三人の精霊と俺の契約事情

望月まーゆノベルバ引退

勇騎士称号


全世界にそのニュースは速報・号外として流れた。


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ヴィル・クランチェに勇騎士の称号を与える

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伝説の聖騎士サーガ以来の勇騎士の称号を授かったのだ。勇騎士の称号は永久不滅の称号だと思われていただけに驚きだ。

ヴィルの称号授与を確定させたのが今回のカタリナ公国での活躍を評価された事だ。
あの一件により世界中の国々が帝国の傘下に入った。

これで正しくアストレア帝国がほぼ世界の中心になったと断言させた。


そして今、国中の人々が一目ひとめヴィル・クランチェを見ようと帝国に集まり出した。
ヴィルフィーバーで帝国はお祭り騒ぎだ。伝説のサーガの再来と世界中で盛り上がり加熱する。何故なぜそこまで盛り上がるのかというと、現世界の勢力図があるのだ。 

帝国・神聖教団・竜魔族の三大勢力になる。

帝国とはアストレア帝国の略で勿論もちろん、全ての国々の中心であり聖騎士率いる帝国騎士団がある。

神聖教団は、クルセイダーズという悪魔教団で人々を洗脳し、さらに悪魔や神々を操り帝国を陥れおとしいれようとしている。

竜魔族は、邪竜アポカリプスの復活により魔物などを使い世界を自分たちのモノにしたく人々を襲い領地の拡大を図っている。

このように神聖教団と竜魔族に人々は怯えているのだ。特に、邪竜アポカリプスは伝説の勇騎士サーガにより倒され封印されたのに再び復活し人々は怯えていた。

そんな矢先に勇騎士の誕生で人々は、サーガの再来と希望を抱くのも無理もない話だ。実際に竜魔族により幾つかの国や街は破壊され、神聖教団のクルセイダーズにより最悪の魔女狩りが行われこの世界から魔法が消え去ろうとしているだ。

魔女狩りにより魔法が消えるというのはそもそも魔法は普通の人間には使えない。使えるのは魔女と精霊の二つの人種のみ。このニつの人種の一つ魔女が中心で作られた王国が魔法王国クリスタルパレス。

神聖教団クルセイダーズによりクリスタルパレスで魔女狩りという残忍な一斉討伐が行われほぼ全ての魔女は皆殺しにされた。

何故、神聖教団クルセイダーズが魔女狩りなどを行ったかは不明である。
この事件により帝国は宗教の関与は一切禁止にしたのだ。
それと、同時に神聖教団クルセイダーズを国の敵と見なしたのだった。
 

今、世界は確実に動き出している・・・。




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店内に錆び付いた鈴の音が響いたーー。

「お客さん、営業は夕方からだよ」

BARのマスターが振り返らずに店から客を追い出そうとしている。

「バンディッツと合流したいんで奥に行かせてもらうよ」

客の男は慣れたような口調で話す。

「あっ? あんた一体何者・・・」

BARのマスターが目にしたのは黒縁眼鏡くろぶちめがねをかけて頬に絆創膏ばんそうこうを貼った冴えない青年がそこには立っていた。さらに後ろには二人の少女を引き連れていた。

「おい! 誰から聞いたか知らねえが出て行けこの先には何もねえよ!冷やかしならとっとと失せろ」

BARのマスターは顔を真っ赤にして黒縁眼鏡の男に怒鳴りつける。

「ケイトがもっと真面まともな格好しないからいけないんだよ」

珍しい紫色の髪の毛に青い瞳の綺麗な少女が呆れた表情でケイトと呼んだ黒縁眼鏡の青年を冷やかす。

「ハハ、こっちのが目立たなくて都合が良いんだよ」

苦笑いを浮かべて頬を掻くかくケイト。

「あっ、ケイトって。 んん?」

BARのマスターはケイトに顔を近づけてまじまじと顔を見つける。

「あいや、これは失礼しました。まさかケイト・ローレントさんとは思いもしませんでした」

「おじさんが悪いんじゃないよ。ケイトが悪いのよ。髪の毛もボサボサだし服もダサいし、一緒にいるこっちが恥ずかしいわよ」

紫色の髪の少女がプンプン怒っている。

「ケイトさん、この紫色の髪の女の子はあん時の?」

BARのマスターがケイトに耳打ちする。

「ああ、子供の成長は早いだろ。おかげで毎日叱られてしかられてばかりだよ」

苦笑いを浮かべて頭を掻きながら続けて、

「レーベンハートさんはいるかい?」

「いやあ、そろそろ帰ってくる頃だとは思うんですが一昨日から帝国軍とやりあってましてーー」

「帝国軍と・・・どこで?」

「何でもカタリナ公国って小さな国らしいですよ」

「ーーそうか。 ヴィルの勇騎士が決まったのと関係があるのか?」

「号外見ましたよ。ヴィル・クランチェの勇騎士称号とんでもない事を皇帝はしてくれましたね」

「あのねケイト、ヴィルとやり合ったんだよ」

紫色の髪の少女が口を挟む。

「マヂっすか!!」

目を丸くするマスター。

「ハハ、全然歯が立たなかったよ。僕も腕が落ちたよ」

苦笑いを浮かべて頬を描くケイト。

「いやあ、ケイトさんとヴィルの戦いなんてプレミア物じゃないですか。見たかったなあ」

「そんな大した物じゃないよ。それじゃ奥で待たせてもらうよ」

ケイトは奥の扉を指差しながら歩いて行く。

「ええ、どうぞ」

BARのマスターが紫色の髪の少女に手を振る。少女も笑顔で手を振り返してくれた。

「もう、あの日から三年も経つのかあーー」

BARのマスターは奥に消えて行く紫色の髪の少女を遠い目で見つめていた。




ーー あの日? ケイト・ローレント? ーー

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