三人の精霊と俺の契約事情
落城
どんどん激しさを増す帝国軍の攻撃。
防御障壁を貼っているおかげで中までは敵軍も攻めて来れてないのが救いだ。
万が一でも障壁が破れたら教会の中は女性と子供だけだ。帝国軍に捕虜として捕まるのか、皆殺しにされるのかは分からないが何としても避けなければならない最悪の事態だ。
カタリナ公国は緑豊かな美しい姿はなく黙々と上がる煙と炎に街は包まれている。
人が隠れていないか全ての家を洗いざらい捜しては火を放っているーー。
そして、とうとう教会にも敵軍が押し寄せて来た。
帝国軍は教会の中に進入し人が居ないか捜して周っている。ーー息をひそめるソフィア達に緊張が走る。
帝国軍はある程度捜して、諦めたのか火を放って立ち去った・・・。
ホッとするソフィア達だが木造の建物はあっという間に燃え上がった。
「大丈夫だーーはあ、はあ、・・・安心しろ。表向きは全焼して燃えているように見せているが床には炎が燃え広がらないようにリサに頼んである・・はあ、はあ」
アーサーの顔は青ざめ息は荒い。
エルザの観ている風景が映像のようにアーサーの頭に流れ込んでくる。
「くっ、城の障壁がもう、保たない」
敵軍は城全体を覆い尽くす数で今か、今かと障壁の壊れるのを待っている状況だ。
何て数だ。それにあの白装束に薔薇の紋様はクルセーダーズーー。
帝国が新聖教と繋がっているのは本当だったのか・・・。
『アーサー様・・・ごめんなさいなの・・・もう、限界なの』
「そうか、ありがとう。俺の中でゆっくりおやすみエルザ」
『ありがとうございます。その言葉だけで幸せなの。お役に立てずごめんなさいなの』
「はあ、ハア、何言ってやがるお前が居なければとっくに全滅していたよ・・・」
教会の壁にもたれかかっていたアーサーは床に倒れこんだ。
「あ、アーサーさん。大丈夫ですか?」
ソフィアが慌てて駆け寄る。
「す、すまないーー」
城の障壁が突破された・・・・
雪崩のように次々に敵軍が城に押し寄せる。
国民たちは剣を振るうがそれ以上に敵の数が多過ぎるーー。
国民たちは何も出来ずに次々に切り落とされ命を落とすーー。
もともと剣の扱いに慣れてない故に、命を賭けた戦いなどしたことのない。
障壁突破から僅か二時間足らずでカタリナ城は落城した・・・。
国民の約七割は命を落とした・・・。
無情にもカタリナ城には火を放たれてーー。
帝国軍総攻撃開始からこの時三時間経過した。
☆ ☆ ☆
「カタリナ城から鷹が飛び出しました。撃ち落としますか?」
双眼鏡を覗き込む帝国軍兵がヴィルに尋ねる。
「バンディッツに援軍要請だろうが、すでにこの状況だ。間に合わないよ、放っておけ」
「はっ!」
兵士は、ヴィルに敬礼し後ろに下がった。
鷹は翼を羽ばたき、青空の中に消えて行ったーー。
☆ ☆ ☆
数時間後、バッツの所へ届いた手紙ーーそれはアーサーからの物だった。
= = = = = = = = = = = = = = = = =
帝国軍総攻撃開始。もって三時間援軍急がれ
= = = = = = = = = = = = = = = = =
「アーサーからだ!帝国軍が攻撃を開始した!もって三時間らしい」
バッツがバンディッツメンバーに叫ぶ、
「ーー 三時間ってまだカタリナまでかなりの距離がある」
困惑を隠し切れないレオンに焦りが見える。
「飛ばすしかないだろう。アーサーはとびきりの精霊使いだ。簡単には殺られない。きっと俺らが来るまで持ち堪えてくれる筈だ!」
レーベン・ハートは力強く言った。
「急ごう!!!」
馬を飛ばした。流石に途中馬を休ませたがそれでも出来る限り可能な限り急いだ。
不安と焦りはバンディッツメンバー全員に伝染していた。それはバンディッツメンバーに苦い過去があるからだった。
助けられたかもしれない命を救えなかった過去。同じ過ちを繰り返したくない。
絶対間に合わせてみせるーー。
レオンと反帝国軍バンディッツのメンバー総勢三十名は、遂にカタリナ公国に到着した。
「ソフィアぁぁぁ!!!」
レオンは馬から降り走りながら崖まで近寄って叫んだ。
崖から見下ろした景色は今まで見ていたカタリナ公国とは想像もしてない程かけ離れた
物だったーー。
そこにいるメンバー全員が言葉を失う光景だったーー。
「ソフィアぁ・・・そふぃあ・・・」
レオンは涙ながらふらふらと崖を降りて行く。
「ーーおい!駄目だ。まだ帝国軍が居るかもしれない。慎重に行かないと・・・」
バンディッツのメンバーがレオンを制止する。
するとーー
「ーー教会だけが不自然にほぼ無傷だ。
それに・・・まだ帝国軍が攻めてるぞ!」
バンディッツのメンバーが指を指す。
「急ごう。まだ人が生きていて応戦してるんだ!!」
バッツがレオンに近づき背中を強く叩く。
まるで「お前が諦めたらどうするんだ」と言わんばかりに。
「ああ、きっとソフィアがまだ戦っているんだ!」
レオンは涙を拭き、教会へと走り出した。
「ソフィア、僕は帰って来たよ。仲間を連れてもうすぐそこまで来たよ。待っててくれ!」
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