三人の精霊と俺の契約事情
アラートレベル(ファイブ)
「ーー事情は大体飲み込めたよレオン君。素晴らしく勇気ある決断、行動だ」
「援軍に来て頂けますか?」
「もちろん。 そのためにアーサー君を先にカタリナに行かせたのだから」
「ありがとうございます。 これでカタリナ公国は助かる」
「ーーで、帝国軍はいつ攻めてくる予定なの?」
バッツが二人の会話に割って入る。
「ええ、予定では後、五日後になります。ここからカタリナ公国まで二日かかるので猶予としては後、二、三日は大丈夫かとーー」
「レーベンハートさん、事は急げです。各国のバンディッツメンバーに召集をかけましょう」
「そうだね。 バッツお願いするよ」
「はい、直ぐに鷹を飛ばさせます」
その時、一匹の鷹が飛んで来た。
鷹はバッツの所へ降りると絶命した・・。
何と無数の魔法攻撃を浴び、それでもバッツの所へ手紙を命と引き換えに届けたのである。
バッツすぐに鷹の脚に巻かれた電報を読んだ。
「ありがとう。お前は最後まで任務を全うしてくれたんだね。お前のおかげで沢山の命が救われるかもしれない。嫌、救ってみせる」
抱き抱えている鷹を他のバンディッツメンバーに渡すと、
「レーベンハートさん、事態は深刻です」
「ーー説明しろ! 」
レーベンハートの顔つきが変わる。
数名いるバンディッツメンバーに緊張が走る。
「カタリナ公国に潜伏中のアーサーからの鷹より電報です」
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帝国軍敵襲、至急援軍求む。アラート五
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「ーー早い、早過ぎるなぜ?」
レオンの顔から大量の汗が噴き出す。
「帝国らしいな。最初からカタリナが拒否すると分かっていての行動か」
「アラートレベル五か。事態は深刻だぞ」
「アラートって何ですか?」
レオンは意味が分からず疑問を投げかける。
「攻められてどれだけ耐えられるか。今の兵力で戦えるかを分析したレベルだよ。五が最悪で一が対等に戦える」
「ーーか、カタリナには戦える兵士なんて一人もいません。元々、戦争とは無縁の国だったので誰一人銃も剣も持ったことがない」
「ーーアーサー君頼みか! 」
「レーベンハートさん至急援軍に向かいましょう」
「各国のバンディッツメンバーに緊急召集! カタリナ公国に集結させよ」
☆
予定より早く過ぎたーー。
気付いた時には既にカタリナ公国全土を包囲されていた。
困惑する人々、不安と緊張に駆られて既にいっぱい、いっぱいの状況だ。
ソフィアもまた、戦闘経験などないーー
どうして良いか分からなかった。
戦略・戦術といっても幾つかのトラップを仕掛けて置いたことと、カタリナ王国への通路を壊しておいて進入出来なくした。
カタリナ国民しか知らない連絡通路があるのでレオンやバンディッツのメンバーはそこから援軍に来れる。
しかしーー帝国軍は最も簡単に進入してきた。
こちらの策が幼稚過ぎた、考えが甘かった。
戦闘経験の差があり過ぎたのだーー。
さらに、ソフィア達からは想像もしていない、相手は魔法を操るのだ。
結局、全ての国中の人々は恐れをなしてカタリナ城に皆、逃げ隠れしてしまった。
「どうすれば、私に何が出来るの?」
戦意を失った国民に掛ける言葉も見つからないソフィア。
城中は、しーんっと静まり返ってる中、一人の男がやれやれといった感じで立ち上がった。
白髪の老人執事はソフィアの側で何度も頷きながら笑みを浮かべた。
ーー今より数時間前の出来事である。
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