。今バンディッツのメンバーに言って回復魔法のスペシャリストを呼んでいるよ」
「レオン・・・その--」
すぐそこまで出かけた言葉を飲み込んでしまったアーサー。ソフィアの事を聞きたかったが上手く声に出さなかった。
「いろいろ世話になったな。僕がソフィアに会えたもお前がボロボロになりながら戦ってくれたおかげだよ。感謝している」
「俺なんか全然・・・その、ソフィアさんは?」
アーサーが罰の悪そうな顔をしながらレオンに尋ねる。その言葉にレオンは横に首を振り、
「ソフィアは亡くなったよ。 けれど最後に二人の気持ちを確かめることが出来た。僕の気持ちも伝えられた。それもこれも全部アーサーや精霊たちのおかげだよ。ありがとう」
「ーーそんな俺にもっとチカラがあれば、クソッ」
アーサーはレオンにそっぽを向け悔し涙を流した。
「アーサー様ーー」
アーサーの気持ちが痛いほど伝わってくる精霊たち。
「アーサー、本当に感謝してるんだ。お前が気にする事じゃないよ」
レオンは優しく微笑んだ。
アーサーは壁を向いたまま塞ぎこんでいる。
「バンディッツが回復魔法の魔導士を連れているまでゆっくり休んでいてくれ」
そう言うとレオンは部屋を後にした。
「俺は弱くてちっぽけで何も出来ない。俺のこんな腕じゃ何一つ掴むことさえ出来ない。何も守れない。俺はーークソおぉぉぉっ」
アーサーの叫び声が部屋から漏れ廊下に響く。その叫び声はレオンの耳にも届いていた。
レオンはそんなアーサーの気持ちを受け、熱いものが頬をつたった。
☆ ☆ ☆
その日の夜アーサーは夢を見た。
真っ白な空間が広がる。
いつか見た光景だ。
アーサーはすぐに分かった。ーーパンドラがいた世界。
もしかしたらまた黄金の瞳を使えるかもしれない。
アーサーは期待を胸に周りを見渡す。
そこは真っ白で何もない。
いつもなら箱がありそこにもう一人の自分が立っているはずなのに・・・。
やはりあの時、マーリンを倒してしまい時の砂の魔法が解けてしまったからなのか?
仮にそうだとしたら俺が現時点で魔法が使えないのはなぜだ?
俺が魔法を使えないのは魔導師マーリンと親父の陰謀で敵や他の魔導師から目をそらす為に魔力を封印したからだと聞いた。
今も魔法も金色の瞳が使えないとなるとパンドラはどこに消えてしまったのか。
再びこの場所に来れたのに・・・。
カタリナ公国での敗北は、アーサーにとってかなりの精神的ダメージを受けた。
俺にチカラがあれば助けたれた。
沢山の命を救えた。ソフィアさんは死なずに済んだ。
俺は弱い。君のチカラが必要だ。
『パンドラ』出てきてくれーー。
その日アーサーは真っ白な空間に一人でいることになる。パンドラは現れることはなく朝を迎えた。
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