三人の精霊と俺の契約事情
崩壊
教会全体を埋めくす帝国軍の兵士達の背後から三十名余りの部隊が声を荒げて攻め込む。
「ーー敵襲、敵襲。反帝国軍バンディッツだ!!」
帝国軍は一斉に振り返り対処するが相手は精鋭部隊。数は少なくても場数と修羅場を潜り抜けてきた強者たちだ、そこらの兵士が太刀打ち出来るわけがない。
バンディッツのメンバーは次々と帝国軍兵士を倒して行くーー。
「ーー騎士団長クラスが居ない?」
レーベン・ハートは不思議そうに辺りを見回す。
「ーー数で圧倒しようとしたのですかね?
しかし数は多いな」
バッツも応戦しながら周りを見る。
「ソフィア、ソフィアーー」
剣を振るいながらレオンはソフィアのことで頭がいっぱいだった、
もう、目の前まで来ているのに・・・。
「ソフィアァァァぁぁぁ」
* * * * * * * * * * * * *
「 ハア、はあーーキリが無い・・・」
アーサーはもう限界を既に超えていた。
アーサーの背後には沢山の子供とその母親達が一箇所に固まり震えている。
そして、その少し奥には必死にソフィアに近づけさせないように白髪の老人執事が剣を振るっていた。
『これ以上アーサー様のおチカラを使う訳には・・・』
「ハア、はあ、ハア。シルフィ・・・俺の背後には何が見える?」
「ーーーー」
「ハア、ハア、沢山の子供の未来だよ。この子たちの明日を守ってやりたいんだ!はあ、ハア、笑って明日を迎えられるように」
アーサーの目はまだ死んでいない。目をギラつかせ吠える。
『ふふふ、止めても無駄なようですね。アーサー様・・・ご自分の命の心配もお願いしますわ』
「ーー言ってろ!!」
大量の敵軍がまた攻めてくるーーアーサーは敵軍に向かい掌を向ける。
そしてーー、
「シルフィぃぃぃ!!」
アーサーが叫ぶと同時に竜巻のような衝撃波が敵軍を吹っ飛ばす。
それでも更に敵軍の波は次々に押し寄せてくる。
「ハア、はあ、はあ、ハアーー」
「アーサー様! ソフィア様の方が・・・」
振り返るとソフィアと白髪の老人執事は敵軍に包囲されていた。
「マズイ・・・」
「アーサー様、前からも・・・」
もう既に目の前にも敵軍が攻めてきてる。
「ハア、はあーークソ!!もう気力が」
アーサーは視界がボヤけふらふらと倒れ込む。
「アーサーさまあああ」
シルフィーの悲鳴に似た叫び声が地下室の響き渡る。
女、子供たちからアーサーに心配する声が漏れるーー。
くそ、何でこんな時に・・・
体が動かない。 意識はあるのに頭では分かっているのにーー。
ヤバイ、起きなきゃ。 ソフィアが敵に囲まれてんだよ。
起きなきゃ、起きろ!
動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け
動け、動け、動け、動け、動け、動け、動け
動けよおおぉぉぉっ、動いてくれよ。
くそぉぉぉぉっ。
遠退く意識ーーその時ーー、
敵軍は何故か背後を振り返り何やら応戦し始めた。
「遅えよバカヤロー・・・」
アーサーは静かに目を閉じたーー。
バンディッツは教会地下室の大群の帝国軍兵士を次々に倒して行く。
先程まで震えていた子供やその母親達からも歓喜の声が上がる。
「おじ様ぁぁぁーー」
ソフィアの悲鳴が先ほどの歓声を切り裂く。
「ソフィアァァァ!!!」
レオンの耳にソフィアの声が届く。
すぐそこにソフィアがいる。レオンの胸の鼓動が早くなる。早く側に行ってあげたい。彼女の事を守ってあげたい。気持ちばかり焦る。
教会の奥の方にはまだ敵軍が包囲している。
「ーーゴホ・・・ソフィア様・・老ぼれの最後の言葉をお聞き下さい」
白髪の老人執事は血を吐き出しながらソフィアに語りかける。
「おじ様・・・何です?」
ソフィアは溢れそうな涙を必死で堪える。
「ゴホ、ゴホ・・・レオンとソフィア様の本当の関係です」
「えっ?」
ソフィアは思いもよらぬ言葉に目を丸くする。
「ソフィア様とレオンはーー」
ーーーーーー
ーーーー
☆
レオンの元に援軍が来る。
「ソフィアァァァ無事かあ?」
レオンが必死に大声を出してまわりを見回す。
「レオン、ソフィア様は無事か?」
バッツが駆け寄る。
「先程、声がしたんだ。ソフィアはこの先だ!!」
「俺が道を作る!!」
バッツは軽い身のこなしで敵軍の懐に飛び込むと縦横に回転しながら次々に斬り刻む。
中央突破出来る道筋が出来た。
レオンがその隙を逃さず一気に奥に駆け寄ると目の前に剣を取り必死に戦う少女の姿があったーー。
「ソフィアーー」
レオンの目にあの愛しい顔が映った。
やっと会えた。この数日間彼女の事で頭がいっぱいだった。ずっと言いたかった。今度会ったらもっと自分に素直になろうと思っていた。
今なら君に僕の本当の気持ちを伝えられる。
この戦いが終わったら伝えよう。
ソフィア僕はもう目の前まで来たよ。
一歩遅かった・・・・
ソフィアは刺されたーー。
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